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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第31章 ウェディング&ハネムーン。
447/637

#447 過去、そして番外編。

■#337と#404における矛盾点を修正しました。おっしゃる通り、過去編をダイジェスト化した齟齬であります。申し訳ございません。基本的には#404が正しいです。細かい齟齬がまだあるかもしれませんが。


ネタバレしますと#337における「彼」とは、クロム・ランシェスだとミスリードさせ、その実は時を超え5000年前に転移した冬夜君だった、という流れにする予定でした。


お詫び、というわけではございませんが、結婚前の幕間劇として御蔵入りしていたエピソードを載せておきます。






■望月冬夜(中学時代の友人話)




 夢を見た。中学のころの。

 冬夜とよくつるんでいたころのだ。




「おい、冬夜。いくらなんでもやり過ぎじゃないのか?」

「そうかな? まあ、ちょっと頭にきたからね。少しばかりやり過ぎたかな?」

「少しばかり……ねえ……」


 俺は素っ裸にひん剥かれて気を失ってる金髪ロンゲの男を見てなんとも言えない哀れさを覚える。

 この男はここいらでけっこう有名な暴走族の総長だ。この男がとある少女に対し、脅しとも取れるストーカー行為を繰り返していたことが事の発端である。

 その少女には彼氏がいて、ストーカー行為をを知った彼氏はこいつに付きまとうのをやめるように直談判に行った。勇気のある奴だ。

 だが、この手のやからがそんな忠告に耳を貸すはずがない。総長とその手下どもにリンチをくらった彼は病院送りになった。

 その彼ってのが、俺たちのクラスメイトの一人だったってわけだ。

 見舞いに来た俺たちは、病院のベッドで眠るそいつを看病し、泣きながら『自分のせいだ』と言い続ける彼女を見た。

 その子になんとか事情を聞き出した冬夜は、すぐさま病院を出て、スマホでいろんなところに電話をかけ始めたんだ。


「あ、◯△さんですか? お久しぶりです。冬夜です。ええ、望月の孫の。ちょっとお願いがあるんですが……」

「え、若い衆に拉致らせる? いえいえ、組長オヤジさんのお手を煩わせるほどではないので。ええ、場所だけで。ははは、じいちゃんが言いそうですね」

「◯◯△◯ってチームの総長らしいんですけど。問題ない? それはよかった。いやいやいや、巻きにしてドボンっていつの時代ですか。もっとスマートにやりますよ」


 ねえ、冬夜? お前どこにかけてんの!? イロイロと怖いんですけど! 内容も!

 しばらくするといろんなところから連絡が入って、それからはあっという間の出来事だった。

 冬夜は総長の居場所を突き止め、親衛隊の奴らを巧みに引き剥がし、一対一の状況に持ち込んだ。正確には俺もいたから一対二だが。

 冬夜は横で見ている俺も引くぐらいの言葉で煽り、怒り狂った総長を罠にかけて、自爆させた。俺たちは手を出してもいない。あいつが勝手に自爆して気を失ったのだ。

 鉄パイプとジャックナイフを持って襲ってきたから正当防衛……になるのか? これって。

 そして総長の身ぐるみを剥がして素っ裸にし、そいつのスマホでパシャパシャと写真を撮る冬夜。


「はい、送信~、と」

「どこに送信したんだ?」

「こいつの所属しているチームの副総長に。聞いた話だと、けっこう仲が悪いらしいから、こんなアイテムを手に入れたら嬉々として追い詰めてくれるよ」

「うわあ……」


 くっくっく、と悪い顔で笑う冬夜に、俺はこいつを怒らせることは絶対にしまいと心に誓った。見た目は不良でもなんでもない普通の中学生なのに、中身はとんでもない奴だよ、まったく。普段はおとなしく一歩引いた真面目な奴なんだけどなあ。

 その後あの総長はチームを追い出され、この町には居られなくなり、どこかへ消えていった。もちろん奴のストーカー行為も無くなったが、冬夜はそれが自分のやったことだとは誰にも言わなかった。


「別に言う必要はないよ。勝手にやったことだしさ。単なる自己満足。やりたいからやっただけさ」

「普通、ためらうもんだと思うがな」

「ためらって取り返しのつかないことになったら嫌だからね。『やれるときにやる』。じいちゃんがよく言ってた」


 なぜだろう、『殺れるときに殺る』と聞こえる気がするのは。俺は決して冬夜を怒らせるようなことはすまいともう一度心に誓った。




「ってなことが昔ありまして」

「ああ~……やりそうだねぇ。あの子は思いっきりお義父さんの影響を受けたから……」


 ペン入れする原稿から手を離し、ため息をつく冬夜の親父さん。いや、先生。


「あの頃はちょうどお義父さんが亡くなった頃で、少し荒れていたからなぁ……」


 少し……? 思いっきり疑問を投げかけたいが、黙っていることにしよう。目の前のベタ入れしていた原稿に俺は目を戻した。


「僕らがこんな仕事だろ? 冬夜君の面倒はほとんどお義父さんがみてくれていたんだよ。いろんなところに連れて歩いたり、妙な技を仕込んだりしてたみたいでね」


 冬夜の親父さんである先生は漫画家、おふくろさんは絵本作家だ。いつも家にいるが、仕事が忙しいと子供の相手ができない時も多かっただろう。それでじいさんが面倒をみていたのか。


「冬夜のじいちゃんってどんな人だったんスか?」

「お義父さんかい? うーん……なんというか、とにかく顔の広い人だったよ。世界中に知り合いや友達がいてね。それこそ芸能界から裏世界、政治の世界までね。赤ちゃんだった冬夜が以前総理を務めた人に抱っこされてる写真もあるよ」

「マジっスか……」

「熊を素手で倒したとか、宇宙人に会ったとか、マフィアを壊滅させたとかも聞いたなあ」

「マジっスか!?」

「本当かどうかはわからないけど」


 ははは、と親父さんは笑うが、俺は笑えなかった。あいつを育てたじいさんだ。あんまり常識が通用しない気がする……。


「さて、もうちょい頑張ろう。ペン入れ終わったからこっちもベタ頼むね」

「うス。なんとか間に合いそうっスね」


 俺は先生から新たなページを受け取る。終わりが見えてきた。よしっ、ラストスパートだ。気合い入れていこう。

 







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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
冗談じゃない、なんとか破滅するのを回避しないと! この世界には神様からひとつだけもらえる『ギフト』という能力がある。こいつを使って破滅回避よ! えっ? 私の『ギフト』は【店舗召喚】? これでいったいどうしろと……。


新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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