プロローグ
――昔々の大昔、空を覆い被さんばかりの魔物たちを従えた魔の王が、人の世界を手に入れようと雪崩のように襲い掛かってきました。
それまで争いなど知らなかった人の世界の住人達は、牙を剥いて襲い来る魔物達になすすべもなく、逃げ惑う毎日でした。
そんな中、このままではいけないと立ち上がった若者が、魔の王を退治しようと小さな村から旅に出たのです。
野を越え、山を越え。
知らぬ地を踏み、海をも渡り。
旅先で繋がった絆は次第に太く強く結ばれていき、魔の王の元につく頃、若者には心強い仲間が三人も付いてきていました。
若者達は魔の王に立ち向かい、その団結力を最大の武器に、遂には魔の王を打ち倒します。
その後、若者達は勇者と讃えられ、人の世界の住人達から大きく祝福されました。
大きな国の人の王にここに住まないかと引き留められましたが、それでも若者達は、皆が皆思い思いの道を歩んで行きました。
世界をたった四人で守り抜いた勇者達。
最初から勇者と決まっていた訳じゃなく、若者達が動き出して初めて決まった未来。
このお話は、そんな勇者伝説があまり浸透していない小さく平和な国で起きた、大きな冒険と奇跡の物語。