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異世界転移というけれど…  作者: 橘吟香
第一章
7/10

1-7


明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。


…初詣?行けてませんが何か?


「…えーと。いくつかお聴きしたい事がありまして。まず、ここは一体何処なんでしょうか?」

 結局、40秒以上待ってもらって、その間に準備した最初の質問がこれとは。

 我ながら情けない…

 でも、自分が今、どういう状況に置かれているのかを知ることは大切だよね?

「ここは、『ジクスの森』と記憶しているが?」

「ジクスの、森…?」

「さて…わしが『ジクスの森(ここ)』に住み着いた頃には、既にそう呼ばれておったからの。名の由来などは知らぬ」

 ――…違う。

 いや、違わないんだけど。

 私が訊きたいのはこの森のことではなくて…もっとこう…「ここは○○という名の世界である」とか「この世界には××という国があって」とか、そういうテンプレ的な情報がっ!

 でも、考えてみれば、私が住んでいた世界も星の名前であって「△△が創った世界です」とはあんまり言わないもんね。

 って、ヤバ……

 頭の中で世界中の神様たちが「それ、私たちが創りました」って会社のCMみたいに手を挙げはじめた。

 いかんいかん、脱線しすぎた。

 えーと……そうそう!

 この世界の情報だよ!

「ジクスの森の中、もしくは周辺に人が住む処なんてありますか?」

「森の中に住まう者はおらぬな。この森に人は住めぬて…しかし、森の外には集落の一つや二つ、在ったと記憶しておるが…」

「この洞窟からどれくらいの距離にあります?」

「…それは難しいの。『ジクスの森』は絶えず何処かが動いておる故、距離は意味を成さん」

「…森が、動く…?」

「言葉通りよ。森の中でのみ、地形や道が気まぐれに変わる。先程まであった沼地が崖に変わっていたり、昨日通れた道が行き止まりとなっていたり、とな。故に森を出るに、運が良ければすぐにでも、悪ければ何年もかかる。何故動くのかは、わしを含め、誰も知らぬ」

「……昨日まであった泉が忽然と消えたり、落とした指輪がなくなっていたり、道なき道を進んでいたら突然大雨に見舞われたり、とかも?」

「うむ。ここではよくある話よ。…先程からおかしな問いばかりだが、主もそれを承知で、この森に足を踏み入れたのではないのか?」

「――…いえ。踏み入れてないです」

「はて…おかしなことを言う。現に、主は『ジクスの森(ここ)』に居るではないか」

「違うんです。いや、違わなくはないんですけど…」

 確かに今、私はこの森に『居る』けど、それは自分の意思で踏み入れたわけではなく…

 ちょっと待って。

 落ち着け、落ち着くんだ、私。

 まずは深呼吸だ。

 くそぅ。

 分かってはいたけど、他人から言われるのはちょっとキツイな。

「――…あの、ですね。私の家の近くに『ジクスの森』というこじゃれた名前の森はないんです。そもそも、森が動くとか…()()()()()()()()ので…」

「ほぅ?主の世界、とな…」

『私の世界』と聞いて、ドラゴンの竜眼が興味深そうに細められた。

 姿勢を正し、そのドラゴンの目をまっすぐ見据える。

「申し遅れました。私は――メイ、と言います。本名ではありません。私が生まれた国の、古くからの風習で…悪いものを寄せ付けないために本名は名乗りません」

 …嘘は言っていない。

 ただ、もうそんな風習は廃れただけ。

 でも「異世界で本名を明かさない」は、あるあるだからね。

 何があるか分からないこの状態、自分の身は自分で守らないと。

 それから私は、今まで自分に起きた事を時系列で説明した。

 仕事帰りに森にいた事、泉の水を飲んだら胸が痛くなって気づいたら日が昇っていた事、泉跡で拾い物をした事、容姿が若くなっていた事、森を移動していたら大雨にあってこの洞窟にたどり着いた事。

 私の話に真剣に耳を傾けていたドラゴンが、何かを深く理解したように静かに口を開く。

「――この世界は『世界樹の女神』が創りし世界と云われていての。人々が己の営みをし始めてからまだ数千年程しか過ぎておらぬ。故に、世界と世界の境界が未だ不安定と聞く」

「………」

「稀に異なる世界から人や物が迷い込んで来る、という話は聞くが――主は、その異なる世界から迷い込んで来た『迷い人(まよいびと)』やもしれぬな…」

「『迷い人』…」

 いや、まぁ…確かに、森の中で迷っているから『迷い人』である意味、間違ってはいないんだけど。

 なんか――仰々しくなってきたな。

「『迷い人』って…さっき、”人や物が迷い込んで来る”って言ってましたけど、前回は人ですか?それとも物ですか?」

「そうさのぅ――前は…人であった、と記憶しておるが…あれは確か…400年程前だったかのぅ…」

「随分と前デスネー」

 戦国時代やないかい。

 前過ぎるやろ。

「ちなみに400年程前に現れた『迷い人』さんは、私と同じように迷い込んだのか、この世界の人から召喚されたのか、もしくは召喚された人に巻き込まれたのか、どういった理由でこの世界に来たのでしょうか?」

「さて…わしが伝え聞いた話では、主と同じよう、偶然こちらに来たと記憶しておるが…」

「じゃぁ、確立された方法で来たわけではない、と…」

「うむ」

 …マジか。

「ちなみに『迷い人』さんはこの世界で亡くなったのか、もしくは元の世界に戻ったのか、最後はどうなったのでしょうか?」

「『迷い人』が元居た世界に戻った、という話は聞いた覚えはないのぅ」

「じゃぁ、確立された方法で帰ったわけでもない、と…」

「うむ」

 ……マジか。


 ――そんな……嘘だと言ってよ、バーニィー…





やっと、名前が出てきましたね(笑)


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