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異世界転移というけれど…  作者: 橘吟香
第一章
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1-22

「なんと…主の世界では、わしのような立派な翼を持つ、”ひこうき”なる鉄の箱が空を飛ぶのか…」

「竜賢さんの翼ほど立派じゃないし、固定されてるから自由度は低いけど、飛んでますよ」

「む。自由に飛べぬのか…」

「飛行機に意思があるわけじゃないんで。決まったルート…空の道しか飛べないんですよ。鳥みたいに、勝手気ままに飛んで、ぶつかったら危ないでしょ?」

「ふむ…そうだのぅ…――雷鳴轟く雲の中を縫って飛んだり…」

「そもそも天候不順で飛べません」

「互いの翼が触れる程近づく――…」

「めっちゃニアミスですやん」

「――…上空から地上へ急降下などは…」

「そんなの、やったら大惨事ですよ」

「………う、む…そう、だの…」

 ――あ。こいつ、やったことあるな。



「…竜賢さん」

「…なんぞ?」

「……大丈夫?」

「……うむ……主が、案ずることではない故…」


 ――…そういうことを、訊いてるんじゃないんだけどなぁ。



「…主、ちと、昔話につき合うてはくれぬか…」

「――…もちろん。良いですよ」


 今はもうない、生まれ育った故郷の話…

「柔らかい緑に包まれた…陽だまりのように美しい森だったのぅ…」

 竜賢さんは温かく目を細める。


 若い時に友達とやんちゃして死にかけた話…

「どちらが早く、高く飛べるか…いかに早く地上に戻るか……友とよく競ったものよ…」

 竜賢さんが懐かしそうに笑う。


『世界樹』の守りをしていた話…

「天を貫くほどに雄々しく美しいその姿を守るは、我らの誇りそのもの……今も、忘れられぬて…」

 竜賢さんは誇らしげに語る。


 その『世界樹』が、静かに枯れ逝く話…

「――…銀色に揺れる葉の…落ち逝く姿を……わしは…どうしても、見ておれなかった……」

 竜賢さんが静かに俯く。


『ジクスの森』に来て、同族と一度も遭遇していない話…

「望んでこの地へ来たとはいえ――…独りは……あまりに、淋しい…」


 竜賢さんは――…




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