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「なんと…主の世界では、わしのような立派な翼を持つ、”ひこうき”なる鉄の箱が空を飛ぶのか…」
「竜賢さんの翼ほど立派じゃないし、固定されてるから自由度は低いけど、飛んでますよ」
「む。自由に飛べぬのか…」
「飛行機に意思があるわけじゃないんで。決まったルート…空の道しか飛べないんですよ。鳥みたいに、勝手気ままに飛んで、ぶつかったら危ないでしょ?」
「ふむ…そうだのぅ…――雷鳴轟く雲の中を縫って飛んだり…」
「そもそも天候不順で飛べません」
「互いの翼が触れる程近づく――…」
「めっちゃニアミスですやん」
「――…上空から地上へ急降下などは…」
「そんなの、やったら大惨事ですよ」
「………う、む…そう、だの…」
――あ。こいつ、やったことあるな。
「…竜賢さん」
「…なんぞ?」
「……大丈夫?」
「……うむ……主が、案ずることではない故…」
――…そういうことを、訊いてるんじゃないんだけどなぁ。
「…主、ちと、昔話につき合うてはくれぬか…」
「――…もちろん。良いですよ」
今はもうない、生まれ育った故郷の話…
「柔らかい緑に包まれた…陽だまりのように美しい森だったのぅ…」
竜賢さんは温かく目を細める。
若い時に友達とやんちゃして死にかけた話…
「どちらが早く、高く飛べるか…いかに早く地上に戻るか……友とよく競ったものよ…」
竜賢さんが懐かしそうに笑う。
『世界樹』の守りをしていた話…
「天を貫くほどに雄々しく美しいその姿を守るは、我らの誇りそのもの……今も、忘れられぬて…」
竜賢さんは誇らしげに語る。
その『世界樹』が、静かに枯れ逝く話…
「――…銀色に揺れる葉の…落ち逝く姿を……わしは…どうしても、見ておれなかった……」
竜賢さんが静かに俯く。
『ジクスの森』に来て、同族と一度も遭遇していない話…
「望んでこの地へ来たとはいえ――…独りは……あまりに、淋しい…」
竜賢さんは――…




