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「しかし…主が『聖女』とはのぅ…」
「――今、なんて言いました?」
なんかとんでもない単語が聞こえたのは気のせいでしょうか。
しかもため息交じりに…
「『聖女』と言うたが?」
「せいじょ……?」
――聖女…それは。
それぞれの社会において宗教的に敬虔であり、神の恩寵を受けて奇跡を成し遂げたとされたり、社会(特に弱者)に対して大きく貢献した高潔な女性を指して呼ぶ言葉である。宗教とは無関係に「慈愛に満ちた美しい女性」を指して形容し、賞賛したりする例も見られる。byウィ〇ペディア(←この間0.1秒)
「違います!」
貴様、何寝ぼけた事を言ってやがる。
今すぐ跪いて世の中の聖女様全員に謝れ。
「……いいですか竜賢さん。『聖女』というのはですね。優しく穏やかな表情、上品で洗練された立ち振る舞い、清楚で美しく可憐な容姿。身分問わず誰に対しても平等で慈悲深く、献身的で自己犠牲を厭わない、澄んだ湖のような清らかな心。あまねく人々を救済し、揺るぎない信念をもって正しい道へと導く――…そんな高潔な美女の事を『聖女』と言うのです。さぁ!この私に!一つでも当てはまっているところはありますか?!」
「――――己で言うてて、主は空しくないのか?」
うるせぇほっとけこんちくしょぉぉぉ――!
そんなこと、自分が一番よく知ってるわ―――!!
「人の美醜はドラゴンのわしにはわからぬが、主の見目も主が思うておるほど悪くなかろうて…ほれ、これをやるで、そう嘆くでない…」
それ、私があげたのど飴!
どうせ慰めるならもっと良いのをください!
そして、本気で「飴じゃなかったのか…」って顔をするのはやめてクダサイ…
「…で?結局『聖女』ってなんなんですか?」
「主も問いかけが多いのぅ…老体を休ませる気はないのか…」
(返して)もらったのど飴をカラコロと舐めながら。
だって、竜賢さんが次から次へと問題提起してくるんだもん。
竜賢さんもお疲れモードでごめんなさいだけど、あと少しだけ付き合って?
「わしが知る限り、『聖女』というのはあくまで呼称よ。神聖力を扱える男は『聖人』、女は『聖女』と呼んでおった…」
なーんだ。単なる呼び名か。
『聖女』なんて仰々しくいうからびっくりしちゃったじゃないか。
「しかし…当時ですら神聖力を持つ者は稀であり、故に苦労も多かったと聞く…時が過ぎた今では尚更の事。主も十分に用心するに越したことはなかろうて…」
知ってるよぅ。
私だって無給無休で馬車馬の如く働かされた上に過労死はしたくないし、政治や政略の道具にされた上にどこぞの為政者と政略結婚させられた挙句、悪政を責任転嫁されて殺されたくはないもん。
「……度々思うが、主のその発想は、一体どこから湧いてくるものなのだ?」
えー…それはちょっと、教えられないかにゃー?(笑)
長年培ってきた無駄な知識はこういう所で役に立つ…




