1-12
――さて。
目下の悩みと言えば、なんと言っても情報が全くない、ということでしょうか。
なので【空間収納】の整理をしながら、復習も兼ねて、竜賢さんからこの世界の事を訊いている最中です。
なんでもこの世界は『世界樹の女神』様がお創りになった世界なのだそうで。
人々が生活できるようになってからまだ数千年程しか過ぎていないんだって。
数千年って聞くと普通に長いじゃんって思うけど、中国だって4千年、古代エジプト文明だって紀元前5千年とか言うから、そこそこ古い…いや、むしろ新しい方なのでは?
…あぁ、だから世界と世界の境界が不安定で『迷い人』なんて人が出てくるのかな。
困ったもんだぜ、まったく。
私が居る『ジクスの森』は、ざっくり言って、この世界に5つある大きな国と国との境界あたりに広がっている、いわゆる”魔物を排出する”森らしい。
森の中を移動している時、そんな物騒なモノには全く出会わなかった、と言ったら、竜賢さんは「…ほんに主は運が良いのぅ」と呆れていました。
なので、イマイチ危機感が足りていません。
だって遭遇してないんだもん。
ちなみに「大きな国と国の間って、国の名前は?」って訊いたら「…なんだったかのぅ…古すぎて忘れたわ…」と言いやがりました。
さすが500年くらいこの森に引き籠っているだけのことはあります。
――…ぶん殴っていいですか?
それからなんと!
この世界は、人間以外にみんな大好き獣人さんやエルフさん、ダークエルフさんが居るんだって。
他にも竜賢さんたち竜族や魔族も居るらしく、会うのが楽しみで今からわくわくしています。
目の前に竜賢さんが居るので、ついでに竜族の話を聞いてみたら、竜族は『世界樹』の守護をしていたとか。
じゃぁ、その『世界樹』は?って聞いたら、盗伐・乱伐、魔物の暴走による『スタンピード』(!)など様々な理由でいつしかその姿を消したらしい。
切ないね。
国同士で小さい争いは起こっているらしいけど、数十年に一度、世界の何処かで魔物による大規模な『スタンピード』が起こってそれどころじゃなくなるから、戦争には発展していないみたい。
モノ言わない共通の敵が居るおかげだよね。
それでも『スタンピード』の被害は年々大きくなっているらしく、そのせい…だけじゃないけど、どの種族も人口は減る一方らしい。
人族、獣族、エルフ、ダークエルフは異種間でも子孫が残せるからまだいいけど、竜族、魔族は卵で生まれるから同族同士でないとダメなんだって。
しかも、竜族と魔族は絶滅危惧種(!)で、竜賢さんも『ジクスの森』に来て以来、同族は見てないんだとか。
悲しいね。
そもそも【空間収納】を"倉庫"という当たりお察し(笑)




