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異世界に来てから三日目。
ドラゴンに寄りかかりながら【空間収納】の中を整理していると、画面越しによく見たアイテムを発見した。
「竜賢さん竜賢さん!【空間収納】の中に『聖杯』があるんですけど、戦争でも始まるんですか?」
「…主は何を言うておる。『聖杯』は争いの道具ではない。主のところでは『聖杯』ごときで争いが起きるのか?」
「物語の中では」
ちなみに「竜賢」というのは、私がドラゴンに勝手に付けた名前だ。
呼びにくかったから名前を聞いたら「名前はない」とか言うんだもの。
どこの文豪の猫よ。
「竜」は「賢者」と相場が決まっているからと説明して「竜賢」と呼んだら「珍妙な…」とか言いながら嬉しそうに尻尾が揺れていた。
このツンデレさんめ。
そうそう。
正式に私のモノになった『アーティファクト』・【空間収納】ですが。
機能としては主に7つ。
【容量・重量】ともに無制限。
これは竜賢さんの財宝で確認済みなのでOK。
ついでに、ちょっと目を離した隙に車が消えた…なんてことのないよう、洞窟内に停めていた車もさっさと収納しました。
大切な全財産兼寝床なので。
【自動整理】【誤作動防止】【空間内時間停止】【生物禁止】は言わずもがな、なので割愛。
【盗難防止】は【空間収納】内の盗難ではなく、『アーティファクト』自体の盗難防止のようで、一定時間持ち主の傍を離れたら自動で戻ってくるようです。
どれくらいの時間と距離で戻ってくるのかはまだ試していません。
変形自在の『ジクスの森』でそれを試すのは、リスクが大きすぎるので。
最後の【複製機能】――…私としては、これがイチ押しの機能でした。
同じ『アーティファクト』は複製ができないみたいなんだけど、後はほぼほぼOK。
試しに車内にあった未使用の箱ティッシュと景品で貰ったトイレットペーパーを【複製】してみたら、本当に同じものができました。
神仕様です。感謝しかありません。
…あれ?アイテム説明を入れたら8つになる、かな?
でも、それって標準装備だからなぁ。
まぁ、いいか。
トイレットペーパーを【複製】したついでに竜賢さんにお願いして、大空間の隅っこに小さな穴を掘ってもらいました。
もちろん、周りを空き箱で囲って目隠しもばっちり。
用途?そんなコト訊くなよ。ハズカシイじゃないか(怒)
そんな調子で、こちらの世界ではないような物を片っ端から【複製】していきました。
特に、女の子の必需品である生理用品は欠かせません。
――賭けても良い。
この世界には、絶対に、コンビニもスーパーもドラッグストアも、ない。
これから先、また何十年とお付き合いするのです。
私にとっては死活問題です。
世の男どもには一生わかんないだろうけどな!
「……主は一体、何を言うておるのだ?」
「巨大な独り言です。気にしないでください」
…だから。
「標準装備」とか言わない(笑)




