第3話
『パールはこの先、ブルハング帝国に行くといいよ。そっちの精霊にパールみたいな心の清らかな子が行くって宣言しちゃった!』
私の行く先が決まったけど……。精霊さんが決めちゃったみたいな?
『向こうには神殿があって、俺達と会話ができるニンゲンがいたりするんだぜ?』
『え?それは初耳かも~。なんか楽しみになってきた♪』
遠足じゃないのよ?私はなんだか引率の先生気分。
『それって神官さんってやつか?』
『そうかも~』
神官かぁ。神殿とかないもんね、クーラル王国。国王を崇めよ的な?
崇めてほしかったらそれなりに人徳が欲しい所だけど、あんな王太子はちょっと崇めたくないなぁ。崇められない。ムリ!ムリムリ!
国が追放しただけのことはあって、国境は簡単に超えることができた。
徒歩だから、周りの人に「よく途中で獣に襲われたりしなかったもんだ」とか言われたけど、精霊さん達が一緒だし、結構大丈夫。
体力?
それはホラ、義家族がこぞって私を使用人のように使ったから、結構な体力がついてるのよ。そこらの貴族令嬢よりは断然に体力があると思う。
ブルハング帝国に着いていきなり服を引っ張られ、精霊さんに神殿に『早く神殿に行こうよぉ』と急かされた。
神殿に着いていきなり、カエラルという若い男性(多分)の神官さんに大歓迎を受けた。
シルバーブロンドのストレートサラサラロングヘアで修道服(?)を着ているけど、男性だよね?
「私はパールと申します。ええと、色々あったので貴族でしたが、家を追い出されたので今は平民でしょうか?」
「嗚呼、貴女のように多くの精霊様たちに慕われている方は見たことがありません!素晴らしいことですよ。生きていてよかった!この目でその姿を見ることが出来て私は幸せです!ああ、興奮のあまり忘れてしまい申し訳ありません!私はこの神殿に仕えているカエラルと申します。以後お見知りおきを!嗚呼、素晴らしい‼」
『カエラル~、パールが引いてるからあんまり大仰な興奮は止めた方がいいんじゃない?』
「あ、精霊様が仰るなら」
いいなぁ。会話ができてる。私は一方的に話が聞こえるだけだもんね。
「私でも会話ができるようになったりするのでしょうか?」
『パールと会話するの?楽しそう!』
『どうにかなんないのかよ、おい!』
「そのように脅されましても…。そうですね、貴女様の努力次第では会話が可能になるのではと思います。今まではどのようにされていたのですか?」
「話が聞こえてくるだけでした」
「精霊様がそこにいると信じていないとできなかったことですね」
「お母様が教えてくれたので」
「なるほど、お母様が!素晴らしい方ですね!精霊を信じていない方でしたら、怪奇現象と捉えていたでしょうね」
『酷い!僕らの話が怪奇現象……』
「パール様のような方に出会えて精霊様達も私も幸せです。しかしまぁ、家を追い出すとか見る目がない方もいるのですね」
いるんです。
なんだか、猪突猛進な神官さん登場です。




