表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/46

その29

 凌順が衝撃波を〝かれん〟に向けて放ったのと同時に、凌順と〝かれん〟の立ち位置が入れ替わった。

 直後に凌順を襲った〝ヘビー級の格闘家からぶん殴られたような衝撃〟は凌順自身が〝かれん〟へ向けて放った衝撃波だった。

 その場に崩れ落ちる凌順に構わず、王女の方へと身体を向けた〝かれん〟を取り押さえようと体格のいい灰猫人が掴みかかる。

 しかし、すぐに〝かれん〟と灰猫人の立ち位置が交代し、振り返った〝かれん〟はさらに向かってきた別の猫人とも入れ替わっていく。

 そんなことを繰り返し、ついに王女のもとへ到達した〝かれん〟は手にしていた虫かごを開くと、震えるように揺れる小さな王女の炎を中へと取り込む。

 その時〝かれん〟のふくよかな腰に、背後から芽衣の尾が巻き付いた。

 同時に〝あいり〟が後方で開きっぱなしになっている転送ゲート前のロクデナシへ叫ぶ。

「やれっ」

「はいっ」

 〝あいり〟と転送ゲート前のロクデナシの声に〝かれん〟が転送ゲートに向き直る。

 転送ゲート前に立っていたロクデナシが〝かれん〟に向かって叫ぶ。

「恥ずかしくねえのかよう。もっとやせろよう」

 そのロクデナシと〝かれん〟の位置が入れ替わる――腰に尾を巻き付けた芽衣もろとも。

 直後〝かれん〟と入れ替わったロクデナシが耳をふさいで崩れ落ちる。自身が放った衝撃波を受けて倒れた凌順を再現するように。

 ロクデナシの言葉は精神を冒す悪意の刃にして銃弾にして毒。

 〝かれん〟に向けて放ったそれらを、立ち位置が入れ替わることで放った当人が受けたことを凌順は理解する。

 転送ゲートの前に現れた〝かれん〟と芽衣の身体がゲートの中へ消えるのを見ながら――。

「撤収っ」

 ――〝あいり〟が叫んで転送ゲートへと入っていく。

 続けて〝れま〟も残っているロクデナシたちに告げる。

「全員撤収するしっ」

 〝れま〟の声を聞いたロクデナシたちが次々と転送ゲートへと飛び込んでいく。

「王女様っ」

 〝らる〟が〝かれん〟に連れ去られた王女と芽衣を追おうとするが――

「らる様っ、危険ですっ」

 ――〝ひゅん〟が押さえる。

 最後に残った〝れま〟の頭上で鳥人間が笑う。

「おう、猫ども。悔しいか、悔しいよなあ。だったら取り返しに来いよ。ちなみに今回、ここに来てるロクデナシは〝あいり〟と〝かれん〟――そして〝れま〟を除けば雑魚もいいとこだあ。校舎まで来たら三人組とか最強の〝ひまり〟が相手してくれるぜええ。くえええっ」

 その首人間の頭を〝れま〟は鷲掴みにすると――。

「こいつ、屋上へ降りてきた鳥を発光結晶体の破片で試験的に進化させたんだけど、しゃべりすぎだし」

 ――ばたばたと羽ばたく鳥人間を頭上から引きずり下ろし、その場で首をへし折った。

 そして、その死骸を〝らる〟と〝ひゅん〟に叩きつけ、ゆうゆうと転送ゲートの中へと消えていく。

 転送ゲートが光の粒子になって四散したあとには凌順の衝撃波を受けて意識を失った、あるいは芽衣の尾で薙ぎ払われ負傷して帰ることのできなかったロクデナシたちと鳥人間の死骸、そして、立ち尽くす〝ひゅん〟と〝らる〟を始めとする猫人たち――最後に倒れたまま動かない凌順を次々と映し出して再現映像が終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ