その28
跳ね起きた凌順は周囲を見渡す。
そこはベッドの上だった。
最初に落とし穴から運び込まれた発光結晶体管理局の医務室を思い出し、それ以降の出来事はすべて夢だったのかと混乱しかけるが、ベッドの脇には〝ひゅん〟とヘッドマウントディスプレイを装着して凌順の回復状態を診ている〝なぎー〟がいる。
さらに、ふたりの向こうに見える部屋の様子も発光結晶体管理局の医務室とは微妙に違っていることに気付く。
「起きたか。ここは王宮の医務室だ」
声を掛ける〝ひゅん〟におそるおそる訊いてみる。
「あれから……どうなった?」
頭の中を、気を失う前の記憶がフラッシュバックする。
謁見室に現れた巨大な転送ゲートから押し寄せるロクデナシの群れ、〝あいり〟とゴーグルを装着した〝かれん〟、鳥人間を頭に載せた〝れま〟、王女をさらおうと向かってくるロクデナシの群れを衝撃波で蹴散らす自分。
しかし――〝かれん〟に向けて衝撃波を放った次の瞬間、自分は〝あいり〟のとなりに立っていた。そして、それに気付いたのと同時に顔面に強い衝撃を受けて――そこからの記憶がない。
そんな自分の目で見たこと、自分の身の上に起こったことが、その意味不明さからも夢であったことを期待しながら訊いてみる。
しかし〝ひゅん〟の答えは――。
「王女様と芽衣様がロクデナシにさらわれた」
「芽衣までも……か」
呆然とつぶやく凌順から〝ひゅん〟が〝なぎー〟に目線を移す。
頷いた〝なぎー〟がヘッドマウントディスプレイを下ろして、サイドテーブルに載せた機械を操作する。
壁のテレビ画面が明滅して謁見室を映し出す。
「今の様子?」
目を細める凌順に〝なぎー〟が答える。
「いえ。あの時、あの場にいた全員の記憶から作った再現映像です」
映像は凌順が気を失う直前から始まっていた。




