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「青羽が泣いた日」

ある朝、校舎裏で青羽が立ち尽くしていた。


顔を背けるようにしていたが、頬には涙の跡があった。


澪がそっと近づいて声をかける。


「……泣いてるの?」


「わからない。……でも、なんか、痛い」


青羽はふるえる声で言った。


「澪が、何も言わずに笑うとき、俺、わかんなくなるんだ。

 “感情が欠けてる”のは俺の方なのに、どうしてこんなに怖いのか、意味がわかんない」


それを聞いた澪は、小さな手で彼の頬を拭った。


「それ、好きってことだよ」


「……なんで言い切れるんだよ。好きって、いつだって答えが曖昧なのに」


「そうだね。でも私、

 誰かが“わからないままでも側にいたい”って思う気持ちの方が、よっぽど本物だって、

 ……青羽くんに会って、知ったんだ」


その瞬間、青羽の胸の奥で、何かがふるえた。


わからないものを“信じたい”と思った。

失うのが怖いと、初めて思った。

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