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「兄の幻と、青羽の罪」
文化祭が終わった夜。
青羽は、夢の中で亡くなった兄・蒼真と再会する。
「また“逃げる”のか?」
兄の姿は、あの日のままだ。
線路の向こう側で、青羽が手を伸ばせなかったときの。
「あのとき、お前は“怖くて”声も出なかった。
人は、感情を知ったとき、必ず“責任”がついてくる。
それがお前には怖かっただけだ」
青羽は震えながら言う。
「今も怖い。
でも、澪が“わからないままでも、向き合おう”としてるのを見て、
俺だけ逃げられないって思った」
兄は微笑む。
「なら、進め」
「“感情”は、自分だけじゃ育てられない。
誰かと“交換”して、初めて重さを持つものだから──」