漏れは毒虫
朝。目覚めたをれは、なんだかいつもと違う感覚に戸惑った。
何か変だ。気分が悪い。頭がガンガンする。
階段ををり、リビングに入ると妹がわっと声を上げた。
「わ! なに!? なんなの!?」
その時、違和感の正体に気づいた漏れだったのだが、妹は有無を言わさず漏れに対し、手あたり次第、物を投げつけてきた。
「やめろ、やめるでござるデュフフフフフフ!」
「キモイ! キモイよ! 何その体! それに言葉遣いまで! あっち行け! てか死ね!」
漏れはママンに助けを求め、目を向けたがママンはイモウットを止めるどころか漏れに対し、一緒になって物を投げつけ、漏れはやむなくリビングから退散。
このまま家にいたら命が危ないと感じた漏れは着の身着の儘、外に出た。
しかし、それは失敗であった。服のサイズが合わず、逃げているうちに服が脱げてしまったのだ。
「うわっ!」
「きゃあ!」
「なにぃあれぇ?」
「やだー」
通勤中のサラリーマンやら主婦やらJKやらが蔑んだ目で漏れを見る。
ひぃひぃと逃げている最中、頭に浮かんだのは昔読んだ小説。あれと一緒だ。朝目覚めたらまったく違う生き物に変身していて家族に、全員に疎まれてしまうのだ。
「痛いっ!」
不慣れな体のせいか漏れは転んでしまった。いや、違う。石を投げつけられたのだ。誰に? 全員にだ。漏れは取り囲まれ、罵詈雑言と石を浴びせられた。
「キモイ! ほんとキモイ!」
「死ね!」
「マジ見んなし」
「くたばれ」
「ぽまいら! やめ、やめるでござる! 漏れは暴力は嫌いでコポゥ!」
「喋んな!」
「なんて不快な生き物なんだ……」
「気持ち悪いな」
「言葉に知性のかけらも感じない」
「ああ、苛立ってくる」
「殺してしまえ」
「そうだ、殺そう」
「コポポポポ! 漏れはナカーマでござる! やめるでござる!」
漏れの必死の弁明も虚しく、漏れは……
「あれ?」
夢であった。ホッと一息。自分の体を見回すと、うん、確かに元のままだ。
しかし、酷い悪夢だった。まさか、あんな醜い生き物に変身してしまうなんて……ああ、振り返ると身の毛が寝てしまう。
こんなのさっさとみんなに話して笑い飛ばして、で、忘れよう。
「ふぅ……うーっす、え、あれ? その姿……」
「え、いや、いやあああああああああああああ!」
「うわ、うわああああああああ!」
「なあああああああ!」
リビングにいた妹。母。父。その姿はあの夢の中の自分の姿とそっくりそのまま。
そして、テレビに映るアナウンサーの姿からして、この世界ではそれが標準なのだと察した。
これはどういうことなのか。超常現象。別世界に迷い込んで……わからない。だが言葉が通じるならば、まだなんとか平和的な解決方法が、あ――
※作者からのを知らせ。
パソコンの不具合かどういうわけか、一文字だけ、そのまま使うことができませんでした。
どうにか形にしようと試行錯誤の結果、そのせいで文章中に一部乱れがある上に、それに準じて、登場人物の口調、そして話の展開も少々引っ張られてしまいましたが、どうか、を気になさらず……。




