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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第95話 港町リビウ

夜の部、スタートです。


王国歴 261年12月



リビウ村までの鉄道工事が始まった。


だが、その前にわずか67世帯のリビウ村を港町リビウに生まれ変わらせなければならない。


ここの村長では、人口数千人規模の町が運営できる筈もなく、また、軍港が管理できる人材はいないだろう。


仕方なく国王から子爵位を賜り、海軍省の少将への任官もされてしまった。

だが、私からは、この港町の開発が終わった暁には、町の領主はアンジェラ姫にお願いしたいと申し出た。

私は海軍だけをお預かりします、とも。



既に高速哨戒艇は3隻が完成していた。


この高速哨戒艇は最終50隻程度を作る予定で、5隻を1部隊として6部隊30隻を割り当て、メンテナンスと整備訓練用に10隻、そして海軍訓練学校用に10隻を配置予定なのだ。



まずは軍港を作らなければならないが、海岸付近の海を濁らせると漁に影響が出てしまうため、現在の浜の南に突き出たイワノフから続く山脈の岩壁を崩してドックを作り、海軍省官舎、宿舎、学校を作ることにした。


大まかな配置図と設計図を作るために、アリスそっくりに改造したAI人形と私の2人でリビウに来たのだが、ショコラ支部出発までが大変であった。


アリスは妊娠しているため、屋敷内で中型船(30mクラスの巡視艇)の設計をする予定なのだが、AI人形の姿形をアリスそっくりに改造した事が波紋を呼んだようだ。


だが私は、対外的に浮気していると思われるのが嫌だったし、アリスの影武者の方が、アリスは安全なのだと説明した。


本当は、アリスの全身を細部まで知っていて、胸の形や弾力まで再現が可能だったからだ。ばれるとすれば50kgという本人より重たい体重だろう。



港町リビウで軍港を建設すること4か月。


海軍省の施設が形になり高速哨戒艇が半数ほど揃ってきた頃、漁村の元漁師達を操舵手として採用し、船に乗った経験のある守備隊隊員を海軍の兵士として採用した。


元漁師達を採用したのは、軍でもある程度は食糧を自給できるようにしたかったからだ。


全長約10m、幅約3.7m、船外機が2基、後部に銃座を2基据えている。

米海軍のCR-34を模倣しているが、船首に銃座は無い。


最大船速60kmの驚異的な旋回性能の船の操舵を任されるのだ。

彼らの自尊心が操縦技能をさらに磨き上げていく。


そしてこの漁村出身の王国軍兵士も戻って来ていた。

後部に2つ設置された銃座に38式歩兵銃を固定して、高速航行しながらの銃撃訓練。

2人の競争心が命中精度を上げていく。



だが、船酔いの克服には長い修練が必要だ。


船上訓練の次の日は、陸地で構造の勉強とともに整備の訓練もこなす。


意外な事に海軍省への入隊希望が多く、あっと言う間に定員の60名に達したため、海洋資源調査隊と称する部隊を新設し追加で60名を募集する事にした。


早い話、海軍省で漁業もしてしまえ、という訳だ。

後部の銃座に竿を取り付ければ漁船に早変わり。

もちろん地元漁民の仕事を取るつもりは無い。


中型船が開発できれば、近海もの以外の沖合での漁業や、他国の状況調査もしたいのだ。



120名の文官と武官、及び、食堂や施設維持など関係者を含め数多くの者を海軍省として雇用、教育しているため、港町リビウは活況を呈している。


王都ショコラでもそうだが、工場労働者が増え、それに伴いギルドのある庶民エリアは、飲食店、宿泊施設、歓楽街、どこも賑やかだそうだ。




王国歴262年5月


アリスが女の子を出産した。


出産の兆候が出てすぐにショコラ支部に戻っていた私だが、正直、何もできない。

近所に住むマリリンが出産の助けに来ていた。

当然、ジャックとターニャも一緒だから、全員で対応しているようなものだ。


マリリンの双子は既に2歳を過ぎて、解読不能な言葉をしゃべっていて、ターニャが通訳をしている。


子供の世話はマリリンが北の里から連れて来た彼女の信用ができる世話係がしているそうだ。




国内産業は今、北方方面軍の戦闘訓練と食肉と木材。

南方方面軍のバギー車生産と運転免許事業。


海軍省が大型都市建設とインフラ整備、そして海産物の採集と販売。

鉱山町は鉱石の採掘で活況を呈している。


王都ショコラも国営工場の稼働と都市再開発で潤っているし、セメントが大量に必要なため研究所も大忙しだ。



だが、この国の公務員が少な過ぎるのが現状だ。

そこで、王立学園をこの国の幹部養成校と明確に位置付け、当面の課題である外務省職員をここから排出できるようにと考えた。



まず、外務省のトップをアンジェラ姫にやってもらう。

当然その部下をこの学園から選ぶのだから、王立学園の学園長に就任してもらおう。

5年生は間に合わないので、現状のまま王国軍や嫁にでも行ってもらおう。


外務省の概要について、宰相閣下に申請をおこなった。


1.外務省は対外的な交渉機関であり、正式な国交がある国に大使館や領事館を設置し、入国を希望する者の審査済証を発行する。国境には入国審査場を設置する。

2.外務省は外国との貿易交渉を行う唯一の機関であり、取引を希望する業者、団体の審査済証を発行する。



『帝国と文章での交渉が可能ならば、国交及び大使館についての打診をお願い致します。』


と書き添えておいた。





お読み頂き、ありがとうございます。


誤字報告、ありがとうございました。

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