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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第89話 偵察機のお披露目


王国歴260年10月1週


私も13歳になった。


国王陛下に裁可いただき、王都は名称をフエキと改め、旧王都は王都ショコラと改称された。


これにより王族はショコラ王宮に戻って頂いた。

そして、フエキの元王宮は内部の豪華な内装を排し簡略化して参謀本部となったのだった。


今日は王太子と王族の方々に立ち会ってもらい、宰相とシンシア、エリオット、そして我々、カールとアリスがここに居る。


王族の方々が移転に賛成はしたものの、その理由に納得いただかなくては、『追い出された』という心理を敵対勢力から悪用されかねないためだ。


「さて、今から偵察機コンドルの紹介を致します。」


そう言って、アリスに合図すると、参謀本部に設置したディスプレイに各地の外を向いたカメラ映像が写し出された。


東の森の上空、南の湖の上空、鉱山町から見たイワノフ山脈、北方方面軍から見た砦のようす。


4枚並んだ26インチディスプレイの上に、少し大きな43インチディスプレイ。

そこには、最近まで王都と呼ばれたキエフの町が映っていた。

リモコンを操作するエリオット。


国王「こ、これはどういう仕組みが知らんがすごい景色だな。」


「はい。では東の森方向を見てみましょう」


画面には、フエキ南東部にある我が屋敷のカメラでとらえた偵察機コンドルの下からの姿が写っていた。


「あれが、偵察機コンドルです。」


画面が切り替わり、肥料を配った街道周辺の村の麦畑と、もう少し北側の村を映していた。


「右側に見えるのは、私達七曜が肥料を渡した村で、左側が街道に面していない村です。このように偵察機を使うと、国内でも肥料の配給が届いていない場所がある事が分かるのです。」


時速400km以上は出ているのであろうコンドル。

あっという間にハリコフ町と東部方面軍の景色を映し出し始めている。


そこから大きくターンして南西方向に向かう偵察機。

(実はショコラ上空を経由、漁村リビウ村を目指す。)


その間、シンシアが、各拠点に対し、異常が無いかの報告を求める。

さくらではあるが、北方方面軍より


方面軍「北方方面軍より連絡。ダンジョンを発見するも魔獣の群れが砦に向かっているとの知らせがあり、至急、食料と弾薬の補給をお願い致します。」


シンシア「了解。本日12時発の臨時鉄道便にて補給を行う。必要物資の明細を述べよ。」


方面軍「北方方面軍より緊急連絡の演習を終了致します。以上。」


「このように、即時連絡網と鉄道輸送を使えば、いかなる外敵にも負ける事はないでしょう。そして、国内の農業生産の現状、国内の交通路の状況など」


画面が切り替わり、ハリコフから砂漠の町ボルスキーに至る細い街道で、馬車が脱輪している姿が映し出されている。

(これは昨日、偶然に撮影できた物だ)


「経済活動まで見る事ができるのです。」


「このような装置は、誰が見ても良いというものではありません。」


「参謀本部でシンシア少佐がこれらの機械類を操作して情報を収集し、王太子にお見せ致しますので、王太子には、この国の経済の発展を阻害するもの、この国の安全を脅かすものを排除して頂きたいのです。」


「そして、ショコラにも通信施設は設置してありますので、国王様や王妃様には、それらの情報を見て、必要都度、王太子に助言されれば良いと思います。」


「しかし、しばらくはショコラにて、王太子の采配を見守って頂きたいのです。王太子の対応を確認してから意見交換をされるのもいいでしょう。いざとなればショコラから鉄道で半日です。」


「いかがでしょう、国王様、王妃様。」


国王「うむ。なるほど、ここまでの説明を聞いて目が覚めた思いだ。カール殿、君がデリンジャー王太子と力を合わせて政治に関わってくれれば、さぞ、成長できるであろう。期待しておる」


王妃「私も、カール殿の意見、誠にありがたい事だと感心しました。今後は談話室にあるその装置を自在に操作できるよう指導をお願いします。それと、デリンジャーの事、よろしくお願いします。」


アンジェラ「ああ、お兄様が羨ましいです。」


「何をおっしゃっているのです。これをご覧ください」


そう言って、ショコラを上空から撮影している偵察機の映像を見せる。


「ショコラは鉄道も通り、これからも変わります。このさびれた貴族エリアをご覧ください。放置され誰も住まなくなったエリアです。ここを開発したいと思っています。また後日、宰相閣下ともご相談のうえ、ご報告をさせて頂きます。」


そこから望遠でキョルトの古城を映し出す。


「それと、ここはキョルトの町です。この古城がダンジョンになってしまいました。かつて、王族派と貴族派に分かれ内紛が起こった場所ですが、ここに当時の失われた遺品が残っているのです。ここへ騎士団を派遣し、魔物を退治して頂きたいのです。」


国王「うむ。私から指示を出そう。」



「最後が、あの遠くに見える漁村リビウ村。あの場所に港を作り、この国の玄関としたいのです。そのためにもショコラには船の生産基地として、外交の場として、誇りを取り戻して頂きたい。元気を取り戻して頂きたい。」


「そんな思いで王都にお戻り頂いたのです。決して田舎に引っ込んだような気分にならないでください、アンジェラ姫。分かりましたね?」


アンジェラ「分かりましたわ。私も外交官として努力します。」



と、いう事で、王族たちにはご機嫌よく帰って頂いた。やはり、リアルタイムでいい映像を見せようとするのは、難しいな…。


早速、王太子は偵察機で遊ぼうとしたが、配給であるはずの農業肥料が、なぜ届いていないのか?に対応してもらう事になった。


シンシアが方面軍に、調査隊の編成と調査の指示を飛ばす。

バギー車があるのだから、2人1組で調査は簡単なはずなのだ。



夜になり、エリオットのペンダントの精霊さんが飛び立つ時が来たそうだ。


充分に『喜』のエネルギーを得て成長しましたと言ってくれたそうだ。

シンシアとうまくいっているという証拠だろう。


ペンダントの風魔法の補助機能は失われてはいないが、精霊さんはいなくなっていた。



お読み頂き、ありがとうございます。

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