表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
86/164

第86話 偵察機


フローレンスの話を聞いて、とにかく他国の状況を知るための機械式魔法鳥が必要だと思った。


飛行方式は風魔法1択。

楽なのは滑空方式の飛行機タイプだが、風の影響を受けやすい。

場合によっては墜落の可能性もあり、他国での運用では不安もある。


飛距離を得にくいが、6噴射ヘリタイプなら落ちる事はまず無いだろう。


軽量ボディにするためアルミ製として、中心部に魔石と魔法陣、下側に偵察用『人口眼球40』、進行方向制御用に『人口眼球NZ』、電波が受信できなくなれば、自動的に帰還するようにプログラムしよう。



メカは3日で組み上がったのだが、6つの噴射口の空気圧力を自在に制御する事が難しい。


一つの風魔法で、これを分けるバルブが難しいなら、4つの風魔法を4つの噴射口に使う方が簡単だ。


私の魔法陣では6つの魔法を同時に制御するのは数が多すぎるのだ。


飛行機タイプはホバリングを考えなくて良い分だけ、魔法陣としては組みやすい。


風魔法も4噴射口あれば充分だ。


単独制御は要らない。

左右の2制御。鉄道基地の上が直線距離も十分なので、飛行場代わりになる。

吹き矢武器も搭載できるが逆風になり、後ろ向きにしか発射できなかった。



画像用と照準用の2つの役割を果たす『人口眼球40』。


余っていたとは、勿体ない。

爆撃機のような姿で完成した。風防の中に『人口眼球NZ』目玉の可動範囲が活かされている。


現状の問題点は、電波の届く範囲だ。


実験の結果、王都からだと東の森上空、南の湖、北の国の砦、鉱山の町、全てOKだった。


そして、西の海辺から海上に出たのだが、何やら沖に島が見えた所で、電波が途絶、自動的に座標0、0の屋敷目指して帰還モードに入ってしまった。


最初から分かっていたが、航空機は着陸が最も難しいのだ。


プロペラの羽が無いのが幸いだが、手動でも飛行場には着陸できない。

減速手段が無かったのだ。逆噴射させれば機首から落ちるだろうし…。


少し飛ばしている間に、シリコーン樹脂で大きな網を作り、ここへダイブさせる事にした。


大きな鋼鉄のパイプを飛行場の先に設置し、その間に網を張る。


飛行場手前から噴射を止めて、フラップを出して滑空状態にする。

機首を若干上げ気味にかな…。


タイヤを出して、滑走路に…跳ねる!また跳ねる!タイヤにはブレーキは無い。


下手をして機首がコンクリートにのめり込むのを避けたのだ。


ああ、やっぱりオーバーランして、網に突っ込む偵察機。

だが、無事ならこれでいいか?後尾からパラシュートを出す構造に変更してみよう。


『偵察機コンドル』は、全長3m、全幅2m、最高速度不明の機体である。





王国歴260年6月1週


屋敷の敷地に電波塔を建てて、全方向八木アンテナとパラボラ式指向性アンテナを付けた。

これから、再び3人で電波塔建設の旅にでる。


朝早くに屋敷を出たが、前回同様に往路は直線コースを取っている。

夜5時にハリコフに到着し、東方方面軍の本部官舎に訪問する。


『ピシッ』


いつものようにブーツが当たる音と敬礼から始まり、こちらも敬礼を返す。


「七曜のカールです。アンドレア隊長に面会がしたい。」


そう言って身分証を見せると、いきなり、案内される。(確認はいいの?)


3階応接室に通され、ここで待つ間に呼びに行くようだ。


しばらくしてアンドレア隊長とマチルダ副隊長がやってきた。

挨拶のあと、明日の建設工事に工房と資材を使う許可をもらう。

宰相にも連絡を依頼した。


そして伝言鳥を飛ばしたあと、町に宿屋が無いため、官舎に泊めてもらった。


アリスも屋敷の設備を作るまでは、何を作るのか想像ができず、ただ見ている事しかできなかったが、今回は2回目なので、自分の作る部品を、リストを見て決めているようだ。


ここで作る施設は、屋敷と同じ電波塔ではあるが、規模が小さく、屋敷との1回線しか作らない。


1階には通信室という名の部屋を作るので大きいが、平屋なので1階をまたぐように鉄骨を組んで行く。

高さは3階程度10mだ。


鉄骨のポールは1階で方向を回せるようにしてある。


頂点には避雷針。

最上段が監視カメラのようなケースに納めた『人口眼球NZ』だ。帝国方向に向けてある。中段が全方向八木アンテナ、下段が王都方向のパラボラアンテナだ。


通信室には机と椅子。

そして天井まで届くポールを立てて、顔の位置にディスプレイとその上にピンポン玉サイズの『人口眼球NZ』。

但し瞳が動かないように固定してある。

動くと気持ち悪く思うだろうからね。そのとなりはマイクだ。


人口眼球が物体の移動を検知すると、電源が入る仕組みだ。

私が部屋を土魔法で作り、内部に機器を設置して電波塔が完成した。


明日の日曜日、屋敷の電波塔と通信テストを行う事にした。


屋敷のパラボラアンテナは、『東方方面軍ハリコフ』と書いてあるレバーを左右に倒せば、パラボラアンテナがモーターで動く。


地方のアンテナは部屋の中のレバーを手で動かす方式で、一度調整したら、そこで固定してしまう。


最初に、屋敷の操作員は自分の顔がモニターに映るようにカメラを調整をしてから、屋敷の受信アンテナのレベルを確認する。


次にハリコフのアンテナ位置を調整する。


受信レベルが最大の位置で固定する。


隊長と副隊長を呼んできて、本部呼び出しボタンと、呼び出された時のブザー音を教える。


屋敷の設備には、ディスプレイが7つ付いている。


執務棟、東方ハリコフ、南方バルナ、鉱山イワノフ、旧王都ショコラ、北方フェドラ、偵察機コンドル。

だが、地方が繋ぐのは宰相のいる執務棟だけなのだ。我々はその信号を中継する。


「宰相のおられる執務棟側の工事が終われば、通信テストを行う。6月末日からは、この部屋に1人は必ず人を配置するように。それと、これはこの塔からの景色だ」


そう言って、入力を切り替えると、帝国方向に向いた『人口眼球NZ』の画像がモニターに映った。


隊長「おおー、これはすごい。」


副隊長「これで常に帝国側が監視できるのですね。」


「その通りだ。動くものを発見すると、その場所が中心になるように映る。夜も人間より目がいいから、役に立つ筈だ。」


そう言って、説明を終えた。


まだ昼なので、その他の施設やバギー車を見てから移動を開始した。


今日は南方方面軍までの途中で、無理をせずに1泊の予定だ。

このような地方の電波塔を3週間で東方方面軍本部、南方方面軍本部、北方方面軍本部、鉱山町の王国軍連絡事務所に設置を終えたのだった。



お読み頂き、ありがとうございます。


携帯で読みやすいように、と長文を区切ってみたのですが、いかがでしょう?

書くってむつかしいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ