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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第80話 砂漠のサンドワーム退治作戦


この日の夕食は、実に手の込んだ料理であった。何より『これを出していれば大丈夫』みたいな料理は無かった。創作料理の数々。前回のゲテモノ料理とは雲泥の差であった。


最後に料理長が来たので、聞いてみた。


「前回のあの奇妙さが売りの料理は、一体何だったんですか?」


料理長「いや、全く面目ない。あれは共和国で定番の薬膳料理とかいうもので、帝国の皇帝にも出される料理だって言われて、客が珍しがるので作ってたんだが…確かに言われてみれば、『美味しかった』と言われた事は無かった。すみません。」


「いいえ、そうですか。で、そんな料理をどこで知ったのですか?」


料理長「帝国や共和国にも行った事があると言ってた冒険者で、特に特徴のない男の人でしたが、話だけは面白くて、ついつい話を真に受けてしまったんです。」


「その人は、どこから来て、どこへ行ったか分かりますか?」


料理長「さー、鉱山の方から来たみたいでしたね。どこへ行ったかは知りません。」


「そうですか、ありがとう。今日の料理は最高でしたよ。」


料理長「本当ですか、ありがとうございます。」



料理長が帰ったあと、エリオットがおやすみの挨拶をして、2階の部屋に移動しようとしたので、少し自分の気持ちを2人に聞いてもらう事にした。


「前回、アリスと2階の部屋に行ったのは…」


「僕はまだ12歳なのに、急に体が大きくなって、しかも、マリリンに男にしてもらった。そんな自分の肉体に精神が引っ張られているのかも知れないけど、アリスが好きでたまらない。そんな気持ちが溜まっていて、それをアリスに打ち明けたかったからなんだ。」



「今回の旅が終われば、エリオットと私は卒業試験を受けて、王立学園から卒業資格が得られるだろう。3人で旅をするのは今回が最後になりそうだから、今夜はこの部屋でみんなで寝よう。それでいいかな?」


エリオット「了解」


アリス「わかった。」




次の日の朝、南方方面軍の官舎に行き2階会議室で、北方の訓練から帰還した隊員20名に説明を行う。


「今回の『砂漠のサンドワーム退治作戦』には、新しい武器を投入する。一つはこの38式改造自動小銃だ。諸君が訓練した38式歩兵小銃との違いは、歩兵銃は遠距離用の武器だが、この改造自動小銃は銃身が短く、命中精度は落ちるが銃弾が自動で装填されるため速射性が良い。」


「北方で見たことがある者もいるだろう。だが、ここでは違う使い方をする。要点はこの炸裂徹甲弾だ。弾頭の部分が3つに割れて、魔物の体の中で広がるのだ。そのため貫通はしない。この弾丸は更に命中精度は悪くなる。外に出よう。」


そう言って、外に出て演習場の的に1発撃ち込むと、的が粉々になって飛び散ってしまった。


「今後、南方方面軍が砂漠で魔物退治をする際の乗り物を、ここで作る計画だ。軽装甲車にエンジンが5基積んであるから、作業のできる部屋に運んでくれ。」


隊員「うおー、乗り物だってよー。すげー」


そんな声とも、雄たけびとも言える歓声のなか、木箱に入ったエンジンが5基運ばれていった。


「これから、とりあえず狩りに行く隊員は、ここへ並んでくれ。」


そう言って、隊長、副隊長以下並んだ5名に、38式改造自動小銃と弾倉を渡す。


「的が勿体ないから、今から尖頭弾を配るので、射撃練習をしてもらう。本来は10発入りの弾倉だが、今回は5発しか入っていない。1発でも外したら、メンバーチェンジだ。」


『えっ?』と顔色を変える隊員達。容赦なく。


「では、練習を開始する。位置に付け! 耳栓を用意、装着!」(ヘルメットの内部に収納されている紐付きの物)


練習場の10個のクロスボウ用の的に向かって、5名が並び、1発ずつ肩を叩かれた者が撃つ。


『パーン』『パーン』『パーン』『パーン』『パーン』


緊張していたようだが、命中率が落ちたとは言え尖頭弾だし。100m以内なら、照準からずれた感覚は無いだろう。


よし、隊員5名は全員が馬に乗って、私達は軽装甲車で60km先、ルハンシクの砂漠前見張所に向かう。ゆっくり走って2時間。見張所に到着し車を置いて、今回はここから歩いて行く。全員に炸裂徹甲弾が10発入った弾倉を渡す。我々3人も武器とロープを持っていた。


ここから5分歩くと砂漠になるが、まだ底が浅く、魔物は出て来ない。


「最初は私達がやるから、見ておいてくれ。」


そう言って、更に歩く。30分ほどして、急に『グワー』という音を出して砂漠から飛び出すホース状の魔物。これがサンドワームだ。


最も高い位置の口周辺に向けて1発撃つ。


『パーン』『パーン』


アリスが高さ1m位置を、ほぼ同時に撃ったようだ。それぞれ見事に5cmほど穴が開いて、砂上に落ちた。


私はエリオットと一緒にワームの口付近に紐をくくり付け、引っ張る。動かない。動くわけがない。仕方ないので、隊長と副隊長には、新たなワームの出現に警戒をしてもらい、残りのメンバーに手伝ってもらって、ワームを砂の中から引きずり出した。


全長は3mから4mくらいだろうか。直径は15cmから20cmほど。前面が全て口で歯が内周部に並んでいる。赤い血は見られない。内部は噂通り透明なゼリー状だ。これを軽装甲車の後部室に積み込んでいく。


まだ、実際に撃っていない者は、ペアを組んで2人一組になって、サンドワームを仕留めてもらう。やはり、急に出て来られると狙いは外れるようだ。8人4匹倒して戻る。

まだまだ退治したそうだったが、今日は目的が違うのだ。


作業室にワーム4匹を降ろし、午前の作業は終わりだ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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