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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第8話 サマンサの研究ノート


王国歴 254年11月第3週


薬の名前を聞いただけで調合が頭に浮かぶようになったのは、1年半経過した7歳の時であった。

HP:89 MP:512 半年経ってもこの程度。

加護が無ければこんなものなのだ。



だが、外見だけは女の子を卒業して、誰が見ても男の子の腕になっていた。

二の腕のプルプルする脂肪はもう無い。

力こぶも標準並みになった。



そこで、守備兵の父に頼んで兵士の『守備の型』を見せて欲しいとギルドマスター経由でお願いした。


理由は7歳になり腕力も人並みになった事と、冒険者ギルドで体作りを継続している事をギルドマスターのタイガーさんに証言してもらうためだ。


父が非番の午前中に、冒険者ギルドで剣による『守備の型』を見せてもらった。


私には『守りの戦闘力』があるはずだから、体のさばき方、かわし方、剣による弾き方、足運びなど、色々と注目しながら何度も見せてもらった。


「今はまだ、真似をする事もできないけど、必ず自身を守れるように頑張ります」


そう言うと、父は私を抱きしめて『男らしくなってきたな』と褒めてくれた。


見ていた暇人のギルドマスターも『守りの型』習得のために協力してくれるそうだ。



ところで、この日の昼食で初めて肉を食べた。

ごちそうしてくれた父は『もっと肉を食べるようにしなさい』と言っていた。

稼げるようにしないといけないなーと思う。


味?カップ麺の謎肉程度ではないだろうか。




私は、魔道具店で店番をしながら魔法陣の勉強をしている。


魔法陣は失われた古代の魔術である。


それは数式と幾何学が混ざったようなものかも知れない。

魔法陣のデザインはそれを構築した人の好みが反映される。

指輪から呼び出された本によると、中心部分には利用する精霊が描かれる。


本には目次インデックスがあり、興味がある『転送』を探すと確かにあった。


この本に収録されていた転送の魔法陣は、中心に風の精霊の絵が描かれ、その周囲に精霊の名前が書かれているようだった。


魔法陣のデザインは、その魔法が5つの数式で完成になる場合、1番目の式が、中心の最も近い環に書き込まれ、2番目、3番目と外周に年輪のように書き込まれる場合もあれば、星型のように、頂点部の5つの三角形に書き込まれる場合もある。


つまり形は自由なのだ。


転送に話を戻すと、まず、転送したいものを魔法陣に直接触れさせるか、動作範囲に納める。

次に、対象物を分子レベルに分解する。

次に風の精霊のちからを借りて、指定された座標に吹き飛ばすことになる。


風の精霊が未知な物、理解できない物は扱う事はできない。


呼び出された本に書かれていた魔法陣は、フリアノンが鉱山の資源を運ぶために使ったものだそうで、受け取り側の魔法陣の中心には、土の精霊の絵が描かれ、名が記されている。


つまり、ざっくりと鉱山の土を送ると、受信側で種類ごとの資源に分類されて出現するしくみだそうだ。

受信側に特に機能が無い魔法陣の場合には、土のまま現れる。


この指輪から呼び出される本は、1日に1冊しか出てこないし、私しか触れる事ができない。


『こんな勉強がしたい』と願うと、関連した魔法陣の本が出てくるが、サマンサさんが触れると消えてしまった。


そして、その日はもう本は呼び出せなかった。


サマンサ

「申し訳ない事をしたね、お詫びにこれを渡しておくよ。これは私が小さい頃から、聞いた話、経験した事なんか、色々と研究してきたノートだよ。これでも読んで暇潰ししておくれ。」


サマンサさんの研究ノートには、魔術と魔法についての考察メモがあった。



『初級魔法と呼んでいるものは、大抵の人が使える魔法だ。体内の魔力循環ができれば、自身の魔力を使ってほぼ発動が可能だ。このような自身の魔力で発動させるものを魔法と呼ぶ。一方、中級や上級のように火の精霊、水の精霊、土の精霊、風の精霊のような精霊の力を借りる大規模なものは魔術師系の加護がないと発現できない。これら、精霊など自然の力を使うものを魔術と呼んでいたのではないか。』


なるほど…。まー私には魔術師系の加護はないからね。


サマンサさんの元彼の研究も書いてある…。

ゴーレムを使役する魔法の研究のようだ。


彼は呼び出したゴーレムの体内に入り、単純な動きしかできないゴーレムに、複雑な動きをさせようとしていたみたいだ。

面白い研究だな。



次の日、古代文字についての記述を読んでいた。


それによると、古代文字とアバウトに呼んでいるのは、使用者又は開発者によって使用する文字や解釈が異なるからだ。

いわば文法が統一されていないという意味だ。


本の記述によれば、魔法陣とは使用者と精霊の契約であり約束事である。


行使には、まず本人である証拠が必要なので、その証拠に本人の血を使って書かれた事がある。


そして、契約内容、つまり魔法陣に記された内容が他者に知られない事が求められた。


そのため好んで古代文字を使って、自分の文法で魔法陣を書いたようだ。


そうする事で、他者が見ても何が書かれているのか、文字を知っていても、文法が違えば、意味不明になるからだ。


使用者独自の文法が、本人である証拠とみなされて、コピーした魔法陣が行使できたのではないだろうか。


では、魔術の魔法陣でなく、魔法の魔法陣はどうすればいいのだろう。

確か男神は『曼荼羅』というヒントをくれていた。

私の知る曼荼羅は、円の中に仏の絵が描いてあったが…。

今はまだ、何も分からない。

誰にも読めない日本語で書いてみようかな。

実験だ。



私の現在の1日は、朝から冒険者ギルドで訓練場5周。

これはほぼできるようになったが、余力はまだない。

今日はこの訓練場でゴーレムの魔法を使ってみよう。


呪文は研究ノートに書いてあった。


「……… ……… 出でよ! ゴーレム」


地面に手を付いて、呪文を唱えると、5mほど先に訓練場の土と砂を使ったゴーレムが現れた。


自分が思ったほど魔力は消費していない。

ゴーレムと一緒に訓練場5周してすぐにゴーレムを解体して土に戻しておく。

土魔法の練習は錬金師の訓練と相性がいい。


次に腕立て伏せ30回。

腹筋も同じく30回。


少し回数を増やしてもいいのだが、回数よりもメニューを増やして体全体のバランスも考える必要がありそうだ。


最後が木剣の素振り30回。

そして守りの型。


ギルドで昼食を取って、魔道具店へ行く。




お読み頂き、ありがとうございます。

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