表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
76/164

第76話 神の回復術


お勧めの宿に着いて、シングルを3つ頼んだ。部屋に入ると2人が迫ってきた。どうしてあんな回復魔法が使えるのかと、いつ指輪を手に入れたのかと。


「分かったから、落ち着いて。指輪を手に入れたのは、あの古城ダンジョンのボス部屋で、宝箱から手に入れたんだよ。2人共気絶していたから見てなかっただけだよ。」


「アリスと同じで、使い方は指輪が教えてくれるから、できているだけ。」


『ほら』と、エリオットの指に付けて、『僕を診察してみて』と言うと、しばらくして、


エリオット「何を言われているのか、さっぱりわからない。細胞?DNA?」


エリオットから指輪を外して、自分の指に付ける。(指輪さん、ありがとう)


「この指輪は神の知恵を追加で授ける指輪だから、元々、神の知恵がないと理解できないし、使えないんだ。だから、私以外には使えないって事さ。だけど、大切な事だから言うけど、この指輪でできる回復はアリスの回復と違って、標準の体を授ける魔術なんだ。」


「例えば、アリスの右手が無くなって、この指輪で右手を治したら、男の子の腕が生えてくる可能性もあるんだ。分かる?だって、神が腕を作るんだから。」


アリス「えー、分かるけど、怖すぎる。」


エリオット「ああ、そういう事か。だから姫さまの肌は赤ちゃんみたいなプルプルのほっぺになったのか…」


「そうだよ、だから古い肌があんなに、気持ち悪いくらい取れただろ。」


「アリスの回復魔法は、時間は掛かるけど、白い魔女が使った本当の回復なんだよ。」


「僕のは、この指輪でできるのは回復じゃない。何と言ったらいいか分からないけど、全く別のものだ。」


これで3人が同じ危機意識を共有できたと思う。


「だから、アリスはもっと自分を守れるように練習してほしい。エリオットも。」


アリス「分かった。今度はやられないように練習するね。」


エリオット「僕も素手以外の武器も練習するよ。」




次の日、朝食の硬いパン、スープと小さな焼き魚が出た。(味はあまりしない)そのあと、トレーニングメニューをこなす。腹筋、腕立て伏せ、素振り。


冒険者ギルドに行くと、社長を迎える社員のごとく、礼儀正しく対応された。


「ギルドマスターと会談がしたい。」


そう言うと、しばらくして3階の応接室へ案内された。


「おはよう、ダニエルさん」


ダニエル「おはようございます。カール様。今日はどのようなご用件でしょう。」


普通に会話が始まったのだが、伝言鳥がやって来て、肩でささやき始めた。


伝言鳥「カール様、シンシアです。姫様との契約が終わりました。王都へお戻りください」


伝言鳥は消えた。


「悪いね。今日王都へ出発しなければならなくなった。そこで、私からの提案だ。」


そう言って、以下の話をした。


・このショコラに鉄道が来る。まだ測量さえされていないが、線路用地幅6m、駅の用地幅8m、鉄道は町の東側から来て駅に停車後、北に抜ける。王宮を取り壊す事はあり得ないから、貴族エリアを北にまっすぐの用地を確保しておけ。


・今後、西のレビューの港町を開発し、外洋船を作る造船所を作りたい。それを考えると、このショコラには、鉄を生産・加工する者が多数必要になる。線路や船に使うからな。


・また土魔法を使う魔術師が多数必要になる。


「以上が、私がこの町を手に入れた時に、七曜の主要な産業になる内容だ。時代を先取りしたいなら、この未来に向かって進め。」


ダニエル「そ、それは、いつごろまでに…」


「心配するな、私はまだ王立学園に在籍しなければならない。まー2,3年掛けて、ゆっくり、こっそりやればいい。目立つと税金をごっそり取られるぞ。ははは。」



ダニエル「はー、なるほど…。分かりました。ご指導ありがとうございます。」


「うむ。ではまた。」


そう言って、私達は軽装甲車に乗り込み、ショコラを後にした。




----- 冒険者ギルドマスター視点 -----


それにしても、あのカール少年とは一体何者なのか、という疑問は誰もが持つ最大の関心事。だが、答えは1つではない。


冒険者ギルドに初めて姿を見せた時、それは馬を必要としない装甲馬車で現れた。連絡を受け1階に降りると、最近、軍に導入されたばかりの戦闘服を着た子供3人に、『大剣のジェイコブ』が近づいていくところであった。


カウンターでの対応が終わり、ジェイコブが子供を竹棒でからかおうとした時に、その異常事態が始まっていた。少年が腰に付けた70cmほどの短い剣が、見えない速さで竹棒を切断し、条件反射でジェイコブが大剣を手にした瞬間に、少女が投げた球がはじけ、爆音と目を潰す閃光が部屋を覆ったのだった。


目がくらみ、耳が『キーン』と鳴っていて、何もできずに4,5分が経った時、私は動けるようになったのだが、カウンター付近に居た者は、しばらく耳鳴りから回復せず、この日は休ませる事にしたほどだ。


単に耳と目が伏せられたという事ではない。その瞬間から『自分がどこに居るのか』『何をしようとしていたか』などの意識が全て失われていたのだ。


ジェイコブに至っては、『魔物を一撃で殺せる俺が、人を殺した事もない軍なんぞに』と豪語していたのに、一瞬で意識を刈り取られ、何が起こったのかでさえ記憶にない。


油断していた、とか、屋外であれば、とか言っていたが、発見の報を受けて飛び出していったものの、顔さえまともに見えない距離から膝を破壊されてしまった。


2度とも何が起こったのか理解できていない。しかも相手は白い女の子。


担ぎ込んだ教会には、やはり神官はいなかった。そこでジェイコブに聞いたのだ。なぜ、そんな彼らに絡んだのか、普段はそんな奴では無かったのに。


ジェイコブ「俺と白い魔女も補い合える。」



ジェイコブの説明は意味不明だが、カール社長からアドバイスをもらうことができた。どうやら、用地買収と鉄工房の準備を頼まれたみたいだ。腕試しって事か。


ジェイコブを呼び出して、『確かに、補い合えるかも知れん』と言って、土地買い占めを示唆しておいた。ギルドには十分に資金はあるし、脅しは我々の専門職だ。


それにしても『じっくり、こっそり』とは、はやり社長の器だ。




お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ