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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第7話 魔法の訓練


今日からサマンサ魔道具店に通う事になっているが、その途中に、冒険者ギルドがある。


ここで腹筋と腕立て伏せ、訓練場5周のランニングをするのだが、途中でウォーキングに変わったとしても、5周は必須のノルマだ。

ほんとに5周も走れないなら、森の中を逃げきる事はできないからね。


そして木剣の素振り。

10回、20回、30回、40回、50回と伸ばしてきたのだけど、何かと言い訳を付けて30回くらいに減らしてしまう。


今日も『このあとサマンサさんの所へ行かないといけないから…』などと自分をごまかしている。


だからこのギルドでも『女の子』だと思われる時がある…。

(今に見ていろ、僕だって!)

というところかな。


ダグザお爺さんはいつも、『もっと食わんと大きくなれんぞ!』と言って、パンを余分にくれたりするけど、スープを含め、実は美味くないから食が進まないだけだ。


生前の記憶では女の子は小学校低学年から背が伸びるけど、男の子は少し遅れて、小学校高学年から背が伸び始めた記憶がある。


つまり10歳くらいから伸びるんじゃない?と希望的観測をしておこう。



魔道具店は連絡のために開けているので年中無休。


早く僕が店番ができるようになれば、サマンサさんも気軽に買い物に行けるようになる。

今は近所の人に時々買い物の依頼をしているらしく、食事も自分が食べるだけだからと、適当なものばかりらしい。


『食事が気に入ったら、こっちに引越しておいで』だとさ。

何だか空き部屋の整理までしている…。


「おはようございます!」


「いらっしゃい。明日から『ただいま』の方が気持ちがいいから、それでお願いね。」


そんなこんなで、裏の工房へ移動して、魔力操作から?と思ったが、サマンサさん曰く


「まずは魔法を見る事から始めるよ。いくら頭で魔法を分かっているつもりでも、心のどこかで『まさか』という気持ちを持っていると、それが邪魔して魔法がうまく使えないものよ。」


(ははーん。固定概念というやつだね)


「まず火をつけるよ。……… ………… ……… ファイヤ!」


『ボワッ!』


指先から5㎝先に火がともる。


「次は水だよ。……… ………… ……… ウォーター!」


指先から5㎝位置に水球が浮かぶ。



「人によって得手不得手はあるけど、このくらいの生活魔法なら、誰でも使えるはずなんだ。じゃー次は魔力操作だね」


そう言って、サマンサさんは、私と手をつないで『右手から魔力を少しずつ流すから』と言った。


ゆっくりだけど、右手から神経が少し痺れるような、小さな電気が走るような感覚がした。

そして、最後はしっかりと左手へ微弱な電気信号が走るような感じがしたのだ。


表現しにくいのだけど、男の子なら『射精した時の体を走り抜けるあの快感』といえば分かるだろうか。


あんなに強くは無いが、神経系の感覚なのだ。

確かにこれが魔力の流れだとすると、剣を振りながら同時になんて、できる訳がない。



体験が済んだところで『魔法の基礎』『初級魔法』という2冊の本を渡されて、工房へ。

まずは魔力操作だ。

この日は魔力を思い出して、心臓付近から右手まで神経系のピリッとした流れを作り出すだけで終わってしまった。


そんなこんなで1週間。


魔力操作は上半身(内臓がある場所)をぐるぐるさせる事ができるようになった。

いわゆる『息子』の位置まで魔力は行くのか?快感は得られるのか?と思ったのだが、下限はへそまでだった。


次の1週間は本を読んで、初級魔法を右手、又は左手で出す事ができた。

火と水、風と土が可能なのだが、土が最も難しい。

質量が大きいからだろう。


土の魔法を練習しているのを見て、サマンサさんは引越しをするように言ってきた。

荷物は着替え以外に無いから簡単だった。


理由は簡単。

土魔法の練習中に魔力切れで気絶すると予想したからだ。


サマンサさんの予想は見事に的中した。

魔力操作による神経系のピリピリ感に慣れた頃、大抵の人は油断して魔力切れを起こすらしい。


なるほど…。


でも私が土魔法に拘るのは錬金術と最も関連が深いからだ。


サマンサさんによると、攻撃魔法は、魔術師系の加護がある人と無い人では、攻撃魔法の威力に雲泥の差が出るのだそうだ。


そういう意味では私はやはり生産職だね。


魔力操作に慣れた1か月経過時から、店番をするための勉強が始まった。


ポーションを含む薬の調合だ。


客から処方箋のような注文を受けた場合に、在庫が無くてもすぐに調合できるようにする訓練だ。


今まで使った事が無い薬草も使うため、とにかく、表に書かれた薬を上から順に毎日1回は調合する。


そんな訓練の毎日だが、午前中は必ず冒険者ギルドでの体作りは欠かしていない。

生死を分ける事だからね。



武術は体が大きくならなければ、自分を守れるほどの強さは得られないだろう。


また魔法に関しては新たな知識を記憶しなければ使えない。


だから自動的に発動する『魔法陣』が重要になる。



男神の言葉を思い出す。


「今なぜこの世に魔法陣が少ないのか分かるか?」


「本来、魔法陣は精霊の力を使う神の御業。だが、その魔法陣を書き写すことで、広く誰でも発動できる時代が長く続いたのだ。だが、そこに示された精霊亡きあと、魔法陣は使えなくなった。」


「しかし、その指輪で学習すれば、魔法陣を読み解く事ができるかも知れない。君のいた世界には『曼荼羅まんだら』というものがあったのだろう?理解するのは簡単ではない。簡単ではないが、その仕組みを知れば、魔術ではなく魔法なら使えるかも知れない。」



お読み頂き、ありがとうございます。


現在、読みやすくするべく、表現を少し変えています。

そのため途中で表現方法が変わる事がありますので、ご容赦ください。


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