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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第58話 軍組織との別れ2


----- シンシア視点 -----


今日は朝から問題発生だ。


カール君が連れて来たお友達に、姉が侮辱的な事を言ったからだ。

なのに自分に非が有る事をすぐには認めない。


『男の子だったら良かったのにね』この言葉はいつも姉が男の子のような言葉を使い、力でねじ伏せようとするから、相手が姉に同情して言っているのに、姉は期待されていると受け止めているのか、更に男になっていく。


その分、私は何も言えなくて、常に『可哀想な子』というポジション。


確かに不幸な事が降りかかる。

自分の誕生日会なのに、姉が喧嘩して中断、そのまま解散になってしまう。

私の友人なのに、勝手に『もうここへ来るな』と断絶を言い渡す。


そしてついに、今日はカール君を敵にしてしまった。


父は私に連絡用の副官を付けてくれたけど、情報部と知って辞めてしまった。

情報部=スパイという認識なのだろう。

『貴族の情報を探る行為は悪』だから。

つまり今までと同じで、手紙でしか父との連絡手段がない。



----- ----- -----


アリスとエリオットに無地の戦闘服を着てもらい、工房でブーツを手作りした。


アリスには医療キットのベルトを、エリオットには近接部隊用のベルトを付けてもらう。

最後が無地のヘルメットにゴーグル。

部隊章は僕と同じ七曜しちよう

僕もベアリングマークに変更だ。


僕を中心に、アリスとエリオット、そしてジャックとセバスとレナ、みんなで6人。

今はこれでいい。

ジャックにも同じゲストの装備。


化学合成班にアリスを紹介し、工房ではエリオットを紹介した。

私は事務所で書類を片付ける事にした。


マーガレットとシンシアは驚いていたが、私は大人だ。

いや、子供だけど…書類に目を通し、問題があれば、申請書に直接書き込んで保留に置く。

机の上には許可と否決もある。


シンシアが恐る恐るお茶を持ってきた。


『ありがとう』と言って、口を付けてから、午後から演習に出る事を近接戦闘部隊に通達をお願いする。『友人ではなくなったが、私の補佐である事は変わらない。』と伝えておいた。


書類を片付けて、エリオットのいる工房へ来た。

既に部下たちと仲良くなっていた。

彼に手伝ってもらい、38式歩兵銃の部品を作り、クラウディア士長とカトリン士長には、九七式狙撃眼鏡(倍率2.5倍・実視界10°)の図面を渡し、作成を指示した。


九七式狙撃眼鏡は、狙撃時はT字照準線の垂直線の目盛を使用する照準調整がない機構だが、密閉構造で防水性に加えて頑丈がんじょう、眼鏡内が明るいという利点を持つ。


出来上がってくれば、銃に取り付けて、ゼロイン調整をすればいいのだ。


私は、アリスとエリオットに38式歩兵銃の組み立てと分解を訓練してもらい。

その間に銅を練り練りして、細い銅線を作っていく。

これをエナメル線にして磁鉄鉱から作ったフェライトに巻いて行く。


原理的には、モーターも、発電機も同じ物だ。


今回は簡単なワイパーを動かしたいだけなので、大きめに作った発電機をエンジンからの動力で回転させ、その出力をコンデンサー経由で2つのワイパー用モーターに繋ぐだけだ。


コンデンサーは絶縁物と導体を薄く巻いた物だ。

バッテリーが無いため、コンデンサー経由にする事で、電圧を一定にしている。

ワイパー後部のモーター部にトグルスイッチ、まー普通のON・OFFスイッチを付けただけだ。


この世界に初めて採用される電気。

これを普及させるつもりは全くない。

だから、この車限定の部品なのだ。


照準スコープと発電機、モーターなどは、完成まで幾日か掛かるだろう。

だが、所詮この参謀本部という軍組織から離れるまでの気晴らしだ。

僕はもう、北の一族と共に生きる。


そう決めたのだ。




正午過ぎに、軽装甲車の改造が終わった。


後部の屋根から人が出られるようにハッチを2か所作り、窓側先頭位置の座席を撤去、運転席側の隔壁にパイプを設置。


このパイプに丸型パイプ椅子を引っかけてハッチから上半身を出せるように改造した。


このハッチからアリスとエリオットは上半身を出して38式歩兵銃で獲物狩りだ。

後ろには近接戦闘部隊が左右に展開している。

今日は、第1班と第2班が同行する。

最近は壊滅したブレストの町跡近くまで討伐が進んでいるようだ。


さっき本部偵察隊と、アリスの伝言鳥が問題なく使えた事と、王都から私の所までを飛ばせない理由は、やはり精霊を利用せずに伝言鳥を使う場合、相手の所在が明確でないと、鳥は迷子になって消滅するのではないか、という推論を私は持った。



アリスとエリオットは、自分の丸パイプ椅子の高さ調整や2段ベッドに付けるハシゴなども作り工夫をしているようだが、エリオットは油圧を利用した昇降機構を作ったようだ。


レバーをガシガシと押さないと上昇しないが、ボタンひとつで一気に下がる機構だ。


さすがエリオットという他はない。




お読み頂き、ありがとうございます。

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