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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第47話 王族会議


宰相閣下から相談がある、との連絡を頂いたのだが、シンシアに確認した内容から判断して、国王陛下、王妃、王太子、それにいつも『失礼な!』とすぐに怒る瞬間湯沸かし器のような侯爵(王妃の兄ジョージ)、宰相閣下、シンシアが参加した席で、私の意見を言いたい、と国王陛下に許可を求めた。



朝から大変だった。


着ていく服装がどうとか、靴がこうとか。

だから言わなかったのだ。


全部無視して、いつも通りに7時半に硬いパンとおいしいスープを頂き、3人でトレーニングして、ジャックと模擬戦。


シャワーで汗を流して、着替えて、迎えの馬車に乗り込む。

行き先が王宮なので、護衛にはセバスが付いてくれている。


控室でセバスと別れ、謁見の間に入る。


「お呼びにより、研究所所長カール、参上いたしました。」


国王からのお許しがあるまで、顔は上げない。


「うむ、ご苦労。面をあげよ。」


他の参加メンバーは『お前が呼び出したんだろうが…』などと思っているのだろう顔をしている。


「私から、よろしいでしょうか?」


「発言を許す。申してみよ。」


「まず確認ですが、シンシアを除き、今ここにご参集頂きました方々こそが、このグランデ王国がどうあるべきか決める事ができる唯一のメンバーであり、この他にそのような者はおりませんね?」


「うむ。王太子にはまだその権限はないが、他にそのような者は存在せぬな。」


「では次に、現状の問題点をどのようにお考えでしょうか?参謀本部の本部長を私カールに替えるべきという意見がある事を踏まえ、まずは王妃さまから。」


「まず、この度の遠征ですが、目的の食肉の確保は達成したのですから、もっと評価されるべきです。負傷者が出たとしても、それは予想外の獣が出たせいであって、指揮官のせいではないと思います。」


「つまり、今回の遠征の評価が問題だという事でよろしいですか?」


「はい。」


「では、次に王太子様は、現状の問題点をどのようにお考えでしょうか?」


「え、私か? そうだな、カールの発明で農産物の収穫は増え、剣など武力も充実してきている。本部長の件はカールに任せても良いと思っているし、特に問題はないと思うが。」


「では、現状、特に問題はないとの認識ですね?」


「そうだ」


「では、次にジョージ侯爵さま。現状の問題点をどのようにお考えでしょうか?」


「うむ。今回の遠征に関しては、そもそも発案者であるカール殿が作戦を考えれば良かったのだ。武器もそのために開発したのであろう? 第一、負傷者が出た事など、戦場ではよくある事だ。なぜ問題視されるのか全く理解できない。」


「王妃さまと同じく、今回の遠征の評価に問題があるとお考えなのですね?」


「その通りだ。」


「王家として最後になりますが、陛下は、今、何が問題だとお考えですか?」


「うむ。まず、デリンジャー王太子が言ったように、経済面では発展が著しい。これはカール殿の貢献が大きい事は事実だ。国内の治安状況は各方面軍からの報告では特に問題はない。商業では各都市に設置した銀行が機能していて、造幣の負担はむしろ低下していて、王家の予算も余裕がある、そんな状況だと考えておる。」


「つまり、現状の問題はないとお考えなのですね。」


「そうだ。」


「宰相閣下。最後になりましたが、何か問題がありますでしょうか?」


「うむ。カール殿の発案により、騎士団と方面軍を分けたが、方面軍の指揮官が不足しているように感じる。それは我が娘が負傷しただけで、各方面軍が誰に報告をすれば良いのか戸惑いを見せた事が、その証拠だ。」


「それなら大将の私に報告をすれば良いだろう?」


「王太子に、備品のこれこれが不足しています、とか、何かが破損して、とか細かい報告をするはずがありませんし、軍の運用実務を王太子がすべきではありません。」


「それなら、やはりカール殿に本部長を引き受けてもらうのが、正解のようだな。」


「本当にそれでよろしいのですか?王妃様、侯爵様。」


両者とも、『良きに計らえ』という顔をしている。


「では『良きに計らえ』と、おっしゃってください。」


皮肉だと思ったのだろう。


しぶしぶという顔で『良きに計らえ』と口に出した。


「これで良いのか?」


と国王は私に聞いてきた。




「いいはずがありません。こんな判断ではこの国は早期につぶれてしまいますよ。第一に…」


侯爵

「何を言っておるのだ!きさま…」


「だまらっしゃい!」子供の声だが、出来る限りの音量で叫んだ。


「誰であろうと、発言途中に割り込んではいけません。この場はこの国の未来を決める事が許された唯一の議論の場なのです。本来なら議長という役割の者が、進行役を務めるのですが、この場は私がお預かりしています。」


「これは女神がお与え下さった知恵なのです。」


全員が『はっ』と思い出した顔をした。

この者は女神のひいきしている子供だったと。


「よろしいですね。それが、この王族会議の決まりです。」


「王族会議か…なるほど。了解した。」



「まず、問題提起をさせて頂きます。明日、国王陛下が崩御なさいます。」


皆が『は?』という顔をしている。例の侯爵はまたもや沸騰寸前か?


「王国騎士団は、どう動きますか?ベルナー団長の指示で動くのですか?それとも王太子の指示で動くのですか?本来は国王陛下の指示で動くのですよね。その人がいなくなったら、どうなるのですか?」



お読み頂き、ありがとうございます。

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