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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第32話 鉄道構想


10名の魔術師たち。彼女達が研究所の職員だ。


「おはようございます。今日からあなた達の階級は、『1士』になりました。今日中に新しい階級章が届きますので、午後になったら参謀本部事務所のシンシア少佐の所に取りに来てください。」


「それと、新入職員が明日から入ってきます。旧情報棟の第2化学合成室、第2工房を、現在の第2グループ専用とし、各グループには新入職員5名1グループに現在の仕事を引き継いでください。また、これにより、これまでの交代勤務を解除します。従って、昼休憩は時間を決めて、1時間取るようにしてください。」


「最後に今日から、参謀本部1階東側に食堂エリアを作りましたから、利用してください。ファルマさんが子供さんと、この食堂で昼食と夕食を安く提供しますので、利用してあげてくださいね。」


以上、質問はありますか?



そんなこんなで、参謀本部の3棟体制は徐々に形になっていくだろうと思っている。

参謀本部へ戻りながら、


「シンシア、あとで5人体制でも自主的に仕事をしているか、見にいってね。」


「はい。」


「それにしても、ふたりが居なくてもちゃんと話を聞いてくれるようになればいいんだけどな」



マーガレット

「私は元々、彼女達の上司だったからな。」


「私の場合は、公爵家という家柄と親のご威光ですかね。」


「マーガレット少佐、昼から執務棟で面会だったですが、予定に変更は?」


「ない。予定通りだ。」



午後、宰相の執務室にて…


「前回までの武器納入に関して、南部方面軍と東部方面軍にクロスボウ各50計100セットを発注し、既に受領している。知っているか?」


「いいえ。武器はダグザさんの方で担当してくれていますから…」


「そうか。前回同様金30枚で支払う事で裁可している。合計、金3000枚だな。ギルドカードは持って来たか? では…」


『ピコ』


「陛下は、あの経済対策にいたく感心されていたぞ。所々慣れない表現があり、難解ではあるものの、すばらしい方針だと申されていた。『アンジェラ姫が5歳若ければお前にやる』と言っていたよ。」


「あー 僕は11歳で良かったです。」


「ははは。まーそうだろうな。ところで北部地域の魔獣討伐による食材確保だが、」


やっと活動方針の質疑・応答に入った。


「魔獣の肉は、ほぼ食用可能な物なんですか?」


「物によるだろう。ゴブリンなどの人型の者は食肉には向かないようだが、あの地にあふれ出た過去の魔物は、中型獣以上のものだったから、ほぼ食肉になるだろう。また、解体作業などは、現地のギルドを利用するつもりだ。」


「ただ、冷蔵保存とか食肉加工とは、言葉だけではわからん。」


「冷蔵とは10℃くらいで維持する技術です。冷凍は凍らせて維持する方法で、いずれも肉が腐らないようにするものです。一時的には魔術師の氷魔法があれば可能ですが、ただ運ぶ間に温度があがるので、魔法陣などの開発が必要でしょう。」



「おいおい。氷魔法なんぞ無いぞ。」


「そうですか…これはまた、研究が必要なようですね」


「鉄道とは何だ?鉄でできた道路か?」


「確かに鉄で出来た道と言えます。その前に、慣性という事について説明します。物を動かす時、軽い方が動かしやすく、重い物は動かしにくいですが、一旦動き出すと、止める時は軽い方が止めやすく、重い物は止めにくいんです。」


「そうだな。」


「これを利用して鉄でできた大きな車に荷物や人をたくさん乗せて、王都と北方の間に、まっすぐで平らな道があって、この車を押すと、最初は重たくて動かなくても、一旦動き出すと、途中では止められなくて、勝手に北方まで到着してしまうのです。」


「つまり、大量の荷物を遠くに届けるのに向いているのが鉄道なんです。だから、馬車のように、ちょくちょく止まったり、動いたりするのには向いてないんです。」



「なるほど、そんな物が作れるのか?」


「さあー」


「……」

「……」


みんなが呆れたように私を見るので


「長期計画でやってみないと分かりませんが。……頑張ります。」



「分かった。」


そう言って、書類にサインをしてくれた。


「マーガレット少佐。参謀部の魔術師には、このコンクリート工事を指示してほしい。」



「了解した。後日、参謀本部で詳しい計画を教えてくれ。」


「はい。」


そう言って、宰相の執務室を出て、控室経由で参謀本部へ戻った。




お読み頂き、ありがとうございます。

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