表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
3/164

第3話 加護持ち

今作は1話を約2000文字程度にしています。4000文字だと、途中で話が変わってしまって、サブタイトルと整合性がとれないことが多いため、2000文字程度にしてみました。


読みやすければ、いいんですけど…


王国歴 252年10月第1週


夜になって父と兄が戻ってきた。

階段を上がる2人分の足音がして、部屋に兄が入ってきた。


どうやら服を着替えるようだ。

壁から木製の出っ張りが出ていて、そこに服を吊るす。


「おかえり」と声を掛けると、クリフは


「起こしちゃったか…そろそろ晩ご飯の時間だから、下に行こう」


「うん」


私の意識はカールと一体化しつつあるようだ。

意識していなくても子供らしく振舞っている…。

目線の高さも歩幅もすごく自然に感じている。



5歳の子供にとって、この階段の一段は高すぎるので、壁に手をついて降りている。

途中、直角に曲がる場所は足場が広くて、なぜか『安全地帯』と呼んでいた。



着替え終わって階段を降りてくる父に挨拶をした。


「お父さん、おかえり」


「おー、カール。以前より元気になったみたいだなー」


そういえば、自分から元気に挨拶するような子ではなかった。

カール少年は母に似て、少し女の子のような顔で、人見知りするタイプだった。

兄は父に似て、平凡な容姿ながら元気いっぱい活発な性格だ。



(いかんいかん。早くも授けてもらった『コミュニケーション能力』が、カールのイメージを変えてしまっている…。違和感がないように無口でいよう。)



5歳毎の誕生日のお祝いは盛大に…とか思っていたのだが、少し肉が多めだっただけで、特に豪華な夕食ではなかった。


母が神官さんから聞いた私の診断結果と、その後の経過状況を父にも話していた。

その後


「鍛冶の加護をもらったよ」


と言ったら、父が驚いた表情で


「えっ! 加護を得たのか? すごいじゃないか!」


母も驚いた表情で


「鍛冶って事は、ケインお爺さんの血筋かな… そうだよね、カールは私に似てるから…」


ケインという名前を聞いて少し安心した顔をした父。


「わが家にもついに『加護持ち』が現れたか!」


兄「……」



つまり、この家には『加護持ち』がいないのだ。


母方の祖父ダグザは、このフェドラ町で武器屋を営んでいて、曾祖父のケインは鍛冶をしていたそうだ。

仕事で熟練の域に達するとステータスに『鍛冶』が生えてくるそうだが、それはどちらかというと『スキル』ではないのだろうか…?


私のようにハンマーを握る握力も、振るう腕力も無い者にも使えるのだとすれば『加護』と言える。

この際だから『鍛冶』がスキルであっても使えるように、まずは体力を付ける必要があるだろう…。



一方、発現こそしていないが『守りの戦闘能力』という潜在能力もあるらしい。

これは蛮族などから襲撃を受けた際に発現するらしいから、まさに『加護』といえるのだろう。



「明日にでもダグザお爺さんの所へ行きましょう。きっと跡取りが出来たって喜ぶわよー」


そういう母の肩に、父の手が乗せ引き寄せた。


「そうだな。これで母さんも気兼ねなく父さんの所に行けるな。」


「ええ。」


「本当にエルマには、苦労を掛けたな~。すまない。」


「何を言ってるのよ。私がビリーの所へ行きたいって家を出たのよ。貴方が謝る事じゃないわ。」



二人の話を聞いていると、何やら結婚に障害があったようだ。

『ふーん』という風に二人の顔を見ていたら、父が私の表情に気が付いたようだ。


父「何だ?」


「移民だから?」


と言うと、父は慌てて否定した。


「違う違う!ダグザさんはそんな差別をする人じゃない! なんと言うか…母さんは店の看板娘だったし、守備兵は地位は安定してるが、給料が安くて危険もあるからって、…俺は5歳の息子に何を説明してるんだろう。」


「ほんとね! あははは!」


(し、しまった!私も5歳だという事を忘れてた…)



私は兄の方を向いて


「父さんと母さん、ふたり仲良くていいね!」


と言って兄と笑いあった。


(これで兄にも不審がられないかな?)と、少し安堵しながら、このあと湯あみして寝た。




翌日は母に連れられて、中央広場の教会を越え、冒険者ギルドの更に南にあるダグザお爺さんの武器屋に来た。

ここまでおおよそ40分。

馬車が怖いので裏の小道を歩いたが、小さな店舗は大体この道沿いにあるようだ。



「こんにちはー」


店の奥からお爺さんが顔を出した。


「おおー エルマにカールか。久しぶりだな。どうした?」


「いま、時間はいいですか?」



そういって、母とダグザお爺さんが話し始めた。


そして私が『鍛冶』の加護を得たと聞いた時、ダグザお爺さんは座っていた椅子から『なに!』と言って、立ち上がってしまっていた。


そんなこんなで、無事に武器屋の跡取り候補になった。




お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ