第164話 パワーバランス
伊賀衆が王宮警察隊になったので、専用装甲車を作る事にした。
但し、外観上は七曜の装甲輸送車だが、後部は貨物室ではなく客室になっている。
早い話、王族護送車なのだが、通常の輸送車に見えるようにしてある。
この車を2台作って、王宮に納車する。
豪華な客室なのに、荷物を乗せ、王宮まで運ぶ。
『立っている者は親でも使え』の精神だ。
積み込んでいるのは、液晶プロジェクターだ。
ライトの魔法陣とレンズを使った応用商品で、DVDディスクを読み込んで映せる。
昔、映画館で広告ばかりで見たい映画が始まらない経験から、『CSI王宮科学捜査班』の前に、広告を短い時間入れてある。
アンジェラ姫の高級品ブランド『HIMENO』のイメージ広告である。
高級ドレス、装飾品、そして、例のニキビケア化粧品だ。
基本的に鑑賞は毎月第1週は貴族、以降は庶民に開放となる。
ギルドカードで鑑賞は無料。
みんな仕事が終わってから19時入場、19時半開始のゴールデンタイム。
現状、キョウト撮影所は、月1本の製作で目いっぱいだ。
並行して作れる余裕がない。
それにしても、王太子役の百地正幸は、若いが変装がうまい。
まるで本物の王太子のようだった。
もちろん宰相役の百地丹波も貫禄があって、こちらも本物そっくりに化ける。
次は、国王のキングダムか?
冗談はさておき、このようなプロパガンダを継続して、『人気の王族』と『力の宰相派』のパワーバランスを保たなくてはいけない。
後日、リンダとの通信の中で、いかに平和がもろく、かつ、大切なものかが語られた。
私はそのリンダに、王国の支援策の立案と施行を任せてみる事にした。
アンジェラ姫を助け、王室の経済的な自立を果たす美少女に、デリンジャー王太子が惚れないはずがなく、結局、身分差と事情(㊙だがリンダは子供が産めない)から、第2、第3夫人という事で収まったようだ。
一方、キョウトは撮影所としての事業が軌道に乗って、経済的に安定した。
キンキの安全を担う都市でもある。
私やアイのAI達は、黄山工場と食品工場の運営をしながら、時々はワカヤマ沖の無人島を開拓している。
完成はいつかわからないけれど、今まだ19歳。
この後の話は、いつになる事やら。
とりあえず、第2章はここまでにします。
----- あとがき -----
後半のまとめ方が分からず、結局、こんな終わり方にしました。
それにしても、今時点で50000PVになりました。
多くの方に読んで頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。
皆様の暇つぶしに成れていたら、うれしいです。
『数年後…』という構想がうまく出来ましたら、第3章として投稿します。
ほんとうに、ありがとうございました。
お読み頂き、ありがとうございました。




