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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第156話 魂の回収


さて、魂の受け皿としてのAI人形は作った。

そして語彙ごい、数字、記号などのデータは用意した。

どのように組み合わせて、どう表現するかは本人しだいだ。


その他の教育によって身に付ける一般的なこともデータとして格納してある。


動作テストとして3日間、キンキ地方のキョウト、オオサカに連れて行き、テストを実施した。


「車に乗って」


軽装甲車の後部ドアを開けると


リンダ「はい。」


ステップを踏んでから、後部の中に頭をぶつけないように屈んで中に入り、ベンチシートに座った。


キョウトに到着して


「リンダ、降りて来て」


ドアが開き、無言で降りてくる。


いわゆる『魂が抜けたような』感じだが、おかしな動作はしない。

だが、オオサカでは行き交う人と当たってしまう事があった。

瞬間的な行動基準が無いのだろう。だが、テストは合格だ。



王国歴 265年5月第1週



忍者組を同伴に選び、セイトに向け出発した。


ここヒョウゴから西に1600㎞に位置する港町セイト。


このセイトまでの間を、自律型偵察機『とんぼ』を飛ばしている。

途中の地形把握が今回の偵察ミッションだ。


前回行った合肥を越えて武漢北側まで400㎞。

軽装甲車では昼間、平均時速30㎞で走行できるのだが、暗くなるとそうはいかない。


山沿いの道で休憩を取り、運転がアイからハンゾウに変わり、オーロラの偵察のあとを徐行運転しながら進んでいく。

慣れてくれば、後部座席で眠れるようになる。

アイに抱きついたまま寝よう。

(バイタルモニターのためだからね!)



朝7時に目が覚め、顔を洗い、歯を磨く。

荊州は洪水が…という情報だったのだが、信陽から山越えして襄陽じょうようの西に来た私達には、きれいな農村の景色が目の前にあった。


フリアノンの怒りは、やはり北部地域であって、中部は関係がないのだ。

だとすれば、北部への偽情報は、中部への逃避者抑止を狙ったものなのだろう。


このあと宣昌から重慶北部までは、人をほとんど見なかった。

というか、村が無かったのだ。

こうして、3日目の夜には港町セイトの郊外に軽装甲車を駐車し偽装網を掛けたのだった。



4日目の朝早く、町医者ケネスの捜索がはじまった。

だが、手掛りはなく、ハンゾウとオーロラの服装がきれい過ぎる。

キンキでは普通なのだが、ここでは目立ち過ぎだった。


聞き込みをするつもりは無かったのだが、こうなっては仕方がない。

直接町医者と息子コルトンを探しに来た冒険者という設定に変更だ。


この町の冒険者ギルドに行き、捜索依頼を受けた冒険者という事で、ギルドカードを見せ、情報提供者に支払われる謝礼金を説明すると、すぐにギルマスに招待された。


もちろん居場所は分かったし、ケネスとその妻(魔術師)、そしてコルトンの話も教えてもらった。

謝礼金がギルマスの口を滑らかにしたのだろう。


目立つ二人がギルトを訪れた事は、噂になってすぐにケネスの耳にも届くだろう事は予想がつくので、すぐにギネスの診療室を訪ねた。


オーロラ「こちらはケネスさんの診療室ですか?」


ケネス「はい。私がケネスですが…。」


オーロラ「突然で申し訳ありません。揚州のギルドの依頼で訪ねてきた者です。」


ケネス「えっ、揚州から?」


オーロラ「はい。できれば今夜、外でお食事しながらでも、お話しを伺いたいのですが…」



どこの国の男も同じような反応をするものだ。

若い女性から『話を聞きたい』と言われて断る男はいない。



ケネス「では、どこで…」


オーロラ「冒険者ギルドの食事場所でも、よろしいですか?」


ケネス「あっ、ええ、いいですよ。」


オーロラ「では、必ず息子さんもつれて来て下さいね。」



そうして、冒険者ギルドには夕刻から私とアイ、リンダの3人が1テーブルを占領した。


隣のテーブルにオーロラとハンゾウが席を取って、周囲を見渡すと、当然多くの者たちが注目している事が分かる。


誰かがギルドに飛び込んで来て、大声で


「おい!大変だ! 沖合に大きな船が来てるぞ!」



そろそろ頃合いだろうと、アイは沖合いに来ている筈のAIカールと通信して、小型巡視艇を港に呼び寄せたのだった。


やじ馬と混ざってオーロラが外に出て、ケネスとコルトンを見つけ、ギルド内に招く。

ケネスとコルトンが並んで席につくと


ケネス「何やら港に、見た事もない大きな船が来ているようですよ。」


30m級小型巡視艇はジェット水流推進のため、舵が無く、船底が平らなので、この港にも入港が可能だったのだ。



オーロラ「まずは料理を注文して、少し港に見に行きますか?」


オーロラがウインクして、いたずらっぽく言うと


ケネス「そ、そうですね…」


そう言って、コルトンの方を少し見たのだが、目線は合わない。


実はコルトンは、隣のテーブルのリンダが自分を見つめているのが気になるのだ。



オーロラ「一緒に注文しに行きませんか?」


ケネス「そ、そうだね。コルトン、ちょっと席を外すから待っていなさい。」


そういってオーロラは注文と、船が見える位置までケネスを連れ出してしまった。


私はオーロラが座っていた席に座り『イサオさん』と声を掛けた。

彼は驚いた表情で私を見たが、引き続き


「私は地球の神から『イサオさん』、あなたの魂を、あるべき所へ、熊野神社へ導くように頼まれた者です。」



と一気に言った。


「信じられないかも知れませんが、今は、コルトンの意識が戻り始めていて、まるで二重人格のような状態になっているようです。」


「このままではいけない、コルトンが危険だと、神は言っています。」


「あなたを受け入れる体は、あの彼女です。」


「コルトンに食事を与えてから、乗り移って頂けませんか?」



コルトン「……」


おそらく彼は了承したのだろう。食事のあと、コルトンはテーブルに突っ伏すような姿勢になった。


オーロラ「お二人がお元気でよかったです。こちらの確認書にケネスさんのサインをお願いします。」


ケネス「妻の知り合いの依頼者は、何という方なのか、教えてもらえないのでしょうね。」


オーロラ「はい。生存の確認依頼だけで、私にも知らされていないのです。」


ケネス「そうですか…。」


オーロラ「息子さんは寝てしまったようですね…」


オーロラ「今日は食事にお付き合い頂き、ありがとうございました。」



寝てしまったコルトンを背負ったケネス。

オーロラは家まで送る途中、コルトンの肉体には異常がない事を確認したのだった。




続きがなかなか書けていませんが、とりあえず…


お読み頂き、ありがとうございます。

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