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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第153話 無人島と偵察機とんぼ


王国歴 265年1月第4週


私が王国へ行っている間、毎朝、ハンゾウに呼吸、体温、血圧、脈拍のチェックを受けていたため、AIたちに警告は出なかった。


だが、AI達は王国の監視カメラを共有し、王国の状況を確認していたようだ。


毎日飛んでいる偵察機コンドルの画像。

各電波塔のカメラ映像。

6つの村の音声データ。


特に、6つの村の音声から、ソルトレイクから北上してきたセントレア帝国軍に、ビンランド帝国のオンタリオ市が占領されたという会話を得た。


また、6つの村が、ポルトランドからの食糧購入を増やしているのも確認済。



コジロウは生産職の特性を強化した事もあり、魔法陣CPUや人口眼球の製作など、魔力はあまり必要無いが、長時間の精密作業を得意としている。


そして今回、情報収集という分野に関心を抱き、単独でワカヤマに電波塔を建て、荊州方向に監視カメラと全方向八木アンテナを設置していた。


そして偵察機コンドルの設計図を基に、コンドル2号を作り出したのだった。

コンドル2号の基地は、熊野神社の山林を切り開いた場所であったため、平地が少なく、滑走路は短い。


これを克服するため、この2号機には後部にパラシュート機構を装備していた。


やるな~コジロウ。


これにより30m級小型巡視艇に搭載して、偵察任務を行う事も不可能ではない。

そして何よりの成果が、ワカヤマ沖に島を発見した事であった。

その島は周囲28㎞ほどの無人島であった。


------ 実は -----


吉野熊野国立公園の沖合にも、紀伊大島という面積約10平方キロの島がある。

串本漁港の対面側にあり、もちろん無人島ではなく航空自衛隊の基地もある。

民宿のH.Pには、何やら大きなエビが映っている。

小説でなく、是非、アイとふたりで行きたいものだ。


--------------



王国歴 265年2月第3週


食品工場に戻って来た私とハンゾウ。

全AIが出迎えに来ていた。


約2週間の不在期間の報告を3階の狭い休憩室で聞かせてもらった。


最もうれしかったのは、ワカヤマ沖の無人島だ。

無人島ならAI達は何年でも、気にせず暮らしていける。



更に驚いたことに、オーロラが自らの右ひじのモーターを交換した事だ。

交換したモーターを見ると、軸受けに摩耗によるガタがあった。


恐らくは、異常音や微細な振動があったのだろう。

動きの無いCPUなどの部品は、摩耗なども無く心配はしていない。



報告が終わったペアから、それぞれの任務に戻っていった。

マリリンの双子だけでなく、AI達も成長しているのだと実感した夜だった。



次の日から、再び植物セルロースをどのような溶剤を使って固めるかの実験を行っている。組み合わせを考えリストにすると、コジロウが工場で実験を行ってくれる事になった。


考える事は私。

実験はコジロウ。

それが効率的なのだ。



そこで私は、コジロウが作ったコンドル2号機を自律型偵察機にバージョンアップする事にした。


偵察機『トンボ』の試作だ。


軽装甲戦闘車でアイとふたりで熊野神社に行き、運んで来た部品で偵察機の改造をする。


『トンボ』は、その名が示す通り、機首のななめ下に人口眼球40を2個追加して、自身の画像マップを内蔵することにより、画像の空白が無いように自律的に偵察をするのだ。


マップの大きさをあらかじめ決めておけば、その範囲が偵察範囲になる。


熊野神社のフリアノン像に魔石を追加して、そこをクラウド空間にしよう。


トンボは通常画像と、赤外線画像の2つのマップを持たせ、偵察し、クラウドにアップして任務完了とするプログラムにした。


まずは無人島周辺と荊州から始めよう。


最初は黄山の工場へ帰りたがっていたアイだが、この熊野の山にも山菜は豊富にあって、今では素材採集に夢中だ。



無人島周辺の偵察が終わったため、黄山の工場へ移動し、2車線道路を滑走路として使って、

荊州の偵察を開始した。


撮影された画像は全て人間が見た場合と同じカラーなのだが、液晶はモノクロなので少し地上の状況の判別がむつかしい。


だが、液晶のカラー化は本当に面倒なのだ。フィルターの微細な場所に色を付けなくてはいけない。そんな事をするよりも、データをAIたちと視覚共有すれば、カラーで再現できるのだ。



さて、研究ばかりはしていられない。オオサカをどのような都市にするのか。

その施策を考えなければならない。


ヒョウゴの住人にはギルドカードの普及策として1日に銀貨1枚をギルドカードにチャージしているが、この策でもオオサカからの移住者は出ていない。


やはり、オオサカの住人は、商人組合の関係者ばかりと考えて良いのだろう。

移住した伊賀衆の調査では、木靴を作っていた手工業者は、足袋たびのような靴下を作っている。下駄を作っていた関係で親指だけ別になった2本指靴下だ。


残っているのは、衣服と袋物、ベルトなどだ。





お読み頂き、ありがとうございます。


紀伊大島の紹介映像です

https://www.youtube.com/watch?v=plOBBLKhn8M

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