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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第151話 AIたちの仕事


王国歴 264年12月第1週



雪がちらつく12月になり、炭焼きをしていた忍びの者たちを、コジロウとレミがオオサカ、ヒョウゴに送って行った。


本格的に雪が積もれば、軽装甲車でも行き来は厳しい。

雪が解ける2月末まで、アイと私のハネムーンみたいなものだ。


週に1回、ムサシとオリビア、コジロウとレミ、ハンゾウとオーロラの3組が交代で山奥の工場に近況報告のために会いに来てくれている。


ムサシとオリビアは、国境線の警戒任務が主なのだが、コジロウが警戒任務応援のため、木材倉庫の丸太を鉛筆状態にして砦周辺に防壁として打ち込んでいるらしい。


コジロウは、他にも、木材に樹脂を浸み込ませた木刀を作って、忍びの者に持たせている。

その木刀を使った訓練を忍者組がキョウトの屋敷区域で行っているらしい。

私が、キンキでは銃はAI以外に持たせるつもりが無いと明言しているためだろう。


面白い事に、この木刀作成過程の端材から単繊維パルプが取れ、これから樹木セルロースが作れる事が、指輪の知識から分かったのだ。


簡単に言うと、木材から化学繊維が作れるのだ。今まで麻、綿、絹から作っていた衣服しかなかったが、これからの研究しだいで、レーヨンが作れる。

要は、溶かして、噴射して、糸状に固めるという感じだ。


武器に関しては、キンキでは鉱石が取れない事もあるが、AIの特性を活かした催涙ガス、麻痺毒、致死毒と風魔法を組み合わせる『広域攻撃』と、軌道制御可能な噴射式ダーツの点攻撃を広めたい。



一方、王国からはAIカールから乳酸桿菌の培養に成功したと連絡があった。

これでクラウディア、カトリンともに少尉になる。

その二人が培養した乳酸桿菌を送ってきてくれるらしい。


春からはレミにも乳酸桿菌を使った飲料の開発をしてもらいたい。


ヒョウゴでは、大型冷蔵庫を持つ公設市場が大変賑わっているそうだ。

いろいろな食品が豊富に並び、1日に一回市場に来るだけで銀貨1枚がチャージされる。


一方の七曜ヒョウゴ支店は、炭の販売をしていて、オオサカの商人たちが来るらしい。


そのヒョウゴ支店の目玉は、先日完成した靴の3Dプリンターだ。


最初にブーツタイプか、スニーカーかを選び、素足を測定器に乗せて測定する。

ヒールが欲しい場合には、1㎝か2㎝のヒールをかかとに下に引いて再度測定する。

これで甲の高さも測定できる。


3Dプリンターなので、あまりデザインの多様性は無いが、申し込みが殺到しているらしい。


立体的に打ち出された靴底で一旦停止するので、ここで金属メッシュを乗せて再度スタート。

金属類の踏み抜き防止だ。

どれも紐で縛るタイプ。



キョウトギルド(役所)にも、同じ機械が置いてあるが、こちらは忍びの者専用で、部外者には提供していない。



全体として、キョウト地区は安全に子供を産み育てる市街地、教育地区として発展している。

また、ヒョウゴ地区は商業地として豊かに発展している。



問題はオオサカをどの方向に発展させるかだろう。現状、麻、絹、綿による紡績業が主流のようだ。この時代、衣服は非常に手間も掛かるが、単価が高い。


だが、彼らが作る下駄げたと木靴は需要が全く無くなったと言ってよい。どんどんと独占的な事業をつぶしていかなくては、オオサカを支配下にはできない。


私が研究に没頭している間、アイは催涙ガスや毒物の研究をしていた。そこまではいいのだが、そのあと、引き続いて私の夕食を作ってくれている。


「アイ、いくらなんでも毒物を扱った場所で、そのまま調理するのは…」


アイ「そうでした…つい自分の感覚で調理してました。すみません。」


アイ「お詫びに、明日は川魚を獲って来て、刺身にしますから、期待してくださいね。」



私が中国に赴任している時、田舎の知り合いが川魚の刺身を出してくれた事を思い出した。


「アイ、刺身は海の新鮮な魚を使うんだよ。川魚は新鮮でも刺身では食べないんだ。」


確かに…資料では当たり前の事は書いていない。

モスクワでも、道路に融雪剤をまくため、川魚はいないし食べないと聞いた記憶がある。


そもそも『清流』なんていう存在が貴重なのだ。


ただ、ここは地名は中国だが実際は違うのだろう。



男神「そのとおり。」


「えっ、神様、ここへ来てもいいんですか?」


男神「何を言っているのだ。そもそも神は呼び名や姿は違えども根っこは同じ。ひとつの存在なのだよ。」


「そうでした…ところで、ご用件は?」


男神「地球の神との接触により、地名の理由が判明した。」


男神「フィアナ女神が君を連れてくる前から、女神は地球の発展を勉強していたようだ。そしてアメリカ合衆国の発展を見て、地名を同じにして都市もあらかじめ作ったそうだ。」


男神「そして、もうひとつの大陸にある中国がやはり発展著しかったそうだが、評判が悪かった。そこで、評判が良く人気が高い三国時代の地名と、都市を作ったというわけだ。」


男神「私と地球の神が『なぜ?』と聞いたところ、『形から入った』という。」


「そこまでポンコツだと、すがすがしい?」


男神「うむ。というわけで、地球神のせいでは無い。」


男神「益州からきた男が『大統領』を名乗ったのも、『青瓦台』という名前の建物も、フリアノンを不幸にした男へのフィアナ女神の皮肉だったそうだ。」



男神「お詫びと言っては何だが、お前達が正式に結婚したあかつきには、私から子供を授けてやろう。期待しておけ。」



とんでもない爆弾発言を落として、男神は消えたのだった。




お読み頂き、ありがとうございます。



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