第147話 ヒョウゴ冒険者ギルド
王国歴 264年9月第2週
キンキから続々とヒョウゴに転居した甲賀衆。
水晶装置は東西の防壁門へ1つずつ配置し、ギルドカードで出入りを管理する。
衛兵はもちろん甲賀衆だ。
残りの水晶装置は、ギルドの受付で1つ。事務所で1つ使う事にした。
新しくキンキに来た若い女の子を積極的に受付に採用して、接客応対の練習を開始した。
討伐報酬などは統治者が出す事になるので、アイに装甲戦闘車に積んでいた金貨、銀貨を持って来てもらって、各部署に最低限の数量を配置した。
柏木には周辺の中型獣までに討伐証明部位と報酬額を決めてもらい、一覧表を作成する。
一階通用口の横に馬車が入る広いガレージがあり、手動だが開け閉めできる事を確認した。
広い買取カウンターがあり、重量計とすぐ裏手に解体ブースがある。
その隣は、冷蔵倉庫と常温倉庫になっているようだ。
但し魔石BOXには魔石が入っていない。
冷蔵倉庫は扉にガスケットが付いていて冷気が漏れないようになっているので、現代人が見ればすぐに、冷蔵庫とわかる。
ノブは裏側に貫通したタイプで閉じ込めは発生しない。
柏木がマスター室で書棚の裏手の隠し金庫を発見した。
機械式の鍵が刺さったままで、中には大量の金貨と銀貨、そして新品のギルドカードが入っていたそうだ。
まずは職員のギルドカードの作成で慣れてもらった。
もちろん魔法適性も測定してもらう。
今週はとりあえず、3階の会議室で取扱説明書の勉強会だね。
若い子は覚えが早いだろうし、ギルドの受付と言えば、可愛い、又は美人というのが定番だ、とお静に言っておいた。
男性甲賀衆70余名には、冒険者ギルドでの訓練と、チームを組んでの小型獣の討伐を任務としている。
その際には5人で装甲輸送車を運転していくのだが、あまり荊州に接近し過ぎないように注意しながら、巡回コースを決めている。
これで警戒にもなるからだ。
問題は陸続きの国境防衛をどうすれば良いかが課題だ。
そもそもロサンゼルスから逃げて来た人数は12000ほどの人数であり、このヒョウゴに5000、オオサカに7000ほどの人数しかいない。
この内、成人男性が4分の1だとすると防衛軍などは編成できない。
とりあえず、それまで門番をしていたいわゆる自警団的な組織を排除して、東西の門には水晶による身元確認を行い、住民以外からは3日を限度とする滞在許可を銀貨1枚で発行する。
実質的には、この許可証で3日間、宿に宿泊できるのだから損はない。
もちろん宿もギルド直営で、すべてがギルドを中心に回り始めている。
それは、ギルドを解放した者は、創造者から認められた者という認識だからだ。
それは自警団も、他の住民も認めざるを得ない事なのだ。
次に公設市場を作り始めた。
この市場は周辺住民から店員を募集し、料金の計算や接客などができるかどうかをナカヤマさんに面接してもらった。
まずは野菜売り場からだが、レミが開発した調理セットも販売する。
5か所の同時開店を目指して、5組の夫婦を採用した。
幌馬車3台と装甲輸送車2台を使って、食品工場から食料品などを運び込み、公設市場で販売する。
従って11時頃から夕方5時までの6時間営業だ。
住民には冒険者ギルドへの登録を呼びかけている。
新規にカードを作った時、中に銀貨1枚が登録されて、公設市場で買い物ができるのだ。
ついでに冒険者ギルドで利用の案内や職業のあっせんもしているし、魔力測定もしている。
また、1日に一度、カードに銀貨1枚を自動チャージする事で配給の意味合いを持たせる事にした。10月開始予定だ。但し、公設市場でだけ、この自動チャージはするつもりはない。
現在、ギルドカードのPOSターミナルを生産中だ。
ザワークラウトの商品版は銀貨2枚。空き瓶は銀貨1枚で下取りする。ポーション配合なので、健康増進と人口増加に結びついてくれればいいのだが。
このヒョウゴが発展するには、まだまだ時間が掛かるだろう。なんといっても住民の人口が少な過ぎるからだ。だが、仕方がない。
次は、オオサカか…。キョウトの藤林と連絡を取り、230世帯ほどある伊賀衆全体の約半数程度をオオサカに転居してほしい旨を伝えた。
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