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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第145話 乳酸菌の研究開始


クラウディア2曹「おはようございます。今日はアリス様もご一緒なんですね。」


そう言って長官室にお茶を持ってきた。

応接セットにお茶を置いてもらう。

少し遅れてカトリン2曹も入って来た。


カトリン2曹「おはようございます。」


2人は相変わらず、第1班と第2班の班長だ。


「今日来たのは他でもない。新たな研究課題に取り組んでもらいたいからだ。人間の体は食べた物を消化、吸収するために、様々な複雑なしくみがある。胃という部位で食べた物を溶かし、腸という部位には色々な菌が居て、色々な働きをしている。」


「その代表的な菌が、『乳酸菌』と呼ばれるものだ。」


乳酸菌に関する種類などを板書しながら説明し、キンキで成功したザワークラウトのサンプルと顕微鏡を2人に渡した。


単純な光学式ではなく、魔法陣を組み込んだ魔法式顕微鏡だ。


これを使って研究するとともにザワークラウトの再現と細長い棒状の乳酸桿菌を探し牛乳の発酵を研究するように伝えた。


「この研究の成果によって、2人の少尉への昇任試験とする。」


もちろん、日頃の業務はおろそかにしないように注意して、退室させた。

その後、いつものように書類を片付けて、屋敷に戻る。



アイと昼食を食べてお茶をしてから、通信会議に臨んだ。

みんなの画面に右半分と左半分に自分以外の参加者が映るはずだ。

屋敷の43インチディスプレイ左側にシンシアとエリオットが映る。


「おはようございます。」


シンシア「おはようございます。」


エリオット「『こんにちは』じゃないのか?」


「こういう設備を使う時には、相手がまだ夜だったり、朝だったりするから『おはよう』でいいんだよ。」


エリオット「あ、そういう事もあるな。おはよう。」



しばらくすると宰相が右側に映り


宰相「お待たせした。」


「お忙しいところ、ありがとうございます。さて、この通信ソフトの更新も問題がなかったようで、何よりです。このソフトでは参加者の人数により画面の分割数が変わりますので、その点はご心配には及びません。いつでも自由に使ってください。」


「今後、シンシアさんが妊娠しても、このソフトを使えば会議には参加出来ますから、そのつもりでお願いします。」


シンシア「えっ、あっ、エリオット、もう話したの?」


エリオット「違うよ、カールの誘導だよ、それ。」


「違う」


宰相「お!シンシア、妊娠したのか?」


もう会議システムはぐちゃぐちゃになってしまった…瞑想を始めてから1分。

ようやく落ち着いて来たようだ。


「落ち着きましたか?それでは、今日の内容ですが…」



研究所で乳酸菌という微生物の研究を開始した事と、それによって乳酸菌飲料の開発、販売を始めたい事を報告した。


この乳酸菌飲料販売の要点は、守備隊の奥様方が訪問販売を担当する事により、収入のアップと治安維持のための住民登録後の変動に気付くしくみになるからだ。


奥様方は、前回の住民登録データをもとに各戸に訪問し、この飲料を販売する。


この飲料にはポーション成分も若干含まれていて続けるほどに健康を実感できる飲料だ。


家族構成やデータに違いがあれば、PC入力時に自動的に修正がされ、その履歴も残る。


販売手数料は、国の治安維持費から守備隊の奥様方に支払われ、雇用と収入UPに繋がる。


この仕事に従事する者は、基本的に自転車で活動する事になる。

交番制度のように、各地に飲料販売所兼官舎を建てて職員にはそこに住んでもらうつもりだ。


この販売所は人口分布に比例して作るつもりなので、郊外勤務者や地方の田舎勤務者も出てくるだろうけど、地方ほど人口変動は少ないだろうし、他国の者が潜入する可能性も低くて、優先順位は低くても問題はないだろう。


問題はこのような飲料販売には、銅貨の扱いが主になる事だ。


ダンジョンから生み出されない銅貨は、各国が独自に造幣する必要があるため、その厚みと含有量、摩耗のしやすさなどから価値の差が大きい。


国内の統一だけでも、製造コストが高いし、万一、普及すると銅貨として外国に輸出されてしまう恐れもあるし、銅資源として取引されても困るのだ。


「やはり、電子決済しか解決策はないでしょうね。ギルドカード又は銀貨1枚分の定量カードを発行するしかないでしょうね。」


宰相「どうやってカードを使うのかね。」


「カード情報の読み取り端末を私が作るしかありませんね。」


宰相「簡単に言うね。」


「このような装置は、いずれ職員数が増えてきた施設には必要になるでしょう。顔が覚えきれなくなりますからね。」


宰相「そうか。施行時期はいつ頃になりそうだ?」


「飲料が出来てこないと何とも言えませんが、半年後くらいには。」


宰相「わかった。では進めてくれて構わない。」


「シンシアさん、王都ショコラのフィアナ病院と通信施設で連絡を取って、フローレンス医師から妊娠に関する注意と講習を受けてね。エリオットもだよ。」


シンシア「ありがとう。カールさん」


宰相「婿殿。褒美を取らせるから、暇な時に執務室に来なさい。」


エリオット「はい。」



これで後はPOSターミナルと、CPUの設計図をAIカールに渡せば作れるだろう。

細かい作業は得意なのだから。


動作プログラムを魔法陣に書き込むのは、私の仕事だ。

縮小して各CPU内に収納すればいい。

但し、実際の決済はショコラの冒険者ギルドの端末と接続する事で、ギルドカードの口座から引き落とされる。


以上で王国での仕事は一段落だろう。




お読み頂き、ありがとうございます。

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