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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第141話 巡視艇構想


それから、長官室にセバスとレナの机を用意してもらい、今後の事を打ち合わせした。


まず、テストの成績をページごとに集計して、PCに入力する。

このPCは住民登録用なのだが、彼らも登録がされているので、項目を追加するだけでいい。


レナが入力をさせられると少し緊張していたが、私はここではAIだ。24時間働ける。


「兵士の適職によって、航海士、機関士、漁師に振り分けたい。基本的は航海士、機械構造の試験成績が良かったものを機関士候補とする。漁師出身者は漁師でいいだろう。」


「今日から再び基礎体力の訓練を行い、学園卒業資格をクリアした者が、2段階目に進むものとする。航海士候補は剣術、小銃の技能マスターを目指す。近接戦闘迷路の合格レベルで良い。海軍省では閃光音響弾は使用しない。」


「2段階目の者は、午前が学科。セバスからは魚群探知機の概要、音とは何か、周波数と特性について講義を受ける。レナからはエンジンの構造を原理、燃料とは、トルクと回転数などの講義を受ける。」


「午後はライリーとディランは小銃の訓練を頼む。レナとウイリアムは剣術の訓練を頼む。」


「3段階目に入った者には、ブイを使った操船技術の訓練をしてもらう。ブイやソナー、レーダーなどは、私が作って高速哨戒艇に取り付けていく。」


「目標は、網船1隻、搬送船1隻、探索船3隻の計5隻に、それぞれ船長、機関長、網師とその部下たちが必要という事だ。そしてこの船団に1人責任者が必要だな。」


「何か質問は?」


ライリー「とりあえず、何をすれば?」


「まず、採点だな。それとセバス少佐とレナ大尉には軍服を支給するから着替えて。」


レナ「うふふ。」


着替えを終えたセバスとレナを連れて、昨日の試験が保管してある金庫室に来た。


金庫から解答用紙を取り出し2人に渡す。

模範解答の用紙を机の中から出して、5人で採点をしてほしいとお願いした。




私はドックへ行き、30m級船舶の内部を見ながら、魚群探知機のセンサー取り付け位置を考えている。


船底が何かに乗り上げた時に破損する可能性がないように、センサー面が窪んでいる必要があるだろう。

前後は諦めて、左右だけにセンサーを付けよう。


基本設計はいいのだが、網を扱うことを考えて、かがゆき型巡視艇のようにウォータージェット推進に変更する事にしよう。


ノズルの噴射方向を変える事で船の向きを変えられるため船底の舵が要らなくなり、ノズルの逆噴射機構を用いた急制動も可能になる。


兵装も同様に、12.7mmガトリング式機関銃との赤外線捜索監視装置とのリンクによる目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)を備える事を目標にしよう。


九州南西海域工作船事件では、3メートル以上のうねりがある海象状況下でも十分な命中精度を発揮した事で話題になったシステムだ。


操舵室上に長短2つのレーダーを装備すれば、より広範囲の敵を補足する事ができる。


かがゆき型巡視艇というサンプルを発見したのだから、構想は早い。

全長33m 船幅6.5m、船質はアルミニウム合金製で、最大速力は67Km。


ただ、ウォータージェット推進は低速航行時の方向安定性、操縦性に難があるため、十分な操縦訓練が必要だ。


思い出した。

ブイも作らなければならない。


万能に見えるAI人形も、動力は内蔵された魔石の魔力。

魔法陣がCPUに組み込んであるから、魔法は使えるのだが、魔力は人間のように回復はしない。

だから消費の大きい錬金術はAI人形には向いていない作業の代表例だ。


まずはアルミニウム合金をショコラ工場に発注しよう。

量は150tくらいか。


サンプルの最後がエンジンだ。


かがゆき型巡視艇はMTU 16V4000 M70(2,600馬力 / 1,940 rpm)というエンジンを使っているようだが、私達が鉄道で使っているエンジンは魔力による分子結合(酸化)をするタイプ。


4気筒の3200cc、300psだったのだが、桁が違う。


とにかくトルクが必要なのだ。

ただ船の場合、抵抗の無い鉄道と違い、水を押し退けて動くのだから、いかにエンジンの馬力を上げても急発進はできない。


船の速度よりも早い速度の水流を噴射するだけで、それ以上の速度を噴射しても効率が悪くなるだけ。


シリンダーの径はそのままに、4気筒から16気筒にして、点火タイミングを調整する。


排気量は4倍の12800cc、馬力1200psは期待できるか…。

低速でもトルクは出るだろう。

MTU のエンジン寸法がL4500×W1520×H1890に対し、こちらはL1200×W520×H35。


このエンジンを3基使って、後部にウォータージェット推進機構を取り付ける。

最後の仕上げは船体の鋲打ちをやめて、錬金によるアルミ合金の接合を行う。

これで船底の一体成型仕上げとし、センサー取付部を作る。

後は塗装だ。


素材がアルミなので、当然アルマイト(陽極酸化皮膜処理)加工の一択しかないだろう。


耐食性、耐磨耗性、滑性の向上、絶縁性を持っていて、20年は持つと言われている。

最後は、この加工した高速巡視艇を、分析してデータにして保存する。


設計だけだが、順調に細部まで考えてデータに落とし込んだ。


この16気筒化したエンジンを10基、ショコラ工場に発注した。


職人たちも作った事があるエンジンの改良版なのだ。

『大至急』でも問題はないはず。

職人達は涙を流して喜ぶだろう。



お読み頂き、ありがとうございます。

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