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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第2章 AIたちの安寧の地
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第121話 秘密部隊

第2章の書けている部分を毎日2話程度、掲載することにしました。


王国歴 264年3月


ショコラの病院からオフィーリアを引き抜いて、これで全AI人形が旧王都フエキの屋敷に集まった。


AIカールのように短期間の身代わり用途以外では、同じところに長くとどまる事ができないため、秘密部隊としての運用が必須となる。


オフィーリアは医療班として改造を保留。


オーロラはハンゾウのペアとして、超々ジュラルミン骨格を採用した軽量化AIに改造する事にした。

体重はハンゾウと同じく30kg。

忍者仕様なので、ハンゾウより5cm低い160cmにした。


風呂場シーンでも『お銀』に負けないグラマーな体形にして凋落能力を向上。


特徴は手足を縛られても縄抜けできるように、部分的に細くできる可変筋肉組織と肌表面の摩擦係数は最小にしてある。


だが、戦闘実績がないのでオリビアほど信頼は出来ない。

そこで、この屋敷で、ハンゾウはセバスから、オーロラはレナから影としての短剣、ナイフの扱い、身のこなし、ナイフの投擲などの技術を習得させている。


当然だがセバスとレナが、オーロラの外形変化に気が付き、私に聞いて来た。

彼らが追われている身の上であると答えた。

だからこそ、私の回復術で多少の整形と、護身術を教えているのだ。

(という設定なのだ)


春が来て、雪が解ければ、私は彼らを国外に逃亡させるため出発する。


セバスはフローレンスが病院に行ってしまってから、少し寂しそうだったが、ハンゾウが来てからは影として身に付けたあらゆる技術を教え、技能を身に付けさせていた。


『教え甲斐がある』と言わせるほど吸収が良かったそうだ。


レナは来月18歳になる。


ガサツな性格という事と若干貧弱な体つきのせいで、周辺隊の妾候補になれなかったそうだが、影の任務では伴侶を得るのもなかなかに難しい。

そういえば、住民登録の残りには、北の里の者達が含まれる。


ビンスク、マッスル、コメリという北の里の住民登録の任務をセバスとレナに行かせて、真面目な男が居たら、勧誘してきて欲しいとセバスに言っておいた。


今年、王立学園に入学した生徒は有望だが、年齢が低すぎるからね。


さて、いよいよ訓練も終わり、出発の時が来た。


移動販売車4台で行くつもりだったのだが、巡回販売(村巡り)に必要という理由で2台を置いて行く事にした。


装甲戦闘車に私とアイ、忍者組が乗り、移動販売車にオリビアとムサシ、オフィーリアとコジロウの2名ずつが乗り込んで、ポルトランドで1泊する。




とりあえず、宿の亭主が板に付いて来たフランキーから、ジョゼフ家が王国傘下への加入を打診してきたと報告があった。


そこで私とアイとフランキーの3人でジョゼフ家を訪れて、話をする事にした。

王国としては、領主としてまとめて納税してくれれば、物品の販売はするつもりなのだが。



「ジョゼフさん、王国側を代表して私カールと、次席代表フランキー、そして助手のアイの3人で伺わせて頂きました。」


ジョゼフ「ああ、これはどうも、ありがとうございます。中へどうぞ。」



屋敷の中に案内され、応接間に通された。


ジョゼフは必要もないのに妻と息子を我々に紹介したあと、その妻がお茶を入れてくれている。


ジョゼフ「最近は、北部地区を中心に王国側からどんどんと入植者が入って来て賑わっているようだが、うちはこの地までの距離が遠く、なかなか思うように入植者を集められずにいるのだ。」


「はー」


ジョゼフ「そこでいっそのこと、私の東部区画も王国側に売ってしまおうかと考えているのだが、どうだろう?」


「えーと、まずこの土地は帝国が開拓した訳でもなく、家も同様に最初から用意されていた、いわば『神が用意された場所』だと認識しています。ジョゼフさんはどうです。」


ジョゼフ「確かにそうだな。」


「私達は神から、この土地で暮らし作物を育てる事を許されているだけ…もし、神がお怒りになり、出て行けと言われれば、そうせざるを得ないと考えています。その神の土地建物を買えとおっしゃるのですか?」



ジョゼフ「あ、いや、使う権利という意味だな…」


「どちらにせよ、我々がこの土地を我が物にするつもりは無いのです。ただ、生活に困窮する者達に、生きていくための方法、集団としての行動などを身に付けてもらいたいだけなのです。この地で成功したなら、王国でもやっていけますから。」


ジョゼフ「そうか…」



「すでに種まきの季節が始まっています。そろそろジョゼフさん達も3人で畑を耕し、種をまいて、水やりを始めないと収穫できなくなりますよ。」


ジョゼフ「そうだな…」



「では私達はこれで失礼します。何かあれば南部区画でフランキー次席代表が宿屋を経営してますから、お立ち寄りください。」



我々は歩いて南部区画へ戻っている。


ジョゼフ家の3人、どう見ても農業ができる体ではない。

いままでの自堕落な生活を捨て農業を始められるなら、見込みはあるかも知れない。

この夜、宿で8人が宿泊し、フランキーの久々の臨時収入になっただろう。


「フランキー、ジョゼフさんが相談に来たら、6つの村に送ってあげる程度は、協力してやればいいと思う。君を『次席代表』と言ったが、あれは本気だ。もう七曜商事の社員として、この市の運営、防衛を任せたい。私に相談があれば通信機で連絡してくれればいい。」


フランキー「本当に私に任せていいんですか?」


「社員にできる事は現場の仕事だけだが、実際に人を動かそうとするには幹部の決済が必要なんだ。フエキ屋敷のセバスに、一度、こちらに来て説明をさせるから、それからでもいい。じっくりイブリンとも相談しながら市政をやってみてくれ。」


フランキー「分かりました。」



お読み頂き、ありがとうございます。

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