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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第119話 AIの居場所


王国歴 263年10月



私は16歳になった。


帝国での諜報任務から帰還し1か月、ショコラ屋敷でのんびりと暇を楽しんでいる。

アリスはマリリンの指導を仰ぎながら、一生懸命に子育てや、医師としての勉強に頑張っている。

そんな彼女から今後の事で相談があるという。


彼女たち北の里で生まれた女は、加護を持つ子を得る目的で100%政略結婚をする事になる。


周辺隊に選ばれず奉公先も決まらなかった者は、下働きの一生を送るのが里の定め。

男は影になる以外には出世の道がなかった。


政略結婚に選ばれても、実態は複数の者による『お世話係り兼高級娼婦』なのだが、受け入れる貴族達のメンツもあり、形式上は夫人待遇の場合もある。


縁故で周辺隊に選ばれた者も里を出る事ができる。


加護を持つ貴族の子を宿せば、夫人だろうが、妾だろうが関係なく里に戻り子を産む。


戻れなければ、お家騒動により殺害される事もあるのだ。

5歳まで愛情を注ぎ、神殿で加護の遺伝を確かめる。


遺伝の確率は50%と言われるが、加護を持たずとも優れた才能を持つ者は多く、その良い例がアリスやエリオットだ。

これが一族を存続させてきた唯一の手段であった。


だが、貴族ではないカール・ラングリッジという神に愛された男の出現が、里の女の生き方だけでなく、里に生まれた者の未来を変えたのだ。


七曜商事という里の者のための会社を立ち上げ、里の者を雇用するだけでなく、王国という国家の根幹になり、里の若者を国家の幹部にするという。


アリスは来年1月に17歳になり、同時に2人目の子供も出産予定だ。

里の周辺隊がアリスに仕えてくれて本当に助かると、アリス自身も実感している。

だが育児を人任せにはしたくないとも思っている。

特に、5歳までの愛情不足が発達障害の原因のひとつだと、カールの指輪の知識で知ったからだ。


アリスから相談された内容は、『妻としての役割が果たせない』という事。

そして子供を産み育てて行く事で肉体的に大きく変化していると、本人は言う。

つまり、偉人と言われる男の子供を15歳の成人を迎えるまで育てる役割は、妻としての役割より重いと言うのだ。


だから、アリスの若い頃のままの衰えないアイを供として、この屋敷で暇をしているより、七曜商事の発展のために、『このままここで時間に埋もれないでほしい』と。


確かに隠居するには早いとは思うけれど…


マリリンの双子は2月に4歳になり、265年に5歳、名付け儀式以降は面会が許可される。これは父親に対する憧れや、カリスマ性を感じさせるための手法らしい。


また、10歳までは『面会』という交流機会しか与えられず、10歳以降に普通の親子のように接する事が許されるそうだ。(先が長い…)


フローレンスは5月に15歳。成人以降は病院で勤務してもらう予定なので、現在、インターン制度を使って、医師見習いをしている。



インターン制度は9月からとしていたのだが、5年生に進級した者達が各部署にインターン申請を出し始めた。


だが、突然申請書を受け取っても、どういう人物かも分からないのでは、判断ができない。


そこで一旦、王立学園で各教育長以下の先生たちが生徒の成績表などを添付する事にした。

また、各方面軍、及び、海軍省にも広報担当官を置き、簡単に各部署の業務内容を紹介できるようにした。


書類により各部署で検討し面接する事になった場合に、通信設備を使って面接ができるように、王立学園にも電波塔を建てて通信室を作る事になった。

これがきっかけとなり、通信設備の『軍事に関連する一般使用』という規定が作られた。


この事は、それまで王立学園卒業者を一括して採用した後に、各部署に配分するという方式から、各方面軍や海軍省、行政府との個別面接によってインターンとなる。

つまり、通年採用になる事を意味する。


東部方面軍の経済活動が始まった事により、各方面軍、海軍省ともに官僚体質が薄れ、独立採算で黒字化に成功。


黒字であればピラミッド構造の中膨れも許容されるし、人員が増えるほど、管理職ポストも増える。


通信設備を使っての面接が、より早く優秀な人材に内定を出せる事から、面接を行う広報担当に美男美女を配し、応酬話法も訓練する。

そんな部署にはインターン応募者の人数が顕著に表れている。



南方方面軍では、湖という波が少ない特性と活かして、高速哨戒艇によるボートレースが企画され、海軍省経由で宰相に申請書が提出された。


もちろんリビウ軍港からも参加できる企画なので、男性による『王太子杯』、女性による『姫カップ』を意見として添えておいた。



生活が安定し、娯楽が求められる時代が来たようだ。



それにしても、AI人形たちの事も考えなくてはならない。

彼、彼女たちは歳を取らない。

いい事でもあるが、1か所に長く居られる訳ではない。

怪しまれないのは5年が限度だろう。フローレンスが病院勤務に来たら、まずオーロラを病院から抜いてしまおう。


オリビアとムサシをポルトランドに残し、南方面から東方面にかけて巡回調査に行かせているのだが、他のAIも同じように他国へ潜入させるとしても…ムサシ以外にあと2体の男性AIが必要だろう。



AIの馬も考えたのだが、人員の救出や暴風雨からの避難など、さまざまな場面を考えた場合にはやはり屋根付きの車がいいだろう。


AI人形に寿命は無いが、部品には劣化や摩耗など、メンテナンスや部品交換が必要であり、部品の予備が必要だろう。


そこで思い付いたのが、移動販売車だ。

装甲輸送車をベースにして、後部側面を開くと商品の展示棚になっている車を作る事にした。

ポーションや薬、鍬や背負い式噴霧器、魔石ランプや石鹸などの生活用品。

6つの村めぐりの販売なら、実際に役に立つだろう。



ムサシは、私のイメージから『ガッシリとした体格の男』だったのだが、2体目のコジロウは、細マッチョをベースに『躱し』が容易な柔軟性を重視したモデルにしたい。


3体目のハンゾウは、その名の通り忍者行動ができるように軽量化を図ったモデルにしたい。


こうして、自分自身が楽しめるようにすると、結構調子に乗って頑張れる。




お読み頂き、ありがとうございます。

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