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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第116話 ポルトランドの扱い


再び、4時間掛けて屋敷に戻って来た。


別邸の地下は掃除がされ、何事もなかったような綺麗な空気で満たされていた。

古い価値観の相手を潰すのは簡単だけど、指導するのはかなり骨が折れる作業だな…。



お風呂に入り、アイとまったりとした時間を過ごす。

が、お腹が鳴った。

彼らが食事を必要としないため、どうしても私は食事の事を忘れてしまう。


この別邸はアイとの感覚共有を楽しむための場所になっている。

アイの膣内にも感覚組織を…と思ったが、やはりそれは人間の特権として取っておこう。



これで課題はほぼ片付いたのだろうか…


いや、東部方面軍に帝国輸出向けの物流倉庫と装甲輸送車整備基地を作れば、どれほどの雇用が出来るだろうか。

エリオットと連絡を取り、里の代表者の世代交代を促して来た事を連絡し、宰相との相談を申し込んだ。



2日後、宰相の執務室で久しぶりの懇談を行った。黒板に想像図を書いて説明をした。


1.帝国は大陸東部から徐々に侵攻して来た部族であり、東の海岸線に13の村を持つ。

2.西進した部族のうち、北側は水源を豊富に持ち知的で『ビンランド帝国』を名乗る。

3.西進した部族のうち、南側は平原と山岳が多い武闘派。『セントレア帝国』を名乗る。

4.更に西進したのは、無人の砦や無人の町が既にあったから。

5.七曜商事として、ビンランド帝国の6村と貿易契約を締結済み。

6.ポルトランドも開発したのではなく、無人だった町に住みついただけで、奪取可能。

7.セントレア帝国は北上してビンランド帝国と戦争になるとの噂がある。



「そこで提案です。我々が共和国の領有する砂漠地帯だと思っていた場所も、実は無人で誰の物でもなかったのです。ポルトランド周辺も同じく帝国の領土だと思っていましたが、実はヤドカリのように、空いている家に住みついただけでした。」


「ならば、私達も同じように黙って住んでしまう、というのはどうでしょう。我が国にはあの土地を開発するだけの人口はいませんし、王国との間に緩衝地帯があった方が防衛としてはやりやすいでしょう。」


「ただ七曜商事は貿易会社なので、武器や防具は売りますが、戦争には参加しない。防御するのはポルトランドだけ。というのはどうでしょう。」



宰相「うむ。内容は悪くない。だが、本当に危険になれば撤退も考慮するようにしなさい。」


「はい。更に南部ではキューブ帝国という国があり、昔の事ながら、中部の攻防でセントレアに負けて撤退したそうです。東の大陸は私達の想像を超える広大な大陸のようで、我々の知り得ない情報もまだまだあるようです。」



宰相「広大な大地か…。」



「良い話もございます。国境の緩衝地帯が出来た事で、東部方面軍に産業を興そうと考えております。」


宰相「ほほう。」


貿易品の商品倉庫、運搬する搬送車基地、及び、車の整備、自転車の開発を説明した。



宰相「最後の自転車とは、どんな物だ。」


「まだ設計図さえ無いので、お見せ出来ませんが、人の力で車輪を回し前に進む車です。試作でき次第、お見せ致します。」



宰相「また楽しみが出来たな。おっと、エリオットを参謀部の大尉とする事になり、先日任官しておいた。言い忘れていてすまない。」



「いいえ。それと、シンシアとの仲は、どこまで進んでいるのですか?」


宰相「全く分からん。家でも何も言っておらん。」


「一度、屋敷にでも2人を呼んだらどうです?


宰相「ん~、そうだな…言ってみるか。」




別邸に籠って5日間、指輪から27インチのシティーサイクルの図を引き出し、それを元にして設計図を書き、適当にパーツを作っては組み立てるのだが、なかなか後輪のギヤ部が難しい。


最後に新聞配達に使うような後部荷台を取り付けて完成した。


さて、試運転と言っても乗れるのは私だけ。

自転車の運転は簡単じゃない。

しかも、この国には舗装道路はなくすべて土なのだから、まともには走れない。


シティーサイクルではダメだ。

耐久性をもっと高くしなければすぐに壊れてしまう。

そこで、10cm幅の極太タイヤに改造。

これなら悪路でもなんとかなりそうだった。

ついでに赤いパイロンを作って宰相に連絡を入れた。



競技場は元騎士団訓練場。

ここに運動会のように楕円コースを作り、パイロンを置いて行く。

試作自転車は27インチの1種類しか無いため、赤色と青色のカラーリングでごまかした。


スタートから円弧の終わる部分まではレーン内を走り、内側と外側が同じ距離に成る直線開始部分からは、コースフリーになる。


まず、宰相の護衛の4人に30分ほど乗るための指導をして、その後、自主練習をしている。

30分が経過したら、コースで練習させる。


コース内側には、8の字やら、直角やら、こぶ等のバランスが重要なコースがあって、足を着かずに通過するのが予選。

ここを通過したら、2人で競争とした。



ワイワイ言いながら、それでもすぐに乗れるようになるイザベラ。

久しぶりに見たが運動神経は1番いい。

その他の3人もなかなかのものだった。

遊びのようだが、この実演で提案内容に承認がでた。


早速、王都ショコラの工場に部品の図面を届けて、部品の生産を指示。

細かいのはチェーンだろう。

装甲輸送車はまだ一般ラインで製造させるつもりは無いので、エンジンとタイヤを作らせて、旧王都フエキまで鉄道で輸送し、他の部品は屋敷で作り組み立てた。





お読み頂き、ありがとうございます。

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