第107話 フレア救出作戦
旧王都フエキの屋敷に戻り、フローレンスにフレア救出に失敗した事を謝罪した。
本来なら清らかな魂の状態で、この指輪に一時的に宿る予定だったのだが、男神の推測では怒りが強すぎて、闇の世界に行ってしまったそうだ。
指示はしていないのだが、直前のフレアのようすをアイは記録していた。
--- 再生映像 ---
足枷、手枷を錬金術で変形させて塊にしている私。
「フレアさん」
返事はない。
手首をつかみ『キュア』『ヒール』。
変化は無い。
【分析を実行中】←字幕
「あっ」
【人間と神の中間なので、分析では中が見えないようだ】←字幕
フレア「あなたがカールさんですね、ありがとう」←頭に直接届いた音声が再生されている
フレア「あなたが私を分析した通り、私は人間でも神でもない。キムに強引に妊娠させられたわけではないわ。あの時、キムは確かに私との子を欲しがった。それが分かったから自ら人間の子を宿したのよ。」
フレア「あなたがその指輪をしているという事は、私のこの姿が消えた時、私の魂をその指輪に留めて、フローレンスに届けてもらえるように、というそういう意味でしょうね。」
フレア「でも私はあの子に本当に悪い事をしてしまった。母親としての務めも果たせず、あんな男に捕まって……」
【フレアの魂の力が強く…怒りが、くやしさが、魂に力を与えているようだ】←字幕
フレア「あの子に何と言えばいいのよ!!」
大音響とともにフレア自身が黒い霧となって爆発するように霧散してしまった!
私とアイが爆風で倒されて、床に尻餅をつく
フレア「フローレンスをよろしくお願いします…」
--- 再生映像終了 ---
霧散したあとのフレアの言葉「フローレンスをよろしくお願いします……」という部分は記憶には無い。
おそらく、アイが合成したのだろう。
(よくやった、アイ)
アイ「(はい!)」
そして男神から、『今後は、共和国で多数の災害の発生が予想されるため、共和国に近づかないように』と忠告を受けた事を説明した。
セバス「カール様、本当にありがとうございました…。ところで、AIアリスはアイに名称変更されたのですか?」
「あ、ああ。本人が紛らわしいと言うのでね。」
レナ「そもそも、アリス様そっくりというのが紛らわしい原因でしょ。名前だけ変えてもねー。」
「だからと言って、他の女の人と2人って、浮気しているみたいで嫌なんだよ。」
セバス「そういう事なら…私達もアイと呼びましょうか。」
レナ「はい。」
屋敷に1泊したあと、宰相に説明する記録映像とするため、シリコーン樹脂をDisk形状に加工し、アイに
「昨日再生した映像を、このDiskに焼き付けてくれ」
アイ「はい??…このプラスチックに?」
「目からレーザー光を出して、このDiskの円周上に穿孔データとして記録するんだよ。」
アイ「出来ませんよ!目からレーザー光線なんて出・ま・せ・ん!」
「そうだったな。」
「冗談はさておき、この魔石に映像データを保存してくれ。音声及び字幕はカット。」
「はい」
住民登録用のPCには、魔石にデータを保存する魔法陣を組み込んである。
数字データも映像データもデジタルでは同じ1と0のデータなのだが、定義が異なるので、宰相執務室では今回の映像を見る事ができない。
でも今回の事は情報部でも把握しておくべき内容だし…そうだ報告書はエリオットに書いてもらおう。
それにエリオットにもそろそろ階級を与えてもらいたいな。
そんな事を思いながら、監視映像用の外付機器を作って、偵察機と同じように映像が見られればいいと考え、魔法陣を作り、魔石BOX内部に貼り付ける。
エリオットに伝言鳥を飛ばし、宰相とシンシア、エリオットに共和国の情報を映像付きで報告したい、と伝言をたのんだ。
お読み頂き、ありがとうございます。




