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家電メーカーの技術担当が異世界で  作者: 神の恵み
第1章 カルバン王国
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第100話 フィアナ女神の病院


王国歴 263年2月


私は新年をショコラ屋敷でアリスとともに過ごし、高速艇の生産が終わった工場では、様々な合金の鉄材作成が普段の仕事だ。


追加で石英ガラスも別ラインで製造させている。

そして職人たちには、魔力点火エンジンの分析と装甲車の車体構造を研究課題として与えていた。


職人は、言われた事だけをするのは嫌いなのだ。

私とアリスとエリオットしか作れない高度な構造物を、彼らも作れるようになりたいらしい。

当初作ったガラス製のエンジン模型も未だに活躍している。


七曜商事ではあるのだが、工場は王国のものでもある。

宰相は秘密でなくてもいいのか?と聞いてくれるが、七曜商事の幹部だけでは人手が回らないし、私が亡くなった後の事を考えると、技官を育てる意味でも、技術移転は徐々に確実にして行かなければならない。


そう言うと、


宰相「まだ15歳になったばかりの君に、死んだあと…とか言われてもねー。」


という返事が返ってきた。

そうだった。

私は43歳の精神年齢から更に年を取ったようだ。

すごく早いとは思うが、アリスがまた妊娠した。

今度は男の子だ!とか言っている。



1組目の冒険者、フランキー親子がポルトランドに到着したようだ。


東方方面軍の電波塔から、アメリア帝国最西部のポルトランド上空までは、電波が届く距離であり、また、偵察機が上空に居れば、地上のオリビアとの通信も問題がなかったそうだ。


3人とも冒険者ギルドで身分証を作ってあるので、王国からの振り込みも現地のギルドで引き出せる筈だ。


ポルトランドの市街区域は大きいが防壁は無い。

オリビアが見る景色がどんな物なのか、楽しみだ。



15歳になってから久しぶりに、ショコラの教会に来たのだが相変わらず神官はいない。

そこで七曜商事のショコラ支部に出勤して、ギルド関係者に話しをする事にした。


「私の妻アリスも子育ての時期になり、このショコラを本拠地として住んでいる。ショコラに感謝するとともに、地域住民に貢献できるように、ここにフィアナ病院を建設したい。」


トレーシー「ギルマスのタイガーに代わり、質問をよろしいでしょうか?」


「はい。どうぞ。」


トレーシー「その病院とは何でしょうか?」



「はは。そうだったね。教会はフリアノン女神様のお力により、怪我や病気を治療する所だった。だけどフリアノン様がいなくなり、治癒の力が失われ現在に至っている。」


「それに代わり女神フィアナ様が加護を下さる。病院はフィアナ様の加護によって怪我や病気を治療する所だ。場合によっては入院をして何日か掛けて治療する場合もある。協会との違いは帝国発祥ではなく、ここショコラ発祥になるという事と、魔女の系譜を持つ私の妻アリスが治療の指導を務める事だ。」



トレーシー「フリアノン女神様と対立した、あの魔女の治療法ですか?」



「いや、フリアノン女神様と白の魔女は対立などしていない。過去の出来事だが、あれは王族と貴族の勢力争いによる対立だったのだ。それもキョルトのダンジョンを騎士団が克服したあと、除霊によって恨みは晴れた。」


「トレーシー、女神という存在をどのようなものだと思う?私は女神様なら極悪人であっても許しを与えるような気がするのだ。とても殺し合いを支持するとは思えん。」


トレーシー「確かにカール様のおっしゃる通りだと思います。」


「では、ここに病院の設計図がある。今は小さいが徐々に拡張して行くつもりだ。」


「それと、そこの鍛冶職人長、こっちに来てくれ。」


職人長「へい。なんでしょう。」


「その腕、火傷か?」


職人長「そうです。カール様のエンジンを分解して、組み立てたんだが、失敗しちまったようで炎が飛んで来たんでさぁー」


「なるほど…『ヒール』」


あっと言う間に火傷が治っていく…

(本当は肌が新しく形成されているのだが)。

それを見て、全員が驚き、フリーズしているようだ。



「これがフィアナ女神さまの治癒だ。」


全員が再起動して、設計図を見ながら分担を決めているようだ。


「費用は気にしなくていいから、頼んだぞ!」


トレーシー「お任せください。」




それから1週間で教会跡地に長方形の飾り気のない病院が出来た。

入り口を入った扉の奥は、小さな礼拝堂になっている。

そこにフィアナ女神像(乳白色の防弾ガラス製)を設置したのだ。


本来は諜報員として作ったオーロラとオフィーリアだったのだが、この病院の右側第1診察室と、左側第2診察室で医師として、問診、分析、治療と段階的に処置している。


彼女達もキュアとヒールの魔法陣を持たせているからだ。


アリスは2階の院長室に居るが、自らの経験蓄積も兼ねて、小児科を担当してもらって必要都度、診察している。



私は受付開始前に、礼拝堂に来て、15歳のお祈りをしている。


「(報告が遅くなりましたが、15歳に、成人になりました。ありがとうございます。この教会も建て替えて病院施設になりました。新しく大人の女神フィアナ像を作りましたので…。これからも七曜のメンバーをよろしくお願いします。)」


女神「(成人おめでとう。お礼にアリスのお腹の子に祝福をあげておきま~す。)」


男神「(こら!余計な事をするんじゃない!)」


男神「(成人おめでとう。基本的には、これが最後になる。)」


「(基本的に…?)」


男神「(うむ。用事があればいつでも話し掛けるが…という意味だ。)」


「(はぁー)」


男神「(今回は君に頼みがある。元女神、フレアの救出を頼みたいのだ。この指輪はその褒美と思ってもらって構わない。最悪、フレアの肉体は諦めて、この指輪に宿して持ち帰ってほしいのだ。)」



男神「(女神を規定により追放したのは私だが、現状があまりにも哀れなのだ。フレアは共和国のチョウアンにある青瓦台という建物に囚われている。頼んだぞ!)」



お読み頂き、ありがとうございます。

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