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【自由部始動】~部活動紹介編~part 1『新入生』〈萌葱林林視点〉




「林林っ、まーだ部活に悩んでるの? もうとっくに皆部活決めちゃったし期限とっくに過ぎちゃってるよ?」

「う、うん。中々決めれなくて……休み明けまで待ってもらってるの」


 私は一年C組の萌葱林林(もえぎよつき)

 少し気の弱い、優柔不断なのが難点だけど……あくまでごく普通の女子高生……だと思う。


「普通に帰宅部にして何もしなければいいのに……アクティブなんだかそうじゃないんだか…」


 隣にいるのは中学校からの友達、田中里奈ちゃん。

 元気いっぱいでいつも私を引っ張ってくれる大事な親友。


「だって……こんな怖がりなままじゃやっぱり駄目だと思うの……だから部活に入って里奈ちゃんに心配される事がないくらい人付き合いがでくるくらいにならなくちゃ……」


 そう、私は病的なまでに人付き合いが苦手。

 男の人は勿論、女の子でも友達は里奈ちゃんだけっていうくらい。

 私は人が怖い。

 でもそのせいで里奈ちゃんには色々な迷惑をかけてきた。


「そんなの気にすることないのに、あたしとしては目の届かないところに行っちゃう方が心配だし」


 そう、元気いっぱいで友達も多い里奈ちゃんだけど一人の私を気遣ってくれていつも一緒にいてくれた。

 私にとっては嬉しい事だったけど……同時にいつも罪悪感も感じていた。

 このままでは優しい里奈ちゃんの高校生活まで台無しにしてしまう。

 それだけは申し訳なかった。

 だから私は初めて、里奈ちゃんのいない場所。

 部活に入って自分の居場所を作る、そう里奈ちゃんに告げていた。


「林林が初めて自分から言い出した事だから黙って見守る事にしたけど……無理しなくていいんだからね?」

「……ごめんね、自分から言い出したのに……結局里奈ちゃんにまた迷惑かけちゃってる……」

「……馬鹿だなぁホント、あたしは里奈を迷惑だなんて思った事一度もないんだから」

「里奈ちゃん…」

「それにね、そーゆー時は謝るんじゃないの。親友なんだから。『ありがとう』、そう言ってくれた方があたしは嬉しい」

「……うんっ、ありがとう里奈ちゃん。でもやっぱりもう少し頑張ってみる、部活回ってくる」

「それよりさ、明後日確か全校集会で部活紹介するんじゃなかったっけ? それ見た方が早くない?」

「あ、そういえば……」


 何でこんな時期にあるのかよくわからなかったけど……私みたいな生徒のための企画なんだろうか。


「それであたしも一応調べてみたんだけどさ……部活で」


 そう、里奈ちゃんは新聞部に入部したんだった。

 何でも将来の夢が新聞記者だから勉強のためにとか。


「前にも言った通り、最近出来た『自由部』って部活だけは絶対ダメだからね?」


 自由部、そう、ずっと里奈ちゃんに言われている事だ。

 何でも所構わず脱糞する人がいたり、財閥のお嬢様がドラ○もんを開発してたり、生理になるとおかしくなる人がいたり、最新の情報では謹慎あけのヤンキー先生が顧問になってたりするらしかった。


 怖すぎる。


 いくら怖がりを克服したいと言ってもいきなり棒高跳びで月まで跳べと言われているようなハードルの高さ、流石に無理。


「うん、そこだけは入部しないよ絶対」


 でも逆にどんな部活かも気になってたりして……

 部活動紹介やるのかな?

 見るくらいなら構わないよね。


 恐怖を感じつつ、遠くから見学するのであれば、と少し期待している自分もいる事にこの時はまだ気づいていなかった。








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