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1.薄幸の美少女的な存在との出逢い


「ねぇ」


 突如後ろから声をかけられる。


「あなた誰?」


 振り返るとそこには儚げな美少女が木に手を添え、佇んでいた。

 透き通るような白い髪、うなじあたりまでの短めの髪は古き良きおかっぱの様ではあるが少し散切り気味のせいか流行りの髪型のようにも見える。

 髪の色に合う青みがかった瞳は少し眠そうにしていて一見すると白人やハーフのようにも見える、それほどの絵に描いたような美少女だった。


「ここにはあまり近づかない方がいい」


 美少女の身長は低かった、恐らく150センチ代だろう。

 それも相まって瞬きをすると消えてしまいそうな……まるで妖精のような存在に見えた。

 よく見ると白いYシャツに二年生の腕章をしている、上級生のようだ。


 もしかしたら、この人ーーと思った俺は白い美少女に答える。


「いえ、ここに部活……同好会の部室があると聞いて……見学希望なんです。」

「………そう………ついてきて」


 特に会話のやり取りもせず、美少女は森の奥へと歩を進める。

 やはりこの人がその同好会のメンバーの一人のようだ。


 俺も特に何も聞かず美少女についていく。

 きっと彼女は会話をあまり好まないのだろう、勝手な判断だがそう感じたから。


 クラスでは物憂げな美少女として窓辺で読書を(たしな)み、人類を救うファーストパイロットとして人型汎用ロボットに乗り込んで『私が死んでも代わりはいる』とか言ったりするだろう。


 無口だが心を開いた人間には徐々に好意を示し、その普段とのギャップにやられる人が続出する。オタクが好むタイプ、彼女もきっとそれだ。

 人を見てキャーキャー騒がないところもこの落ち着き様もこの高校に来てから一番好感がもてる。

 彼女のような変わり者なら大歓迎だ。


 しかし俺には心配事がある。

 それは俺がラッキースケベを巻き起こしてしまう体質であること。かの偉大なる先人、結城○トさんと同じものだ。

 ○トさんと違いがあるとすればその自覚があり、俺がスケベにあまり反応しないところだろうか。


 実は今日一日で十回以上下着に顔を埋めてきた。

 誤解のないよう言っておくが俺は自分から下着に飛び込む変態ではない。向こうから勝手に物理法則を無視し飛んでくるのだ。あらゆるシチュエーションで。

 その度に恋愛フラグが立つが面倒なのでそれを打ち消す作業にとんでもない疲労を感じていた。

 俺が美少女と相対するといつもそうなってしまうんだ。

 彼女はそうならないように願っ


ガッ「あっ」 


 彼女は木の枝に足を取られ、何故か盛大に宙に浮く。


 もう起こってしまった。

 彼女は物理法則を無視し、バク宙でもするかのようにこちらにグルグル舞って飛んで来る。


ドガッ……ドサッ!


 後ろに回転してきた彼女とぶつかり折り重なる。


「痛たた……」


 全ては俺の特質のせいなので彼女は悪くない……が、いきなりフラグを立ててしまったようだ。

 あまりの衝撃に目を瞑ってしまったが、きっと目を開けばそこにはいわゆる69(ロック)な形で下着全開でお尻を俺の顔に向けているはず。


 そして物静かな彼女は少しだけ顔を赤らめ『………見た?』とか言うんだろう。それが後を引き何故か気にされ続けるというパターンだ。

 そんなフラグがたってしまった。


(また恋愛フラグを打ち消す作業をしなければならないのか……面倒だ……)


 そして俺は目を開く。


 そこには桜の花びらが一つあった。

 この森の木々は緑緑としていて桜は無い、花びらが飛んでくるという事はない。

 正確に言うと目の前にあるのは彼女の桜の花びらだ。

 R18的な表現だ。


 彼女は全裸になって俺にお尻を向けていた。

 どういう物理法則で着ていた制服が脱げたのかは知らないが彼女は全裸だった。大事な事なので二回言った。


(……ん?)


 状況を理解するのに少し時間を要したが、それよりもまず疑問が浮かんだ。

 この(ラッキースケベ)でこんな風になったのは初めてだ、ここまでこの力は進化してしまったのだろうか。


 いや、そんな事はない。

 今日一日女子と何度もぶつかったが、せいぜい下着に鼻を埋める程度だった。

 ぶつかった拍子に女子を全裸にさせるなんて結城○トさんだって中々起こせないラッキースケベだ。


 (もしかしたら俺の体質のせいではない? この狂気(ラッキースケベ)は彼女が巻き起こしたものなのか……?)


 そんな事を考えていると彼女の尻穴がピクピクとひくついた。


「……あっ」


 吐息のような声を漏らした彼女は

 続いて尻穴からも

 全てを漏らした。 


「そいゃっ」


ブリリリリリリリリリリリ……


 御輿(みこし)を担ぐかのようなかけ声と共に

 彼女の臀部(でんぶ)からはあくまで自然の摂理だと言わんばかりの体内の土石流がとめどなく溢れでてきた。


 直接的に言うと『う○こ』だ。


ブリリリリリリリリリリリリリリリリリリ


 位置的に避ける事が絶対不可能だった俺は【それ】を全て顔面で受け止めて思った。


 何かがおかしい

 変人と言ってもよくあるラノベ程度の変人級ではなかったのか?

 これでは変人どころではない、狂人だ。


 そう思った時にはもう俺は、【狂人達の領域】に足を突っ込んでしまっていたのだ。









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