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廃墟に咲く花

勇者が始めて一人でたどり着いた場所には、何も無かった。












彼が求めていたものは、何一つありはしなかった。












あるのは、ただ、先人達のぬけがら。












その場にいるのは 限りある資源を強く欲する動物達。









廃墟となった場所に憂いを落としつつ歩いていた勇者は、












ただ単純に広がる平原の中央に、ある一つのものを見つけた。









花である。












とても綺麗な艶のある花である。












たった一厘ながらも、力強く咲いている、それは花であった。









勇者は笑った。












声を出して笑った。












自分はまだ何も成していない事に気が付いて笑ったのだ。












これから自分がこの廃墟に都を築いてゆく、それでいいじゃないか!












いつの日か、この草原に眼前の名もなき花が咲き乱れる事を望み、












勇者は益々の精進を誓った。


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