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厄介と呼ばれる信徒

最初は信徒も

何でも感激して涙を流す

可愛いものであったが、

あまりに距離感が近過ぎたためか、

調子に乗る奴らが出始める。


『厄介』と呼ばれる

迷惑行為を繰り返す信徒だ。


厄介にもいろいろ居て、

イベント中に

他の信者と揉め事を起こし

喧嘩を始める厄介、

これはある意味で

まだマシな方とも言えた。


神の住所や連絡先を調べ

ストーカー行為を繰り返す

厄介もいたが、

神をストーキングするなど

信仰熱心にも程があるだろう。


あまつさえ神と繋がって

あわよくばエロい事をしようなどと

そんな不届きな厄介までもが現れる。



そんな厄介達の中で

最もアツエマ様にダメージを与えたのは

説教厨と呼ばれる厄介で、

こともあろうか

駆け出しとは言え仮にも神相手に

ダメ出しをして説教をはじめるのだ。


「アツエマ様、この前はなんで

僕のお願い聞いてくれなかったの?」


「えー、だって

他の人に迷惑が掛かるような

お願いはダメだよー」


「ダメだよーじゃないよ、

僕はアツエマ様のためを思って

言ってあげてるんだからね、

そもそも、アツエマ様は……」


説教厨はネチネチと

重箱の隅を突くが如く

延々と説教をし続け、

ついにアツエマ様は泣き出してしまう。


厄介は、若くて可愛らしい女の子、

もとい女神が泣く姿を見て

この上ない喜びを感じているらしい。


信仰する神を相手に説教をして

神が泣き出す姿を見て悦に浸るとは、

なんとも罰当たりな信者が

いたものである。


どこかの瞬間、どこかのタイミングで、

『信仰させてもらっている』から

『信仰してあげている』に

気持ちが変わってしまったのであろう。



そんなことが何度も繰り返されると、

アツエマ様からは

笑顔がすっかり消え、

いつも暗い顔をした

まるで鬱のような様子を

みせるようになり、

長い間我慢していた彼女も

ついに耐え切れなくなった。


「あたし、

もう神様辞めたいです……

実家に帰ります……」


アツエマ様の言葉に

違った意味で勇者は驚く。


『おいおい、ちょっと待て、


ここの異世界ではそんな簡単に

神になったり辞めたり出来るのか?


神辞めるって、

そしたらこいつは

何に戻るんだ?人間か?


そもそもこいつ元人間なのか?

人間が神になれるものなのか?


そりゃ、そんだけ簡単に

神になったり辞めたり出来るのなら、

ここに大量に神がいる訳だ』



今までの勇者が持つ

神に対する概念を覆す一言、

そこから考えて勇者が出した結論。


ここでは神と呼ばれ、信仰されれば

それは全て本物の神となる。


強力な言霊のようなものかもしれない。


勇者が元いた人間世界では

すごいの意味で

すぐに『神』と言うのが

流行っていたが、

ここであればそれ等はすべて

本当に信仰対象の神となってしまう。


極端に例えれば、

美味しいタピオカのことを

「神タピオカ」と

誰かがひたすら言い続けたり

ネットで拡散し続けたりすれば、

その内タピオカ神なるものが

本当に誕生するということだ。


そう考えると

おかしくなって来て

ついつい勇者は笑う。


『そりゃ日本も

八百万の神になる訳だ』


まぁ目の前にいる

アツエマ様からすれば、

人が真剣に苦しんでいるのに

なんて酷い人なんだろうと思う訳で、

こういう所から

勇者の人望は無くなって行くのだろう。



結局、駆け出し女神のアツエマ様、

厄介信者の迷惑行為により

メンタルを病み休業に追い込まれる。


『神ってのも、

それなりに大変なもんだな』


大概は勇者にも責任があるのだが、

勇者はいつでも他人事である。






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