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会いに行ける神様

「勇者さん、

私を人気神様にしてくださいっ!」


勇者の目の前にいるのは、

まるでアイドルのように

美人で可愛いらしい、

見た目は非常に若そうな

駆け出し女神のアツエマ様であった。


神なので見た目と実年齢は

全然違うのであろうが。


どうやら女神アツエマは

死神をプロデュースして

一応の成功を収めた勇者に

自分もプロデュースして欲しい、

そう思っているらしい。


勇者も前回やらかした

ばかりであるのに、

未だプロデューサー気取りで、

駆け出し女神のプロデュースに

満更でもなさそうな様子。


「自分でも、もっと個性的な

売り出し方をしないと

いけないんじゃないかと思いまして……


あのぉ、

会いに行ける神様とか、

どうでしょうかね?」


『それもうただの神社だろ』


勇者は心の中で突っ込んだが。


『でもそれは意外に悪くない、

こいつアイドルみたいに

可愛い顔してるし、

自分が元居た人間世界の

アイドル商法でもパクってみるか』


ついに自分でパクると

言い出してしまう勇者。


-


まずアツエマ様の活動拠点を

『劇場』と改名させ、

信徒を集めて歌とダンスを披露、

その後は握手会と称し、

神と信徒がスキンシップして

コミュニケーションをはかる。


人間世界のグループアイドルや

地下アイドルの手法を

そのままパクって

異世界に持ち込んで来る勇者。


今度は異世界を文化的に

侵略しようとでも言うのか。


自分達が生きて行くのに

精一杯なこの異世界に

エンターテイメントなどが

まだあろう筈もなく

確かに戦略的には

アリと言えばアリなのだが。



信徒達は、美しく可愛らしい

アツエマ様が歌って踊る姿に

感激の涙を流しながら

「尊い、尊い」を連呼していた。


相手は神なので

ある意味一番正しい『尊い』の

使い方なのかもしれないが。


その後の握手会、

順番待ちの時点から信者達は

緊張でソワソワして体を震わせ、

並んで待っている段階で

既に泣き出している者達もいる。



アツエマ様の握手会イベントは

それはもう神対応だった、

本物の神だけに。


手を繋ぐ時に

お互いの指と指を絡め合う、

恋人繋ぎと呼ばれる

カップルがやるような繋ぎ方を

両手でやるのだ。


『こんな、恋人繋ぎとか

キャバ嬢でもやらんだろ、

どんだけフランクなんだよ、こいつは』


この恋人繋ぎにより、

本来手が届かない筈の神様に

勘違いして真剣に恋をする、

いわゆるガチ恋勢なる信者達を

大量に生み出すことになる。


可愛いらしく美しい

神対応の女神アツエマ様は

瞬く間に人気の神と

なって行くのだった。


-


最初は握手出来る、

それだけで感激していた信徒も

回を重ね続けるごとに

どんどん慣れて行き、

信徒の楽しみ方も

より深いものへと。


「俺の嫁っー!」


歌と踊りの最中に

俺の嫁コールを打つ者達も現れる。


神を嫁呼ばわりとは

不埒ふらち者なのか、

人生を信仰に捧げるという意味で

敬虔な信徒なのか

もはやよく分からない。



「俺、認知もらったわ」


信徒がアツエマ様に

個人的に名前を憶えてもらうことを

認知と呼ぶらしい。


「俺なんて、私信もらったから」


アツエマ様から

個人宛にメッセージをもらうことを

私信と呼んでいるらしい。


最初は信徒もこれぐらいで

可愛いものだったのだが、

やはり人間の欲というのは深いもので、

信徒達の行動は

どんどんエスカレートして行くのであった。






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