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ペナルティポイント

廃墟の中で息を潜める勇者。


緑の巨大ゴーレムは

まだこちらの位置には

気づいていない。


巨大ゴーレムの数は三体、

先行する一体の後ろから

もう二体がついて来ていた。


『俺が知っている奴なら、

手に巨大なマシンガンを

持っている筈なんだが……』


物陰から勇者が

その姿を確認すると

やはりゴーレムの手には

巨大なマシンガンが

握られている。


『しかし、

あんなデカいロボットに

あんなの持たそうと

最初に考えたの誰だよ』



ここ無人のコロニー、

その廃墟に現れた

緑の巨大ゴーレム、

勇者が昔アニメで見た

巨大ロボットと同じであるなら

人が操縦している筈である。


しかし、

この残骸と化したコロニーに

人間が生息しているとは

到底思えない。


となると、AIか何かで動く

自律式ということも考えられる。


もう一つの可能性としては、

放置されていた巨大ロボットに

このコロニーに住んでいた

死んだ人間達の魂なり霊なりが

憑りついて本当にゴーレム化したか。


本当のゴーレムも

そもそも木偶や

石像であることを考えると

有り得ない話ではない。


勇者がそんな考察をしている間、

ドン・ファンは廃墟の家で

トイレに籠り切りであった。


さっき食べた古い宇宙食で

どうやらお腹を壊したらしい。


-


ドン・ファンが水洗トイレの

水を流す音が勇者に聞こえる。


「いやぁ、

お前が居た世界の

トイレってすごいな、

勝手に水が流れるのな」


ドン・ファンは

スッキリした顔をしていたが、

勇者はキレていた。


『こっちは、

息を押し殺して

潜んでたってのに

何水流してくれてんだっ』


案の定、何のセンサーが

反応したのかは分からないが

傍に居たゴーレム一体が

そのわずかな音に気づき、

勇者達が隠れていた家に

手に持つ巨大なマシンガンを

いきなり撃って来た。


家の中に居た

勇者とドン・ファンは辛うじて

外へと飛び出したが、

家は一瞬で吹き飛び、

周囲に建ち並ぶ住宅も

蜂の巣になり大破しいている。


『やべぇ、

想像以上に弾がデカい』


銃撃したゴーレムに気づき、

他の二体のゴーレムも

こちらに向かって来る。


三体のゴーレムは

コロニーの内部侵入者である

勇者とドン・ファンに向け

巨大マシンガンを乱射、

小さい人間を的に狙い撃つのは

効率が悪い話ではあるが、

ゴーレム的にはおかまいなし。



巨大な銃弾の雨あられを

かわし切れなくなった勇者は

仕方なくついにチート能力を使う。


時を止め、

勇者はドン・ファンを抱え、

瞬間移動でこの場を離脱する。


『出来れば、

使いたくないんだけどね、

また借金増えるから……』


時が再び動き出すと

勇者はドン・ファンを地に置き、

浮遊能力で空を飛び回った。


三体のゴーレムは上空に向け

銃を乱射したが、

勇者の飛行能力が速く

的も小さいため当たることはない。


その巨大な弾丸は

コロニーの内壁に当たり

穴を空け、ただでさえ少ない

空気を外へと流出させていく。


-


以前、魔王と戦い

異世界を一つ半崩壊させた勇者、

その後、神々によって

能力をいろいろと制限されていた。


一撃で異世界を破壊させるような

禁忌魔法レベルの大技は

当然問答無用で封印されたが、

それ以外のチート能力に関しては、

使えないという訳ではなかった。


ただチート能力を

頻繁に発動出来ないように、

チート能力を使った際には

神々からペナルティポイントが

課せられる。


このペナルティポイントというのは

早い話が借金のようなものであり、

この借金を返済するためには、

勇者は請負人の仕事を

どんどん受けて

報酬を得なくてはならない。


今回のダンジョン探索調査の

依頼を断れなかったのも、

この借金返済のことがあったからだ。


勇者からすれば

重量課金制でチート能力を

使っているようなものである。


『もうこれ、

ただの有料オンラインゲーだろっ』


そして、

この勇者のことなので

依頼を受ける度に

借金を返済するどころか

逆に増えて行く始末。


神々もそこまで計算して

この仕組みにしたのであれば

相当に腹黒いと言える。


『神の癖に、

悪徳高利貸しみたいなことしやがって』


まぁ勇者もいつか借金を

踏み倒してやる気満々なので

あまり神々のことを

言えたものではないのだが。





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