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ダークヒーローとおっさんドラゴン(2)

「ダークヒーロー言うたら、

背景とかもむっちゃ大事やろ?


お前等どんだけ

心に闇抱えてんねん、みたいな。


親殺されたとか、

兄弟姉妹殺されたとか、

恋人殺されたとか、

友人殺されたとか、


殺されてばっかりやんけっ!


まぁ、あれやな

簡単に言えば復讐やな。


後は

もう人間なんか信じてないし、

愛なんかいらねーし、みたいなんとか。


自分等そんなん、何かあるんか?」


「……。」


おっさんドラゴンの

熱弁を他所に押し黙る四人。


仕方がないので、

おっさんドラゴンは

四人に超簡単な自己紹介をさせてみる。


「……ハーバード大学経営学部を卒業、

尊敬する人は両親で、

いずれは父のような経営者になることを

目指しておりました」


四人ともこんな感じなので、

おっさんドラゴンは他にも

いろいろと質問して

彼等の闇を引き出そうとするが。


「趣味は、書道とピアノです」

「テニスとサーフィンです」

「山登りとスノボもやってます」

「読書とお箏を少々」


『なんでこの子等、

ダークヒーローになったんやろか?』


いくらいろんな質問をしても

全然ダーク感がないので、

いろいろと創作しはじめるおっさん。


「ほなもう、君はこの際、

孤児でスラム街の出身てことにしよか?」


「偽名の次は経歴詐称ですか?」


「違うがな、あれや、設定や、設定、

自分等はダークヒーローなんやから、

ダークヒーローぽい設定を

演じなきゃあかんっちゅうこっちゃっ!


そやもうこれは演出や、お芝居や


それならみんな納得してくれるんか?」


あまりのグダグダな展開に、

何故こんなことを

自分ははじめてしまったのかと

後悔し出すおっさんドラゴン。


途中で投げ出す訳にもいかないので、

その後もダークヒーローに

成り切るための指導は続いた。


-


「ほなね、そろそろ、

ちゃちゃっとやって、済ませよか?」


おっさんドラゴンの

ダークヒーローになるための

アドバイス講座もやっと終わり、

いよいよ本番。


当然四人とは

ここでお別れと言うことになる。


四人はおっさんドラゴンに

深く頭を下げ謝辞を述べたが、

本番ではちゃんと教え通り

ダークヒーローぽく

名乗りを上げてみせる。



「我は闇の刻印に運命さだめられし者、狂也きょうや


あまね生命いのちゼロへと

帰依させる者、我が名は零司れいじ


「漆黒の闇より生まれ、

深淵なる絶望を以て顕現せし者、宵闇よいやみ


「等しく過ぎる時の潮流に、天に唾して

仇を成す者、月詠つくよみ


おっさんドラゴンは

自分の指導通りにやっている

彼等を見て思う。


『あかんわ、これ失敗したかも』


『実際に戦う相手の視点で見たら、

めっちゃ腹立つ奴やわ、これ』






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