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自由なる旅人  作者: ブラックニッカ
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8 糸の町『コルティオ』

ドッペルを出す必要が無くなったので、二人歩いてメルド達の店を出た。

時間はもう昼を過ぎてる、服を買う前にメシにしようと町の中を歩く。大通りに出ると人混みに溢れていた。

テオは不安なのかゼルエルの服を掴んで後ろを歩いている、ゼルエルはテオの手を握り離れないように隣を歩かせた。スーはコートの中である。


適当な食事処に入り、席に座りメニューをテオに見せた。


「テオ、どれ食べたいものとかあるか?…ていうかお前、文字読めるの?」


「……よめない」


「そっか…じゃあどれにしようか…?」


「テオちゃんテオちゃん!この店ならウサギ肉とかオススメ!美味しいよ?」


「俺ぁ今日は山菜の気分だな、流石に昼間に酒煽るのはねぇかなぁ」


「いや、…あんたらなんでここに居るんだよ?」


今このテーブルを囲んでるのは四人、ゼルエルとテオ、そして靴屋の二人、メルドとペルティエがここにいた。


「おかしいだろ!二人消えたらあの店どうすんだよ!?」


「良いじゃねぇか、どうせ客なんざこねぇよ。もし来てたらまぁ、下の店の婆さんに話通してるだろうよ」


「……ホントなんで店潰れてねぇんだよ」


「それにほら、金減らしてぇんだろ?奢ってくれ」


「タダメシ目当てか!?奢らねぇよ!?」


二人が言い合ってる間にペルティエは勝手に店員を呼んで同じものを四人分頼んでいた。


「あ、ペルティエてめぇそれウサギ料理だろうが」


「良いじゃ無い、ゼルエルさん奢ってくれるなら一番高いの食べたいじゃない?」


「……確かに」


「なんでそういう流れになってんだよ!奢らねぇって!」


「まぁよ、落ち着け兄ちゃん、どうせここの値段なんて高くて銅貨八十五枚くらいよ。それとペルティエがどうしてもって言うんでな」


「ペルティエさんが?」


ゼルエルはペルティエを見る、ペルティエは笑いながらテオを見た後に真剣な顔でゼルエルを睨んだ。


「ゼルエルさん……貴方女性の服とか分かるの?髪の事も興味無さげだったじゃない?」


「う…」


図星である、ゼルエルは長く旅をしていたため女性との関係は薄い。当然女性の服など考えた事は無く、テオの服も適当に揃えようと考えていた。それをペルティエが見抜いたのだろう。


「こういっちゃ何だけど例え女の子を連れていても婦人服の店は入り辛いと思うよ?テオちゃんもあまりそういった事に興味無いみたいだしゼルエルさんが選ぶハメになるだろうけどきっと恥ずかしいと思う」


「そりゃあ……そーかもだけど……」


「だから私が一緒について行って、テオちゃんの服を選んであげる!っていうか行かせて!私がテオちゃんの服選びたい!」


目を輝かしてテオを見るペルティエ、テオはおどおどとしてゼルエルとペルティエ交互に見ていた。


「くっくっくっ!そういうわけでな、ペルティエ貸してやるから、案内料みたいな感じでここのメシ代奢ってくれや」


笑いながら言うメルドに、ゼルエルは目を細めて言う。


「そう……だな、そうだな、ペルティエさんはありがたく貸してもらうけど、アンタはいらねぇんだが?」


「金減らしてぇくせにケチクセェなお前、靴選びに親身になってくれたと思ってここは一つ!…まぁ金持ってきて無いから奢って貰うしかねぇけどな!」


「とんでもねぇ奴だなアンタ!?」


そうこう言ってる間に四人分の料理が運ばれてきた。

テオが笑顔で食べている、たまにボソッと「おいしぃ」と言っている。

そんな姿を三人は微笑みながら見守りつつ食事を口に運ぶのであった。


結局料理代は全てゼルエルが支払った。



☆☆



ゼルエルとメルドは蜘蛛人種以外の婦人服を扱っている店の前にあるベンチに座ってかれこれ二時間待っていた。


「長くね?」


「女性の服選びってのは長ぇもんよ、若い頃俺がペルティエと服を買いに行った時なんざ三時間連れまわされた事がある」


「マジか……」


店に入る前、テオからスーを預かったゼルエルはペルティエに金を渡しある程度説明をした。


上着とズボン、下着と靴下。

まだ秋月だが、念のため冬月に耐えれる寒さに強いの。

防寒着、手袋もお願い。


だいたいこんな感じの事を言ったら。


『最近の女性冒険者はスカートの子も多いよ?ズボンも良いけどスカートも買っとこうよ?大丈夫、テオちゃん的にも服的にも素材が良いから似合うだろうし、可愛くて機能性が良いの選ぶから!」


なーんて言われたのでペルティエに任せることにした。

だがこんなに長いと不安を感じるものだ。


「ペルティエの奴、旅人だっての忘れて大量に買ってくるかもな…」


「まぁ、それならそれでどうにかするけどさ…不安だな……」


考えても仕方ないのだが、自分は待つしかない。

周りから目立たないように手で隠すスーを撫でながらメルドとどーでも良い話を続け、時間を潰し待つのだった。




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