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第六話 親衛隊『ML』

あらすじ


 ついに美羽姉と学園に行くことになった和馬。だが、そんな日に朝から散々な目に遭うものの無事に登校。そして学園では授業中にもかかわらず、僕の教室で何でか一緒に授業を受けている美羽姉。……可笑しい、可笑しずぎる。何で美羽姉はこの教室にいるの!? そんな美羽姉を教室から引っ張り出したのは副会長である天峰あまみねあんず先輩だった。流石親友、美羽姉を教室から出すことに成功。だが、昼休みまでの授業は全て参加してきた。そして迎えた昼休み……。勿論、美羽姉付きの食事で一緒に食べる。しかし、美羽姉が口移しで食べて欲しいと無理やり食べさせようとするが……。

 このままじゃーーー。そんな時ある人物が現れた。それは漆黒の軍服を纏い、後ろには何十人と部下らしき人々を引き連れ学食の中に入ってきた。そうこの学園ではご存知の『美羽様親衛隊』通称ーML-と言うらしい。MLとは『美羽様を愛するもの達』とも言われ、美羽姉の『M』、そして愛するもの達の『L』が頭文字となって『ML』となったとのこと。この軍団は美羽姉の為なら何でもするらしいが、一番の目的は『美羽様に近づくゴミ虫を排除する』というのが軍団の第一条例らしい。これら全てはストーカーみたいに情報を書き集めている信三が教えてくれた。まあ僕は弟だから大丈夫だろうと思っていたが、やはり男は全てゴミ虫みたいだな。

 僕が美羽姉に視線を向けていないのに気付いたのか、美羽姉は僕の腕を離し、学食の入り口を見る。軍服を着た人物は昨日僕に拳銃を押し付けてきた岡野先輩だった。ついでに言うと、胸を揉んだ初めての女性でもある。そんな事を考えていたのがバレたのか胸を抱えてこっちを見てきた。はい、昨日は本当に申し訳なかったです。視線で謝ったが、逆に機嫌を損ねてしまったようで、懐から昨日突きつけてきた拳銃を取り出し、こちらに向ける。……撃たれると思ったが、後ろの部下達が必死に押さえつける。岡野先輩は押さえつけられても、拳銃を持ってる手はせわしく動かしている。今にも引き金が引かれそうだ。だが、部下のおかげで落ち着いたのか拳銃を懐にしまい、こちらに再び歩いて来る。そして僕と美羽姉を取り囲むように立った。


「岩永和馬。我々『ML』はお前を最大危険人物としてマークし、卒業するまで生徒会長には近づけさせないようにする事を今朝方の『ML』会議で決定した。よってお前をこれより生徒会長もとい美羽様から隔離する。お前達奴を捕まえーーー」


 そんな中驚くべき声が上がった。学食の皆は普通ここでは反抗するものだと思っていた。それはそうだ、いきなり離れろと言われれば、はぁ? なんで? と思うからだ。だが、岩永和馬は違っていた。


「いやー助かったよ、岡野先輩。これで美羽姉から離れて飯が食えるよ。ありがとう! マジで助かった」


 しーーーーーーーーーーーーーーーん。岡野先輩の手を握り、和馬は言った。そんな一言により辺りが静まり返っていた。そんな静寂を破ったのは美羽姉の言葉だった。


「何で……何でよ。折角、カズ君とのご飯を楽しみに……楽しみに……し~て~た~の~に~!!」


 美羽姉の背後から黒いオーラが漂っている。このままではここら一帯が血の海にーーー。僕は美羽姉からの被害を受けないようにする為に一旦から離れることにした。その代わりに岡野先輩が美羽姉に近づく。


「さあ、会長。弟の事など放っておいて、こちらでお食事をしましょう。会長の為に特別メニューを作らせましたから、こちらへ」


 岡野先輩が美羽姉に手を差し伸べるが、美羽姉は俯いたまま、手を取ろうとはしない。何だか逆にオーラが強まったような……。


「………………めろ」


 美羽姉の口から何か聞こえたが、小さすぎて聞こえない。岡野先輩がもう一度伺う。


「会長? 何か仰りましたか? 聞こえなかったのでもう一度お願いできますか?」


 岡野先輩が耳を傾ける。僕からしたらそれ以上やると、美羽姉の怒りが頂点にーーー。


「……やめろ、と言っているのですが何でそんなことも分からないのですか? …岡野さん」


 ついに美羽姉の怒りが頂点に達した。学食にいる生徒は皆食事を片付け、足早に去っていき、学食は僕と親衛隊、それと美羽姉の3グループだけになった。


「私は色々と助けてもらっているあなた達『親衛隊』には感謝はしてるんですよ。なのに、なのに……何でカズ君とのイチャイチャタイムを邪魔するの!!! あなた達は何ですか? 鬼ですか? 悪魔ですか? 私がこの日の為にどれほどの苦労を重ね、この学園を開拓してきたと思っているのですか! 1年、1年ですよ。私はこの1年間カズ君ともろくに会えず、顔が見たくなったら、こっそり部屋に取り付けた監視カメラで癒され、カズ君の声が聞きたくなったら、服に取り付けた盗聴器で身悶える。そんな事しか出来なかったから……。そして私はようやくカズ君がこの学園に入学した時思わずペロペロしたくなったけど、それも我慢した。我慢した、我慢した我慢した我慢したんだよ。そしてついに昼休み、学食でイチャコラ出来そうだったのに……。それに…カズ君もカズ君だよ。私と離れて食事が出来る事に喜んでいるし、まあさっきは強引すぎだったのかもね。ごめんね。でも、あなた達『親衛隊』が来なければカズ君は何事もなく私とのご飯を楽しんでくれたのに……それを、それを………」


 台詞が長すぎて、途中の内容が頭に入らなかったけど、要するに僕との時間を邪魔されて怒った? って事なのかな。ふふふっ。美羽姉のここまでの言動を聞くと…………………………もはやただの変態じゃねーかよ!!! と、つい口に出しそうになったところ、親衛隊から声が上がった。


「ですが、美羽様! 弟であろうと男性とそんな事をするなど不純です!」


 その声に伴い、次々と声が出る。


「そ、そうですよ。そこの冴えない弟であろうと、男性は男性。きっと美羽様に対してよからぬこと考えているに違いありません!」


「そうですよ。私達『親衛隊』に命令してくれれば、いつでもそこの糞野郎を排除出来ます!」


「さあ、ご命令を!」


 親衛隊の人達が口々に言う。そして何故か僕の評価酷いような……。美羽姉はそんな親衛隊の言葉に対して言い放った。


「あなた達は私の為にあるのよね? なら、カズ君とのイチャイチャタイムの時は邪魔しないで。そうしなければ……殺すわよ」


「は、はい!! 美羽様!」


 うわー、本当逆らえないんだなこの人達。僕はそんな事よりも聞かなければならないことが! 恐る恐る手を挙げて美羽姉に質問する。


「あのさ、美羽姉……僕に拒否権は無いんですかね?」


 確かに久しぶりに美羽姉と過ごすのは悪くない……でも、流石に学園まで一緒というのは姉弟として恥ずかしい。だが、美羽姉にとっては些細な事であり、僕の質問にも迷いなく答えた。


「そんなの無いに決まってるじゃないの。カズ君は私を見殺しにするつもり! ……ぐすん」


 美羽姉はわざとらしい嘘泣きをしながら時折こちらをチラ見する。そしてまた嘘泣きを始める。僕が何も言わなければ、このまま永遠に続きそうだ。ここは諦めて美羽姉に従うかな。


「わかったよ美羽姉。今回は美羽姉に従いますよ」


「今回は……じゃないでしょ。お姉ちゃんには絶対服従でしょ? ……カ・ズ・く・ん」


 何か雰囲気がヤバそうなので適当に頷いておこう。


「うんうん。わかったよ、何でも従うから、これで話は終了でいいでしょ」


 これ以上は面倒だから、僕は美羽姉との話を終わらせる。……っと美羽姉と話に夢中で親衛隊の人達の事をすっかり忘れてた。僕は周りを見渡すものの親衛隊の人達と岡野先輩がいつの間にか姿を消していた。












 どうも今回も「姉による」を読んで頂きありがとうございます。ついに八月も終わりに近づいて来ましたね。もうあっという間でした。っと今回の内容では美羽姉と和馬の学園生活の後半なのですが、まだ昼休みの事で全然先に進んでいません。ですが、和馬の前に現れた『美羽様親衛隊』通称『ML』……。そして一話の方で出てきた岡野先輩。この人親衛隊長みたいですね。軍服カッコいい~♪ とキャラが増えてきました。そして美羽姉に逆らえない和馬。穏やかに学園生活が送れるのでしょうか? 続きが気になりますね。では、次回の投稿もお楽しみに! 

 ……あ、あと少し短めで終わらせております。申し訳ありません。ブックマーク、コメント、感想等々よろしくです。

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