Episode9
お昼休み、ソフィアとファンジーはリリと大食堂で昼食をとっていた。
そこにはリリの親友、エミリ・グランデも一緒だ。
彼女は妖精使いの知る人ぞ知る妖精科の優等生だ。
妖精の属性は風で名前はソルジャー戦闘向きの妖精だ。
ファンジーは光属性で戦闘向きではない。
「私はエミリ。彼女は私の妖精のソルジャーだ。クラウド、君の事は知っている。そこの妖精ともどもよろしく頼む」
性格から何までリリとは正反対。髪の色いもリリは桃色に対し、エミリは紺色。
二人で一人、みたいな印象を受ける。
「自己紹介はしなくてもよさそうね。貴方の噂は魔法科にも届いているのよ。ね、リリ?」
「うんうん、そうなの。私もエミリに負けないように頑張るの!」
「そうかそうか。ノマ魔法についてだったらいつでも私に聞きに来い」
ソフィアはそんな二人の事を眺めながら、妖精二人の様子も覗っていた。
「私はソルジャーだ」
「私はファンジーよ」
『…』
何だかとっても気まずそう…
最後の一口を口に放り込むとリリが話し出した。
「あのね、今日集まってもらったのはね、理由があるの。そろそろチームを組みたいと思っててね。三人で組まないかなーと思って…」
リリが気まずそうに最後のほうは聞き取れなかった。
「私は構わないぞ」
「私は…」
ソフィアが返事を返す前に聞き覚えるある声が頭上から響いた。
「ソフィアは僕たちと組むことになってるからほかの子にしてよ、セントリア嬢?」
そこには天使のようなスマイルを向けたリコウスと無表情を決め込んだナトラの姿があった。
「そうなの、ソフィア?」
リリが捨てられた子犬のように見あげてくる。
「…そいうなの。ごめんなさい。機会があったら組みましょうね?」
「そうするの」
これで一応、チームの話は終わったはずだ。
さりげなく私の隣にリコウスとナトラが腰を下ろした。
「それにしても、魔法科の優等生がチームを組むのか」
エミリがリコウスとナトラの方をじろじろ見ながら言う。
「…それはお前も一緒だろう」
ここにきて初めてナトラが口を開いた。
「ソフィアは実力も経験もあるが俺たちは実力も軽軽も浅い。妖精科の優等生には到底言われたくない発言だが」
ナトラがもっともなことをストレートに伝える。
エミリって人はとても失礼な人だということが分かった。
努力すらしていない人がそれを言っていいはずがない。
「そろそろ教室に戻らないとね」
この一言でお開きになった。