Episode2
「もっと胸を張りなさいよ、ソフィア。貴方はそれだけの実力の持ち主なんだから」
「…うん。私頑張るよ、ファンジー。絶対お母さんのような魔法使いになるから!」
アルコ・バルノ正門前、一人の少女と妖精がいた。
少女は名をソフィア・クラウドと言い。この世界でたった一人しかいない全属性の少女だ。
彼女は銀色のふわふわした髪に金色の瞳が輝いていた。
アルコ・バルノの白と水色基調の制服に身を包んでいた。
ソフィアにくっついている妖精はファンジーと言う。
代々クラウド家につかえている妖精だ。
「今日からこの学校の生徒だね」
「でしょうね。早くいかないと入学式に遅れるわよ」
「え、嘘っ!?ファンジー急いで!」
慌ただしく校舎内に駆け込むソフィアの姿を見ているものがいた。
「慌ただしい子ですこと」
「でも、実力は確かであろう」
彼等こそ、アルコ・バルノの守護役ニケスト兄弟だ。
姉のウィルニアは紅の魔女と呼ばれ、弟のオリニアは群青の騎士と呼ばれており、姉は魔法が弟は戦闘能力が高い。
だからこの学校は何時如何なるときも安全に保たれているのだ。
推定年齢二十歳の二人の本当の年齢は五百歳だ。
「面白いものが見れましたわ」
「ならば早く持ち場に戻れ」
「わかりましたわ」
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その頃、ソフィアたちは―
「校舎おっきいね」
「そりゃあ、世界最大の魔法学校だからでしょ」
「もう、ファンジーたら可愛くないなー」
二人でお話ししながら広場に向かっていた。
そこで新入生の歓迎パーティーが行われる予定だからだ。
何処までも続く長い廊下を二人は進み続ける。
長い廊下が開けるとそこはすでにどんちゃん騒ぎの光景が目にどびうっつった。
流石、普通のパーティーとは盛り上がり方が違う。
近づきすぎたら怪我しそう。
「凄い騒ぎようね」
「ここでは当たり前の事かも知れないよ?」
二人は近くに会ったベンチで椅子に腰かけ美味しいディナーを楽しむことにした。
色々な文化の料理がずらりと並んでいてどれにするか悩んだが、それこそ適当にはじからとって行った。
「君、新入生だよね?隣いいかな?」
隣にとっても好青年な男の人がいるんだけど…
水色の髪の毛は空と同調してしまうのではないかと思うほどに美しく輝いて見える。
「僕、魔法科のリコウス・エレジス。少しこの空気にのぼせちゃったんだよね。因みに水属性だよ。君は妖精をつれてるから妖精使い?」
好青年の名前はリコウスと言い属性は水だそうだ。
ソフィアもつられて自己紹介をする。
「私も魔法科なの。名前はソフィア・クラウド。この妖精はファンジー」
私が自己紹介を終えるや否やリコウスは目を輝かせソフィアの手を握りしめた。
「きみがあの全属性のソフィア・クラウド?ここにくるって聞いて態々ドラーグに乗ってきたんだ。僕飛びもの苦手なんだけど、君に会うためにここまで来たんだ!」
行き成饒舌になったリコウスはここに通うきっかけを一人ではちゃっけ始めた。
「この人大丈夫かしら?」
「あはは…。大丈夫なんじゃないかな?」
二人は心配そうにリコウスに視線をおくっている。
水属性――大地を潤す水の力。
水属性はほかの魔法に比べてとても繊細な旋律から成り立っている。
なので水属性でも水の魔法を操るのはとても大変なのだ。
「それでね――あっ、ごめん。僕、たまにしゃべりだすと止まらなくなるかも知れないから教えてくれると嬉しい」
彼自身、自分がたまに饒舌になることを気にしているらしい。
確かに制御が聞かなくなったら大変かも―と密かにソフィアは思っていた。
太陽はまだ頭の天辺にある。まだまだ、パーティーは始まったばかりなのだ。
「了解です。でも、私の事知ってたんだね?」
「この学校で君を知らない人なんていないよ。だってソフィア、魔法試験一位通過だったんでしょ?みんな君の話で持ち切りだよ」
ソフィアは自然と頬が緩んでいた。
少なからず自分が歓迎されているのだと実感できてうれしかったのだろう。