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現代における魔王討伐  作者: 藍川 捺槻
第二章 魔法使い
8/8

疑問の帰宅

きぃぃぃぃ・・・

ゆっくりと小屋を開ける。

あたりは既に暗くなり始めていた。



「結局見つかりませんでしたね。」

「あぁ・・・そうだな。」


一日中歩き続けたせいでもうクタクタだ。

今日はもう帰って寝たいよ・・・。




「あの、まだ宇津介さんはまだ戻ってきてませんか?」

賢者が尋ねる。

「えぇ、まだ帰ってきていません。全くあの子はどこまで言っちゃったのかしら・・・」

「そうですか。ありがとうございます。」



「どうします?今日はもう帰りますか?」

「帰ろう・・・。もう疲れた。」

「わかりました。じゃあ魔法使いには後日会いにきましょうか。」

そう言って賢者は扉を開けた。



きぃぃぃぃぃ・・・



「あれ?今誰かとすれ違いませんでしたか?」

「気のせいじゃないか?それより、早く帰ろう・・・。」

「そうですね。」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・


帰りの電車に揺られながら俺は魔法使いのことを考えていた。

どんな人なんだろうなぁ。

・・・ZZZ



ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あぁ~。疲れたぁ・・・。」

家にたどり着いた俺はすぐにベッドに倒れこんだ。

気を抜いたらこのまま寝てしまいそうだ。

「着替えなきゃ・・・」

そう思って顔を上げると賢者は俺のパジャマを持ってきた。


「はいどうぞ。お風呂はいま沸かしてますから少し待ってください。ご飯も作りますね。」

そう言うと賢者は台所へ向かった。





「よくこんな見知らぬ俺の面倒を見てくれるな・・・」

湯船に浸かりながら俺はつぶやいた。

おそらく、賢者は夜ご飯を作っているだろう。

本当によくできた奴だ。


「もし、あいつが女だったら・・・」


って何考えてんだ俺は・・・。

「もう出よう・・・」







「・・・えぇ。会いにいったんですが・・・。はい。・・・」

お風呂から上がると賢者の話し声が聞こえてきた。

電話でもしているのか?


「はい。予定通りです。・・・かしこまりました。では・・・」

「誰との電話?」

「あぁ、勇者様。王様ですよ。」


あいつか。


「いつも連絡をとってるのか?」

「えぇ、逐一行動を報告しています。」

「へぇ~。お前も大変だねぇ。」

「まあまあ、そんなことよりご飯を食べましょう。今夜はオムライスですよ。」

「そうだな。食べるとするか。」





「いただきます。」

「どうですか?」


「う、上手い。」

少なくとも俺が作るより相当美味しい。


「凄いなぁ。料理の練習とかしてたのか?」

「いえいえ、いつも作ってれば自然に上手になりますよ。」

俺だって毎日作ってるのに・・・。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あら、おかえりなさい。」

「ただいま~。また遠くまで行ってしもうたわ~。」

「全く・・・。いつもそうなんだから。」

「へへへ。すいませ~ん。」


「そういえば、今日あなたにお客さんがきてたわよ。」

「私に?」

「そうそう。男の人が二人。」

「へぇ~。そいつは悪いことをしたなぁ。どんな人やった?」

「そうねぇ・・・」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ご馳走様でした。」

「お粗末様でした。じゃあ片付けちゃいますね。」

賢者はそう言うと台所へ消えていった。



「ふぅ~、美味しかった。」


賢者の料理は本当に美味しかった。

一体どれだけ料理を作ってきたのだろう。

俺の料理なんて足元にも及ばない。




・・・そういえば、魔法使いも仲間になったら家に来るのだろうか。

魔法使いは女って言ってたし、家に来るとなると・・・。



「それって・・・いろいろ大変なんじゃないか?」




賢者が台所から帰ってくると、俺は聞いてみた。


「賢者はなんで家に来たんだっけ?」

「そりゃ、仲間ですからね。一緒に居たほうが良いかと思って・・・」

「ってことは、魔法使いも仲間になったら家に来るってこと?」

「そうですね・・・。来ないんじゃないんでしょうか。」

「えっ?どうして?」

「別に強制ではないので・・・わざわざ知らない男の家に来ないんじゃないでしょうか?」

「強制ではないのか・・・。じゃあ、賢者は好きで家に来てるの?」

「いえ、私は王様から命令されているので。」

「俺の家に居ろって?」

「いえ、アドバイスをしてやれと。」

「ふぅん。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「じゃあおやすみ~。」

「おやすみなさい。」



暗闇の中で俺はひとり考えた。

別に賢者は家に居ろとは言われてないわけだし、賢者にも自分の家がある訳だし。

人の世話をするのなんて面倒だろう。


それなのになぜ賢者は家に来てる・・・


・・・ZZZ




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