靖国神社の「A級戦犯合祀問題」について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は大変デリケートな問題であり、僕の一意見として誰にも強制するつもりは無いのですが、「靖国問題」と「A級戦犯合祀問題」について僕の視点で述べていこうと思います。
質問者:
筆者:
1853年(嘉永6年)以降の国事に殉難した人の霊246万6千余柱を祀っているそうです。
最も問題となっている第二次大戦での兵士は死に直面する際に「靖国神社で会おう」という合言葉を掛け合っていたそうで、
「戦没者のシンボル」
その扱いで問題ないと思います。
日本の古来の考え方では「死ねば皆、神になる」と言うものもありました。
その延長線上に靖国神社も位置していると言っても過言では無いと思います。
質問者:
なるほど……それで、靖国神社って春・秋の例大祭や終戦の日のたびに政治的な話題になっているんですけど、いったいどうしてなんでしょうか?
筆者:
主に「A級戦犯合祀問題」というのが争点になっています。
A級戦犯と言うのは第二次世界大戦の極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)で死刑に処された13人も靖国神社で「祭神」として扱われていることから、
特に1995年のいわゆる「村山談話」で
「国策を誤り、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人びとに対して多大の損害と苦痛を与えた」
とした政府談話がありました。
この談話以降、政府高官、とりわけ内閣総理大臣がA級戦犯を祀っている靖国神社参拝することが相応しくないのではないか? と言われるようになったのです。
更に、「政教分離の原則」と言う観点から行政府に所属している政治家が参拝する事が特に公費を使って玉串料を納める事は問題なのではないか? と言う問題も発生しています(地方の政治家の奉納は違憲判決が出ています)。
※逆に政治家個人が参拝することに関しては信心の自由と言う観点からそこまで批判されている雰囲気はありません。
質問者:
なるほど……だから「A級戦犯合祀問題」とも言われるわけですか……。
政教分離の問題も特定の宗教団体に対してわざわざ公費を使って奉納するのは問題な気がしますね……。
◇「A級戦犯」を分けると……?
筆者:
ならば一見すると「A級戦犯を別のところに遷座すれば良いのではないか?」
と思われるかもしれません。
ところが保守派の中では、
「東京裁判は戦勝国が一方的に決めたもので、死刑になった13人はGHQなどの犠牲者だ!」
と考える方もいるので、政府がこれを行ってしまうと保守派から大きく票を減らしてしまう要因にもなるんですね。
また、神道の考え方として一度祀ったものを排除することは出来ないという考え方もあるそうなので、容易には「廃祀」「遷座」という事も難しいのです。
質問者:
なるほど分けてしまう事は「政治的コスト」が大きくかかってしまうわけですか……。
筆者:
ここからは僕の意見が多分に含まれるんですけど、そもそも東京裁判の「A級」「B級」「C級」と言うカテゴリは東京裁判が勝手に決めたもので、
A級戦犯 平和に対する罪
B級戦犯 通常の戦争犯罪(捕虜虐待など)
C級戦犯 人道に対する罪(強制労働、一般市民の殺害など)
と、BやCが悪くないわけではありません。
さらにBとCの戦犯合わせて1000人も靖国神社に合祀されているんです。
つまり、批判する側としてはA級が別の場所に移されたとしても「BとCがまだいる!」と騒ぐ可能性が極めて高いと僕は分析しています。
本質的にABCのカテゴリ全てが東京裁判で有罪判決を受けて「合祀にそぐわない」と言う点では変わらないと思いますからね。
質問者:
なんと……BとCは名前としては「格落ち」みたいな雰囲気がありますけど、
筆者:
とは言え、現状のままでは参拝するたびに国際問題にもなりかねない状況ですし、
総理大臣が参拝しなければ保守派からの批判が殺到します。
何をしても、しなくてもどこからか手厳しく批判されそうだなと言うのが「靖国問題」だというのが個人的にはありますね。
◇「保守派アピール」したいだけなのではないか?
質問者:
「戦後」というのが永遠と続いているなと言う印象がありますね……。
筆者さんはこの問題についてどうすれば解決できると考えられているんですか?
筆者:
現状、混沌を極める世界情勢的に外国に対して刺激を与える靖国参拝をすることが合理的とは思えません。
だからと言って日本を守るために散っていった戦没者慰霊をしないことは政治家としてどうなのか? と言う感覚もあります。
そこで、折衷案として「靖国神社以外に行く」プランを僕は提案したいです。
質問者:
筆者:
東京だけでも千鳥ヶ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)や平和祈念展示資料館(東京都新宿区)があります。
明治維新の志士や日清・日露戦争の戦死者たちまでは祀られていませんけど、第二次大戦で戦禍に散っていた方々に想いを寄せるのであればこれらでも十分な気がします。
神道の考え方もあって廃祀・遷座が難しいかもしれないことを考えたら、今ある施設を活用した方がまだ良いと思います。
特に千鳥ヶ淵は無宗教の墓地のようなので宗教分離の観点から見ても問題ない場所であると思われます。
質問者:
確かに8月15日は千鳥ヶ淵で慰霊祭やってますからね……。
そうなると最早靖国神社に参拝することの意味って何なんでしょうか……。
筆者:
政治家が「靖国神社参拝」になぜ拘るのか? それは「保守政治家アピール」ができるからだと思われます。
物議を醸している場所だからこそ、マスコミがその時期になればインタビューしてきますし、何かしらのプラスのアクションを起こしたとなれば保守層から票を盤石にすることが出来るのです。
特に、保守派は中国や韓国が嫌いである方も多く、中国や韓国が反対しているとなればなおさら「行くべきだ!」と主張される方が多いのでは無いかと推測できます。
(実際に靖国神社に首相在任中に参拝した小泉純一郎元総理は保守と絶賛された)
先の第51回衆議院選挙を見ても保守層から票を取ることが出来れば当選は手堅いものとなることは明らかなので、
「選挙活動の一環」と捉えると非常に合理的で「コスパが良い」選択とも言えますね。
(左側の人たちからしても安定して「政教分離」や「合祀問題」を主張して存在感を発揮できるので参拝する側も批判する側も両方にとって見ても「コスパが良い施設」と見ることも出来ます)
質問者:
なるほど……高市さんが支持されている大きな要因の一つとして、
「中国に対する圧力に屈しなかった」という事もありますからね。
筆者:
逆を言うと高市総理は今回の例大祭で参拝をせずに玉串料を奉納するにとどまったそうですから、
保守派から多少はマイナス評価を受けたことも間違いないです。
とは言え、私費だったようですが玉串料奉納の時点で外国からマイナス評価を受けたことも間違いないと思うので、
ただ、ここまで読んできた通り「靖国神社参拝」と「日本のための政治家」であることは全く関係性は感じられません。所詮はパフォーマンスの一環の一つである可能性が高いという事を念頭に置いてこの自称を眺めた方が良いと思います。
という事で今回は靖国神社の問題はそうそう解決しようがない状況なので、別の場所で戦没者に想いを寄せてはどうなのか? と言う提案をさせていただきました。




