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黒猫クーの宝探し

作者: 武田理感
掲載日:2026/03/11

目次


第1話 宝の地図を見つけた


第2話 海の公園でイルカにあった


第3話 海の公園で野良猫にあった


第4話 海の公園でツルにあった


第5話 海の公園からの帰り道ドーベルマンにあった


第6話 大切な宝が七つ見つかったとさ

黒猫クーの宝探し

あなたと僕は宝を探すために生きているのかも


目次


第1話 宝の地図を見つけた


第2話 海の公園でイルカにあった


第3話 海の公園で野良猫にあった


第4話 海の公園でツルにあった


第5話 海の公園からの帰り道ドーベルマンにあった


第6話 大切な宝が七つ見つかったとさ


第1話 宝の地図を見つけた


 僕の名前は、黒い猫の、クー。


 宝を探すからクーじゃなく、僕を保護してくれた人間の里親のパパとママが、

「宝物の黒猫だから」

と名づけてくれた。


 ある日、外を歩いていると、宝の地図を見つけた。

 この辺りの地図だ。

 地図の持ち主は、この辺まで宝を探しに来て、地図を落としたのだろう。

 僕は、地図を、飼い主のパパとママのところへ持って行った。


「僕にとって、宝は何だろう」

と考えた。宝とは、大切なもの。

 宝石のように、見える宝がある。

 愛情のように、見えない宝もある。


 くじらのぬいぐるみが僕にとっての宝物で、抱えて寝る。

 抱きしめて、猫キックすると、ストレス発散。

 くじらのぬいぐるみは、僕にとって宝物だけれど、他から見ると、宝物じゃないみたい。

 あっちにとって宝物でも、こっちにとって何の価値もない宝物がある。


 早速、宝探しに出かけようと家を出ると、何人か、子供が遊んでいた。


 人間の子供は、猫の尻尾を引っ張る。うざい。

 耳を引っ張る。痛い。

 大声で叫ぶ。うるさい。猫は、大きな音が苦手。

 バシバシ叩く。触っているつもりらしい。

 おもちゃを見つけたように、猫を追いかける。

 その動きは予測できず、何されるか分からない。


「あっ、猫だ」

 見つかった! 

「猫ちゃーん」

 来た! 走ってくる。やばい。

 戻ろう。今日の宝探しは、中止。


第2話 海の公園でイルカにあった


 地図には、海の公園にチェックしてあったから、行ってみよう。


 海が目の前に広がる大きな公園で、空が果てしない。


 海岸まで来ると、イルカが泳いできた。

「ネコちゃん、乗るかい?」

 イルカは頭がよく、遊び好きだが、猫を背に乗せるイルカは珍しい。


 イルカの背中に乗って、海を流していると、大きな石が浮かんでいた。

「石が、浮くはずないのに」

 答えるようにイルカが、

「龍涎香(りゅう ぜん こう)」

と教えてくれた。


「結石といって、クジラの体の中にできる、石みたいなものさ」

「尿路の結石なら、猫にも、できるよ」

「マッコウクジラの結石だけ、いい香りがするというので、人間が、高値で取引するんだ」


「いくら?」

「過去最高は、海外で、七千万円。日本で、四百万円」

「ニャんと」


「だから、人間が欲しがるのさ」

「お宝だね」

 つい、宝と言ってしまった。

 そうか、これは宝だ。

 イルカに聞いた。

「龍涎香もらっていい?」


「いいよ。探しても見つからないから、大切にするといい」

と、ほほ笑みながら、僕と龍涎香を、岸まで運んでくれた。

「ありがとう」

と、イルカにお礼を言って、家に帰った。


 あとで、飼い主のパパとママに教えてあげよう。


第3話 海の公園で野良猫にあった


 あくる日も、海の公園に来た。

 人が歩いている。小鳥が鳴いている。木の葉が風にゆれている。


 フェンスに囲まれた木の前に着いた。

「またたびの木だ」

 粉にしたマタタビの実は、僕たち猫にとって、酒のようなもので、吸うと、酔って、狂ったようになる。

「欲しいなあ」

 猫にとって、宝だけれど、犬や、鳥には無関係な宝なのだ。


 野良猫が、いた。

 公園に来た人が置いていった物を食べている。


 僕が通り過ぎようとすると、

「毛並みがきれいだな、家猫だな」

と話かけてきた。


 家猫には、飼い主がいる。野良猫には、飼い主がいない。

「自分も、家猫になりてえ」


「里親が、見つかるといいね」

「ああ。家猫は、メシの心配がいらねえ。寝る場所の心配もいらねえ」

「毎日のコトだもんね」

「そして、飼い主が、遊んでくれる。愛してくれる。これが最高の幸せ」


「家猫になると、幸せになれるんだね」

「幸せにしてくれる飼い主は、宝だ」

 僕は、飼い主のパパとママを、宝だと思ったことがないので、反省。


「飼い主という宝を、家猫は持ってる。野良猫は持ってねえ」

「僕は、家猫だから、宝を、持っているんだね」

「その宝が、ほしい。探しても、見つからねえ」

 つぶやきながら、野良猫は、消えて行った。


 飼い主という宝が見つかって、幸せに暮らすといいね、と僕は、野良猫の後ろ姿に語りかけた。


第4話 海の公園でツルにあった


 宝の地図では、海の公園にチェックしてあったんだけど、今のところ、宝が見つかっていない。

「帰ろうかな」

と思ったら、タンチョウという鶴がおきてきた。


 でかい。横に広げた白い羽は、二メートル以上。身長は、一メートル以上。


 僕がビビると、尻尾の毛が立って、太くなった。


 タンチョウヅルが近づいてきて、

「宝を探しているんでしょ?大切なもの」

と聞いてきた。


「ツルさん、どうして知っているの?」

「イルカが教えてくれた。宝を探している黒猫がいるって」

 イルカの背に乗って海を流していたそうだ。変なツル。


「私たちタンチョウヅルは、絶滅しかけたから」

「絶滅って、いなくなるの?」

「探しても、見つからない」

「恐竜みたいだね」

「ニホンオオカミや、シマハヤブサなんか、百種類は絶滅した」


「絶滅しなくて良かったね」

「私たちタンチョウヅルのように」

「生きるって、大切なんだね」

「命は、宝」


 そういってタンチョウは、飛び立っていった。

 折り鶴のように軽やかに。


第5話 海の公園からの帰り道ドーベルマンにあった


 宝が見つからない。

「もう帰ろう」

と帰り道を歩いていると、大きな家の前に、大きな黒い犬が寝そべっていた。

 ドーベルマンだ。

 とても頭が良い犬で、力強く、動きが速い。


 飼い主ファミリー以外には攻撃的なので、番犬、護衛犬、警察犬、麻薬探知犬、軍用犬として活躍している。


 僕はドーベルマンに近づいた。

 ドーベルマンが、片目をあけて僕を見た。

「ふん」

と鼻を鳴らして、あけた目を閉じた。


「ドーベルマンさん、教えてちょうだい」

「ふん」

「宝って何だろう?」

「考え方」

「考え方?」

「考える方法。考える方向」

「むつかしい」

「ものの見方、受け止め方」

「わからない」


「貴様、ワシに近づいて、声をかけたろう?」

「うん」

「どうして、そう動いた?」

「なんとなく」

「それが、考え方よ」

「考えていなかったけど」

「ぜんぜん意識していなかったけれど、気づかぬうち、何か考えていた」

「だから、近づいて、声をかけた、と?」


「逆に問うが、なぜ、素通りしなかった?」

「ああ、そうか、目的なり、何なり、僕が、考えたように、僕は、動いたのか」

「いつもは素通りする貴様が、今日に限って、宝の意味を知りたくて、聞きに来た」

「そうだね」

「考え方は、動き方になる」

「今みたいに」


「動き方は、どういう一生になるか決める」

「生き方を決める」

「だから、考え方が、宝」

「どんな考え方で考え、動き、生きるのが正しいか、探しても、見つからない」


 ドーベルマンは、むくりと起き上がり、

「疲れているようだ、家まで送ってやろう」

と、おすわりした。

「ワシの背中に乗れ」

 僕は、ドーベルマンの背中に、うつぶせになった。

 黒い犬の上に、黒い猫が乗っている。

 ドーベルマンが走り出した。速い。

 あっという間に、家に着いた。

 僕は、ドーベルマンに、

「ちょっと待ってて」

と言って家に戻った。

 飼い主の酒のつまみに、ビーフジャーキーがあるのを知っている。


 僕はドーベルマンにビーフジャーキーを渡した。

「ありがとう」

と、ドーベルマンは、ビーフジャーキーをくわえて、嬉しそうに走っていった。


第6話 大切な宝が七つ見つかったとさ


 ふりかえると、いろいろな宝が見つかった。

 見える宝もあれば、見えない宝もある。

 くじらのぬいぐるみ。これは、僕の宝。

 子供は、親にとって、子宝。

 龍涎香は、人間の宝。

 またたびは、猫の宝。

 飼い主は、猫の宝。

 命は、生きとし生けるもの、すべてが持つ宝。

 考え方は、生き方を決める宝。

 七つ見つかった。


 僕は気づいた。宝の地図に、海の公園が載っていたのは、海の公園で、七つの宝を見つけることだったに違いない。


 宝は、他にも、ある。

 国の宝は、国宝。

 家の宝は、家宝。

 お金は、財宝。

 僕は五つ持っている。

 くじらのぬいぐるみ、またたび、飼い主、命、考え方。

 みんな仲良くしようという僕の考え方は、里親のパパとママから教わった。

 なるほど、みんな仲良く、敵がいなければ、無敵。最強だもんね。


 このうち、飼い主が何よりの宝で、一緒に遊んでくれて、愛してくれる。愛は、大切。

 その飼い主こそ、

「宝物の黒猫だから」

と、僕に、クーと名づけてくれた、里親のパパとママ。僕の宝物。


「大切な宝は、探しても、見つからない」

と、イルカも、野良猫も、ツルも、ドーベルマンも言っていた。

 見つかった五つの宝、大切にしなくちゃ。

「今日も、宝を探そう」


 みんな、大切な宝を探すため、生きているのかもしれない。

「大切なものを、探そう。宝の地図が無くとも」

 宝の地図のおかげで、いろんなことを知った。


 パパとママは、宝の地図に載っていた空き家を買って、空き地にした。

 土の中から、大判小判がザックザク出てきた。


 猫に小判はいらないけど、大判なら、もらっておこう。

 大判小判と龍涎香を手に入れたパパとママは、億万長者になって、幸せに暮らしましたとさ。


 みんな、大切な宝を探すため、生きているのかもしれない。

「大切なものを、探そう。宝の地図が無くとも」

 宝の地図のおかげで、いろんなことを知った。

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